銀行業務検定財務2級 出題傾向と勉強法

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結果発表からちょっと時間が経ってしまいましたが、銀行業務検定 財務2級について、出題傾向や勉強法をまとめました。
第127回以降(2014年3月以降)受験される方、もしよろしければ参考にしてみてください。

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2級の出題傾向

財務諸表問題(問1~5)財務分析問題(問6~10)が半分ずつ出題されます。

財務諸表

財務諸表(貸借対照表・損益計算書・連結財務諸表)作成問題が毎回出ます。
それぞれで大問1つずつ計3問出題されます。
数回に1回は製造原価報告書作成問題が代わって出題されることもあります。

財務諸表問題については、「表作成のみ」と「仕訳問題+表作成」の2パターンがありますが、どちらのパターンであっても、修正仕訳・決算整理仕訳ができるかどうか、勘定科目の分類を理解できているかどうか、ポイントになります。

貸借対照表の場合は、資産(流動資産・固定資産・繰延資産)、負債(流動負債・固定負債)、純資産の勘定科目分類をキッチリ理解していなければなりません。
資産と負債を間違えることはあまりないと思うのですが、固定資産(無形固定資産)と繰延資産を間違えたり、1年基準(ワンイヤールール)または正常営業循環基準の適用により、固定⇒流動に振り替えるのを忘れたりするミスに注意が必要です。

損益計算書作成については、費用・収益の勘定科目がどれに分類されるのか(売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・営業外収益・特別損失・特別収益)を覚えていないと、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益を正しく計算することができません(そこが出題のキモなのでしょうけど…。)

連結財務諸表についても、まず最初の連結仕訳(投資と資本の相殺消去、債権債務の相殺消去、内部取引の相殺消去、未実現利益の消去など)が大事です。
連結仕訳、とりわけ最初の「投資と資本の相殺消去」をミスると芋づる式に大量失点につながるので要注意です。

残りの大問2つは、資産除去債務・退職給付会計・リース会計・有価証券の評価・減損会計・税効果会計・配当金などの個別の計算問題・仕訳問題・論述問題が出題されます。

正直言うと、これらの個別論点問題については大抵平均点が低いです。
特に問4は毎回平均点が1点を割る事が多いです。恐ろしい!

正直言うと、日商簿記1級・全経簿記上級・税理士等を持っている人以外は、問4はあまり得点を期待できるところじゃありません。
部分点や仕訳・穴埋めなんかで2~3点とれていれば上出来、でもいいんじゃないかな。
時間に余裕のある人は財務2級 受験対策シリーズに載っている基本問題・応用問題を一通り解けるようにしておくといいでしょう。
問4対策よりも、まずは財務諸表・損益計算書・連結会計問題を解けるようにしたほうがいいです。

財務分析

財務分析の問題は、日商簿記1・2級と全経簿記上級でせいぜいCVP分析が出るくらいなので、簿記検定受験生にとっては不慣れな問題が多いです。
簿記検定よりも建設業経理士1級の財務分析に傾向が似ていると感じました。

ただ、財務分析問題は財務諸表よりも出題パターンがワンパターンなので、過去問と受験対策シリーズで繰り返し計算練習すればきちんと得点できるようになります。解き方さえ覚えちゃえば得点が安定する論点でもあります。

特に安全性分析・収益性分析・損益分岐点の各比率の計算問題、キャッシュフロー計算書の作成は毎回必ず出題されます。

日商簿記1級・全経簿記上級の勉強経験がない人が短期合格を狙うなら、出題パターンがワンパターンな財務分析で確実に点数を稼ぐのがおすすめです。

<財務分析手法メモ>

・収益性分析

まずは総資本経常利益率より、全体的な収益性の上昇・低下傾向を分析する。
総資本経常利益率=経常利益/総資本
=売上高経常利益率 × 総資本回転率
=経常利益/売上高 × 売上高/総資本

仮に総資本経常利益率が低下している場合は、売上高経常利益率(収益性)と総資本回転率(効率性)のうち、どちらかあるいは両方が減少している。
更に、売上高総利益率・売上高営業利益率・総資本利益率・売上高販売費及び一般管理費・棚卸資産回転率等を算出し、利益率上昇(下降)の原因を掘り下げる

* 公式の覚え方のコツ
○○利益率⇒分子に利益/分母に○○
○○回転率⇒分子は売上高/分母は○○
○○回転期間⇒分子は○○/分母は平均月商

・安全性分析

(流動比率、当座比率、固定比率、長期固定適合率、負債比率、自己資本比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ)
短期的な安全性・支払能力 ⇒ 流動比率、当座比率
長期的な安全性 ⇒ 固定比率、長期固定適合比率
インタレスト・カバレッジレシオ= (営業利益+受取利息配当金) /金融費用(支払利息・割引料)

・損益分岐点分析(CVP分析)

固定費・変動費・限界利益率(貢献利益率)・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益を達成する売上高が出題されます。
売上高=変動費+固定費+利益
限界利益=売上高-変動費
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)=固定費÷限界利益率

・生産性分析

労働生産性=付加価値額/従業員数(円) を基本として、労働分配率、付加価値率、従業員一人当たり売上高、労働装備率に展開して分析する
労働分配率=人件費/付加価値額(%)
付加価値率=付加価値額/売上高(%)
従業員一人当たり売上高=売上高/従業員数(円)
労働装備率=有形固定資産/従業員数(円)

