「とめはねっ!鈴里高校書道部」特に大人になってから書道を習い始めた人は絶対に一度読んでみたらいいと思う!

同じ太極拳クラブのパイセンから、「書道を習っているんだったら、『とめはねっ!』面白いと思うから、読んでみたら?」と勧められて、試しに1巻だけ読んでみたらすごく面白くて、残りの13巻もkindleでまとめ買いして一気に全部読みました。

部員不足により廃部の危機に陥っている、鎌倉市にある共学の私立高校・鈴里(すずり)高校書道部。
担任の影山先生(書道部顧問)に頼まれて、書道室にお届け物をしたら、2年生部員(加茂杏子)の着替えを偶然のぞいてしまい、半ば脅迫される形で入部することになった帰国子女の1年生男子・大江縁(ゆかり)君
ヤンキー男子(久我君)にナンパされているところを止めに入ろうとした大江君に怪我をさせてしまった責任を取る形で、柔道部に所属する1年生望月結希さんが入部するところから、話は展開します。

最初に絵をみたとき「この絵、どこかで見たことあるな~」と思ったら、「モンキーターン(少年サンデーに連載されていた競艇漫画)」の作者さんだったんですね(河合克敏氏)。

ただ、書道をテーマにした漫画といっても、ただ単に書道の技術的な要素ばかりを取り上げるのはいささか地味過ぎますよね。
また、掲載誌が少年漫画・青年漫画(週刊ヤングサンデーとビッグコミックスピリッツ)という影響も少なからずあったのでしょう。

1巻~14巻までに登場する、書道の大会・イベントは、
1年次:市民書道大会、路上パフォーマンス対決、鈴里高校と鵠沼学園の合同合宿、書の甲子園、体育祭、学園祭、東都文化大学のオープンキャンパス
2年次:新入生歓迎会、市民書道大会、修学旅行、高野山競書大会、鈴里高校と鵠沼学園の合同合宿、書の甲子園
3年次:書のパフォーマンス甲子園

これらの大会やイベントを通して、ライバルとの競争・バトル対戦要素、大江君と望月さんを中心とした三角関係・四角関係的な恋愛模様が織り込まれているのが絶妙に笑えます。

確かに書道の競書誌では、成績順に名前が載る&上位の人は写真版に掲載されるので、それが刺激になるという部分はあるし、ライバルに負けたくないという気持ちも少なからず芽生えるので、あながち間違いでもないんですがね(笑)

書道のスキル向上に役立ちそうな知識と、バトル要素と、恋愛コメディ的要素がうまくかみ合っていてとても面白かったです。

これらの14巻分のエピソードをいちいち紹介するのはキリがないので、14巻全部読んだ上で、私が気に入った登場人物やエピソードなどをいくつか紹介したいと思います。※注:一部ネタバレを含みます。

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◎望月結希さんのアグレッシブさ

とめはねっ!の主人公は大江縁君なんだけど、私の中では結希さんが主人公で、ベストオブとめはねです(なんのこっちゃwww)

ちなみに私は、「モンキーターン」で一番好きだったキャラは青島優子だったので、とどのつまりは「困難な状況でもくじけずに腐らず努力する美少女」が好きなんです。
モンキーターンのヒロインは澄ちゃん(波多野君の彼女)だけど、青島優子が何故競艇選手になったのか、青島さんが背負っているものの重さに、どうしても青島さんに肩入れしたくなっちゃうものですよ。(注:管理人は女です)

話は戻りますが、この望月さん、スポーティで男前で度胸がある、とても気持ちがいいキャラなんです。

もし、書道歴が数ヵ月程度の時点で、書道展への出品を打診されたらどうしますか?そのオファーを躊躇なく受けられますか?
ええっ!?そんな大きな大会、私には無理無理!」って断る人が大半だと思うんですよ。実際私も習い始めてから1か月で、「伊勢神宮奉納書道展に出してみない?半紙でも出品できるよ」って打診されたけど、さすがに楷書基礎帖をやっと終えたレベルで公募展なんて無理だと断ってしまいましたからね(苦笑)今思えば楷書の半紙でもいいから出してみればよかったです。
だけど望月さんは、書道を初めてたった数ヵ月なのに、


