【毛筆書写技能検定1級】書歴3〜6年でも合格できる人・書歴20年でも合格できない人の差はどこにあるのか

これはもう端的に言っちゃうと、毛筆1級の出題傾向に沿った練習・合格基準点を意識した練習がどれだけ積めているのか、それだけです。

それができていれば書歴3~6年でも合格できる可能性はあるけど、受け身で教室で与えられる課題をただ練習しているだけだと、20年教室に通っても1級の合格は難しいんじゃないかと感じました。

私の場合は、書歴5年で準1級、書歴6年で1級に合格しましたが、書道教室では月例課題と公募展への出品が中心で、書写技能検定対策は一切やっていないため、検定対策はほぼ独学でやっていました。
(教室では検定対策はノータッチなので、教室の先生には、1級条幅で手本なしで作品を作るにははどうしたらいいかを相談して、いくつか添削してもらった程度です。)

ただ、この記事で私が声を大にして言いたいことは、「書歴20年のベテランでも1級に落ちるほど難しい→たかだか書歴が3~5年程度しかない自分に毛筆1級なんて到底無理なんじゃないか」という間違った思い込みで自分の可能性を狭めるのは勿体ない!ってことです。

確かに1級は書道の素人がゼロから練習を初めて数か月で受かるのはすごく難しいと思います。

楷書・行書・草書・隷書・仮名・条幅・賞状が書けないと合格できないし、理論もそれなりに勉強が必要だからです。(※熟練の先生から直々に指導を受けられて、自分自身でも毎日8~12時間練習できる環境にあるなら話は別ですが)

でも、書写技能検定試験の回答用紙には、書歴や流派などを書かせる欄、それどころか名前を書く欄も一切ありません。
良くも悪くも、提出された課題の出来栄えと、理論の点数だけで合否判定がなされます。
書歴が浅かろうがベテランだろうが、1級合格の基準をクリアできる作品が書けたら合格できます。ただそれだけの話。シンプルだけどシビアな試験ともいえます。

それに一口に「書歴◎年」といっても、1年の間に何をどれだけ練習しているかは人によって全然違います。

大事なのは年数じゃなくて、かけた時間と練習の内容です。
単に教室に通ってる時間だけ練習している人と、自宅でも毎日2~3時間の自主練を積んできている人との上達度が同じなわけがありません。

また、教室で与えられる課題だけで、毛筆準1級・1級の出題内容を全て過不足なく網羅できるわけでもない。
教室の課題でカバーできない部分はどうするか?試験の傾向を分析した上で、足りないところは独学で練習することになります。

この過去問の分析能力と独学での練習量が合否を分けると言っても過言ではないです。そして上位級になればなるほど、分析能力と独学力が大事だとも思うんです。

ところでこの「書歴年数の思い込み(呪縛)」に縛られていたのは、他でもない、かつての自分自身のことです。

というのは、所属している書道会で毎日書道展の漢字部Ⅰ類で入選しているのは、6段以上の高段者・準師範・師範と上位の人ばかりだったからです。
また、書道会の昇段試験の仕組み上、準初段から上は半年に1回ずつ(四段以上からは年1回)しか昇段できなかったことから、六段以上=少なくとも書歴10年以上の人だったんですね。

実際、同じ教室で毎日展の漢字に出品している先輩も、七段の高段者(私より年下だけど幼稚園の頃から教室に通ってるので書歴20年以上のベテランさんである)ということもあり、気づいたら「毎日展の漢字部(Ⅰ類の多字数)で入選するには、書歴が10年~15年以上のベテランにならないと難しいんだろうな」と思い込んでいたように思います。

なのに、書歴4年足らずの準二段の時(2021年)、先生から勧められて毎日展の漢字部にも出品することになってしまった!

「毎日展、しかも漢字部(多字数)ってそれはさすがに無謀すぎないか?」と思いつつ、先生から勧められたら、よっぽどの理由がないと断らない(断れない)私。

で、案の定1年目はアッサリ落選したので「やっぱり私のレベルではまだまだ入選は難しいんだなぁ。まぁそうだろうね」と思ったのですが、2年目(2022年)はどういうわけだか入選できてしまった!!

この時、私の段位はまだ二段だったのだけど、同じ社中からの出品者で入選している人は私以外全員高段者でした。おそらく二段の人、というか書歴5年弱の人が漢字多字数の部門で入選するのは結構なレアケースだったと思います。

(段位は低くても、元々別のところで習っていたとかで書歴自体はそこそこ長い人ならともかく、ガチ初心者・10級からスタートしたので尚更驚かれた。)

ただ、毎日書道展の漢字部で入選できたことがきっかけで、「段位の低い自分には漢字部での入選はまだまだ当分先の話だろう」と思い込んでいたのは、ただの思い込みに過ぎなかったことに気づいたんですね。

実は2022年に毛筆・硬筆準1級を受験した直後は、「硬筆も毛筆も1級は相当難しそうだから、もう少し段位が上になって実力がついてからチャレンジしよう」と考えていました。実際、毎日展と並行で練習するのは肉体的にも精神的にもキツいからです。準1級程度の難易度ならどうにかなっても、1級は流石に厳しそうだなって。

でもその後やっぱり気が変わって2023年1月に硬筆、2023年6月に毛筆1級を受験することにしたのは、2022年に毎日展で漢字部Ⅰ類に入選できたことがキッカケでもあったのです。

実際、硬筆1級も毛筆1級もそれぞれ2023年1月試験、2023年6月試験で合格できてしまった。だから結局は試験の傾向に添った練習、合格基準を超えられるだけの練習がちゃんと積めたら合格できるんだなと思ったわけです。

今の時代は、過去問は書写技能検定協会のサイトでも購入できるし、古い過去問は国会図書館でも入手できる。だから過去問で出題傾向も分析できます。

それに令和の現在では、書写技能検定協会で書写能力診断テストも実施されていますので、自分の実力に対して合格点とどれだけギャップがあるかを確認することもできます。どういう問題が出て、何をどれだけ書ければ受かるのかがわからない試験ではないんですよね。

ですので、書歴の年数の浅さや段位の低さは全く気にする必要はありません。1級に合格するには、自分の実力と合格ラインとの距離感をどれだけ埋めていけるか次第です。それができれば書歴3〜6年の人でも合格できるし、できない人は10年・20年教室に通っても難しいのかなと思います。

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