・キャッシュフロー計算書の作成

営業活動・投資活動・財務活動のうち、特に「営業活動によるキャッシュ・フロー」を間接法で作成する問題が多いです。ただ今後は直接法の出題が増えるかもしれません。

分析記述では、キャッシュフローの金額と当期純利益の額を比較し、数値が乖離している場合はどこにその原因があるのか(売上債権や棚卸資産の大幅増加、仕入債務の増加・減少など)を指摘する。

・資金繰表・資金運用表・長期資金収支予定表・正常運転資金所要額・資金移動表・決算資金所要額

いずれかの問題が問9~10で1問出ます。

運転資金
※在高方式、回転期間方式 両方とも計算できるようにすること。
経常運転資金(正味営業運転資金)=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)
売掛金=平均月商×平均売掛サイト
受取手形残高=平均月商×売上原価率×手形回収率×受取手形サイト
棚卸資産:商品残高=平均月商×売上原価率×商品在庫期間
買掛金残高=平均月商×売上原価率×平均買掛サイト
支払手形残高=平均月商×売上原価率×手形支払率×手形支払サイト

正常運転資金所要額=平均月商×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)
決算資金所要額=配当+法人税等支払(中間納付額は控除する)+役員賞与

2級記述式解答法~要点を過不足なく書くのがベスト

財務2級問題解説集の採点所感からの推測ですが、余計なことをダラダラ書くよりも、要点となる部分をビシッと簡潔に書いた方がいいのかなと思いました。
もちろん何も書かなければ点数のつけようがないので、わからない問題のときも何らかの文章やキーワードを書いたほうがいいのでしょうが、ある程度わかっている問題ならば、アレコレと余計なことを書くのは蛇足になってしまうかも?と感じました。

そういえば年金アドバイザー2級(2011年)でも行をフルに埋めるまで書き込んだ割には得点が伸びなかったところを見ると、とにかく何か書けば1点もらえる、ってほどには甘くなさそうです(苦笑)
むしろ蛇足を書くと何か減点ポイントにひっかかるんじゃね?と思ったくらい。

また、仕訳問題は勘定科目と金額の全部が合ってて初めて得点になるので、勘定科目は漢字で正確に書けるように練習しましょう。
「破産更生債権」の「更生」→×「厚生」「更正」、「債権」→×「債券」
「満期保有目的債券」の「債券」→×「債権」
など、間違えやすい勘定科目には注意してください。

簿記系検定との違い・比較

・工業簿記・原価計算的な問題はあまりでない(損益分岐点分析と製造原価報告書くらいです)
・財務分析問題も40点分ある
・計算問題が簡単
財務2級の貸借対照表・損益計算書・財務分析問題では、問1の回答をふまえて問2・3を答える問題が少なくありません。よって最初の答えを間違えると芋づる式に0点になることがあるので、計算ミスには十分注意しましょう。
ただ、2級はオール記述式とはいえ、日商簿記1級や全経簿記上級試験と比べると単純すぎて、「ホントにこんなに単純でいいの?」と思うことすらありますw
単に問題文の資料から数値を転記するだけでいいものもあるし、引っ掛けポイントが毎回似たり寄ったりだし…。

総じていえることは、「覚えることは多いけど、受験対策シリーズと過去問をきちんとやれば合格点はとれる」ということです。
日商簿記1級や全経簿記上級、建設業経理士1級の勉強にも通じるところがあると思うので、これから受験される方は頑張ってください。

コメント

  1. ぷりん より:

    miwaさん、こんにちは。
    ここ数日、記事の充実がすごいですね!

    銀行業務検定の「財務」は、財務諸表を読めるようになるという点で、
    勉強しておけば、何かと役立ちます。
    仕事にだけではなく、株式投資においても(笑)

    社労士を取得した後に、銀検の「年アド」を取得する流れがあるように、
    簿記検定に合格した後に、(銀行員でなくとも、)「財務」を受ける人が
    増えると良いですね。

    似たような検定で大阪商工会議所主催の「ビジネス会計検定」もありますので、そちらもオススメです!

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      >ぷりんさん
      7月の試験ラッシュが終わった後ネタがないので、以前から書き溜めておいた記事を放出しておりますw

      銀行業務検定の問題は良問が多いと思います。年金アドバイザーもそうですが、変なヒッカケが少なくて解きやすいというか…。
      ビジネス会計検定も興味はあるんですが、いつも他の検定試験と被っていてなかなか受けられないんですよね~。
      また日商簿記1級にチャレンジする機会があれば、その時にでもチャレンジしてみたいですね。

  2. ジュビロ磐田サポーター より:

    情報有難うございます。
    昨日、ビジネス会計検定の2級を受験し、66%と合格に一歩及ばずでした。
    昨年、3級を受験した際は満点合格したので、今回もそれを目指していたのですが…。計算演習の時間が不足し、無残な結果に終わってしましました。

    銀行業務検定の財務3級とかなりの程度試験範囲が重複すると聞きましたので、次回は銀行業務検定の問題集なども使い、問題(特に計算)の数をこなして再受験したいです。

    次は来年の3月ですが、丁度銀行業務検定の1週間後です。
    時期的にも丁度良いので、W受験をしたいと思います。

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      > ジュビロ磐田サポーターさん

      ビジネス会計検定2級お疲れさまです。そういえばビジネス会計検定も9月にありましたね!
      66%とは惜しかったですね。
      私は受験したことがありませんが、例題を見ると確かに銀行業務検定財務3級と共通するところは多そうです。
      財務分析は以外と得点源にしやすいですし、ダブル合格を目指してがんばってください!

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