「書道始めた年数とか、関係あるんですか?その『書の甲子園』って。じゃあ、いいじゃないですか!出しましょうよ。その書の甲子園に」(コミックス3巻P168)

「お盆過ぎから9月の20日まで約ひと月もあるじゃないですか。それだけあれば書けるんじゃないですか?」
(ひろみ部長:望月さんは書の甲子園に出品するの?)
もちろんですよ。出さない理由がないですよ」(コミックス3巻P182)

といった調子で、とてもアグレッシブなんです。
いいですねぇこういう子、私は大好きですよ。

私服がジャージでお色気ゼロなのはご愛敬。

(1巻P184)

お出かけ用のジャージってアンタwww

(6巻P14)

また、宮田庵(ソバ屋)のアルバイト(「書の甲子園」見学の旅費を稼ぐために、大みそかと正月の期間限定アルバイトをすることになった)でも、鎌倉の地理に不慣れな大江君に変わって、「じゃあ私が出前をやりますよ」と買って出たり。

(10巻P121)

一方で、苦手な「仮名の書」については、大槻藍子から、「高野切の臨書は公募展に向いていない(癖のないい字は誤魔化しが効かない)」と言われても、「今回は特に入選とかはできなくてもいいんです。書道の方はゆっくりでいいから一歩一歩進むだけ!

このように、目標に向かって正しい努力の積み重ねができる子は、見ていてとても気持ちがいいです。単に勝ち負けにこだわるだけではなく、今自分が何をするべきなのかがちゃんとわかっている。
同じ負けず嫌いキャラでも、日野よしみ(ひろみの双子の妹)のほうは、「ひろみにだけは負けたくない」が先に来ちゃってるからね。

「とめはねっ!」の最終巻(14巻)では、大江縁君が、書道歴1年4か月にして、書の甲子園で大賞(上から2番目)を受賞するんですが、彼は帰国子女で、日本の小学生が必ずやるであろう「習字」の経験が全くない。そこは一般的な日本人と比べたときにハンデかもしれません。
でも彼は、毛筆の経験はゼロでも、祖母(大江英子=のちに鈴里高校書道部に仮名の特別講師として教えにやってくる)との文通を通して、硬筆を習得しているアドバンテージがあります。

書道経験が乏しくても、もともと硬筆の字が上手な人とそうでない人を比べると、前者の方が書道の上達は早いと思うのです。
それに大江君は、習い始めの時点から三浦清風先生の指導を仰ぐ機会に恵まれているし、顧問の影山先生も書道の実力は高く、仮名書道は祖母の大江英子氏(三浦清風先生の教え子)から教わっているわけですよね。
結果として、変な癖がつくことがなく、ストレートかつ最短距離で書道の上達の道をたどっているとも言えます。

でも、望月さんの方は、書道部に入った当初は「母」の字の書き順を間違えるくらい字が下手で、字が下手なことがコンプレックスだったわけじゃないですか。

(1巻P82)

(2巻P20)

全く未経験のものを新しく始めることと、苦手なことを克服するのはどちらが大変かというと、どちらも大変ですが、苦手度が深刻であればあるほど、年齢が上がれば上がるほど、克服は大変です。
まずはこれまでの人生で凝り固まってしまっている悪癖と、苦手意識を捨てるところからスタートしなければいけないからです。

(14巻P26)

そういう意味では、入部から1年4か月後の書の甲子園で、光明皇后の「楽毅論」の臨書を書き上げ、秀作賞を受賞するまでレベルアップ出来ているって、実は地味にすごいことなんじゃないかなと思うんですよ。

個人的に面白かったエピソード編①三浦清風先生が職員会議に乗り込んで説得する(10巻)

望月さんを柔道に専念させたい柔道部顧問と理事長が手を組み、書道部顧問の影山先生は三浦清風先生と仲の良い校長先生を味方につけて、職員会議が開かれたシーンですね(11巻P63)。

それにしても、ケニアの留学生・サムエル・ワンジル選手(※)が仙台育英高校に留学している時、「書の甲子園」で大賞を取ったエピソードにビックリ。
※北京オリンピックのマラソンで金メダルを取ったが、2011年にバルコニーから転落して死去した。

②柔道部のメンバーが書道部に大量入部する(14巻)

(14巻P126)

望月さんが全日本ジュニア選手権で優勝したときのインタビューにて、「勝てたのは書道で集中力と平常心が養われたおかげです」と発言したことを受けて、かけもち反対派だった理事長が賛成派に寝返ってしまい、「いっそのこと書道部と柔道部の交流をもっと深めてはどうか」という結論に達したっていうね。

この柔道部関連のエピソードでは、実は久我君がなかなかいい味を出していますよね。

第1巻では、望月さんをナンパするアフロヘアのヤンキーだったのに、望月さんに一本背負いで投げられたことで柔道に目覚めます。
彼女を追いかけて柔道部に入った彼は、最初は望月さんに秒で背負い投げをされるくらい弱かったのに、1年で黒帯を取得し、柔道部でもレギュラーになるほど上達するんですね。

(1巻P36)
(14巻P83)

その後彼は、2年生の3学期より、週1の書道部の活動にも参加することになるのですが、最初は望月さんと同じレベルで字が下手だったのに(14巻P128)

半年後の「書のパフォーマンス甲子園」で字を書く役に抜擢されるまでになったのですから。

3年間での変化振りがハンパねぇ(笑)でも彼、実は柔道も書道もセンスがあったってことですよね。

③前衛書について力説する島奏絵ちゃん

影山先生のいとこで、新入部員の彼女は、見た目はとてもまじめなのですが、とにかく熱い(笑)加茂ちゃん・三輪ちゃんにも負けていない。


(8巻P191)

(8巻P201)

ぶっちゃけ、毎日書道展で前衛書を見た時、旦那と二人で「何これ?こんなのも書道なの?一体何をコンセプトにしてるのか全然わからん」などと言い合ってしまってすみませんでした。うまいか下手かじゃなくて、面白いか面白くないかが大事なのですね。

まぁそういう意味では、新国立美術館にあった前衛書の作品は確かに面白かった。だって立体オブジェとかあったし(笑)ああ、これは「紙に墨で書く」というルールを超えた作品ってことなんですね。

④主人公・大江縁君が誕生した経緯(1巻の表紙カバー四コマ)

高校の書道部を取材すると、女子が9割で、男子部員はレアな存在なのだそうです。
そこでヤングサンデーの編集さんが「もしも書道部に男子がはいってくるならどんなコがいいですか?やっぱり字が上手なコとかが良いのかな?」と聞いたら「ヤダー キモーイ!」というじゃありませんか!
そこまでいうなら字の上手な男の方が面白そうということで、主人公の縁君が生まれたのだとか。

女子高生の価値観ではキモいかもしれないけど、私くらいのオバサンの年齢になると、字が綺麗な男子ってとてもカッコいいと思いますよ!

kindle版とコミックス版、どちらがおすすめ?

…とまぁこんな感じで、私はkindleで買って一通り読んだのですが、旦那も「そういう書道漫画があるなら僕も是非読んでみたい!」といって、中古で14巻セットをまとめて買ってましたw

うちの旦那が気に入ったキャラは、主人公の大江縁君と顧問の影山先生だそうです。
大江君はナヨッとしていて頼りない、寝ぼけた雰囲気の少年ですが、実は真面目で芯が強いところが良いんだとか。影山先生も、加茂ちゃんと三輪ちゃんに舐められてはいるけど、実は書道の実力はとてもあるし、こういう先生は絶対に人柄はいいだろうというところが気に入ったそうです。

kindle版と単行本のどちらを買ったほうがいいかというと、単行本の方にはカバーの帯に四コマ漫画がのっているので、そちらの方が少しお得かなぁと思います。書道教室に14巻セットがまとめておいてあったらすごくよさそうです。漫画に夢中になって書道の練習にならないかもしれないがw

ちなみにこの漫画、書道の上達へのヒントになる部分も多いので、技術的な面で役に立ちそうな部分については、また別の記事で紹介してみたいと思います。

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