最初に草書体の練習を始めたのは、硬筆書写技能検定3級がキッカケです。3級から理論問題で草書の読み方問題が出るからです。
ですが書写技能検定2~3級では、「読み方」の問題しか出ないため、この時点では硬筆書写技能検定のドリルと過去問で読む練習をした程度。読みだけならそれで十分対応できます。
所属してる書道会の月例課題でも、草書体を書く機会は結構あったのだけど、当然、月例課題には参考手本があるので、月例課題の練習だけでは草書体を自運で書ける…というところまでは出来なかったです。
本格的に草書体を大量にインプットすることになった、つまり自運で草書体を書けるように練習することになったのは、硬筆書写・毛筆書写技能検定準1級を受ける時です。
そこで、硬筆書写技能検定準1級と1級の受験に際して、私がどうやって草書体をインプットしたかについて、書いてみたいと思います。
<覚える手順>①まずは小学校で習う漢字の草書体の書き方に慣れる
この時使っていたのは「大人が学ぶ小学生の漢字」です。
小学校1年生~6年生までに習う漢字(1009字)について、楷書・行書・草書の三体が練習できるペン字練習帖です。
できるだけ手本どおり、忠実に、丁寧に書くようにしました。
最初の段階では全部を覚えようとしなくていいです。
まずは手に書き方・書き順をなじませること・目で見て「草書ではこういう字形になるんだな~」と感じる程度でいいと思います。
②硬筆第2問の過去問でよく出る漢字を中心にインプットする
過去問(1級は約40年分、準1級は平成18年~持っていました。)を漢字ノートに書き写し、「常用漢字書きかた字典」を参考に、漢字ノートに三体を転記していきました。
※準1級のときは「常用漢字書きかた字典」を持っておらず、「大人が学ぶ~」からノートに転記していましたが、この練習帖には索引がついていないので、ものすごく時間がかかりました…。
③定期的に過去問のアウトプット練習をする
書き方をある程度インプットしたら、「手本なしで過去問の楷行草の三体が書けるか?」を試していきます。
結局本試験では、手本なしで自運で行書・草書を書けなくてはいけないからです。
ここで、すぐに覚えられる字もあれば、なかなか覚えられない字の差がついてきます。
もしアウトプットの練習で草書体が浮かんでこない・うまく書けない字があれば、それらの字だけに絞って集中的にインプットをし直せばいいのです。
覚えた字は定期的に復習、覚えられない字は集中的に練習を繰り返して、書けない字を一つずつ潰していきます。
<草書体を覚えるにあたって工夫していたこと>◎へん・つくりが共通している漢字をグルーピングして覚える
「今日は糸へんの漢字をピックアップしよう」「月が入ってる漢字をピックアップしよう」といった具合に、部首が共通している漢字を集中して練習することで、必然的にパーツごとの草書体を覚える練習になります。
この「パーツごとの草書体」を覚えておけば、仮に過去問で見たことがない草書体を書かせる問題が出たとしても、本番で何とか対応ができるようになります。
(実際、硬筆1級の時は「徳」の草書体がわからなくて、パーツだけ草書を書いて誤魔化したw)
◎旧字体ベースの草書体を中心にインプットする
「大人が学ぶ小学生の~」をやっていると、「草書になると何でこんな字になるんだ?」と疑問に思う草書体が少なくないです。
楷書体と草書体がかけ離れている字は、旧字体・書写体がベースになっているものが多いのです。
なので理論第7問の旧字体の練習を兼ねて、旧字体ベースの草書体を集中的に練習する時間を作ると良いと思います。
◎紛らわしい草書体を混同しないように覚える。
「あれっ?この草書体、なんか他の字と似ているなぁ」と思うものがあったら、ノートやテキストの余白にメモをするようにするといいです。
何故かというと、似ている(紛らわしい)と感じるものほど、試験ではよく狙われやすいからです。
私的に「似ている・紛らわしい」と思った草書体の例↓
余白にメモは何回やってもいいです。
ページを見るたびに「あっそうそう、この字似てるんだよね~気を付けなくては」と記憶に刻まれていきますから.
◎そもそも1回2回書いただけで覚えられるわけがないと割り切る
もしかしたらそういう天才的な人もいるかもしれないですけど、殆どの人はそうじゃないと思います。
草書体を自運で書けるようにするのは、「小学生が学校で新しい漢字の書き方を覚えるようなもの」だと割り切った方がかえって気楽です。
1回2回書いても覚えられないからといって、自分のことを卑下する必要はありません。
今まで草書体なんて書く機会がなかったんだから、スムーズに出てこないのは当たり前です。
◎1回の練習で同じ漢字を10回書くのではなく、短期間での接触回数を増やすようにする(「広く・浅く」の練習を短期間で繰り返す)
これは英単語の効率的な暗記法と似ているかもしれません。
英単語を1000個おぼえようとするとき、1日10個ずつ確実に覚えていくのではなく、1日100個~200個単位で覚えていく方が効率が良いというやつです。
私は草書体の練習をする時は、1回の練習で同じ草書体を10回も20回も繰り返し書くことはあまりしませんでした。
一つの漢字につき書く回数はせいぜい2~3回だったと思います。
大体は1回、うまく書けなかったらもう1回・2回とかそんな感じです。
でもそのかわり、「今日は1年生~3年生までの三体を一通り練習する」とか、「今日は第2問の三体を10年分アウトプットしてみよう」といった感じで、「広く浅く」触れるようにしていました。
もし仮に、手元に300個の楷行草の熟語リストがあるとして、10個の熟語を10回ずつ繰り返し練習するよりも、1日で100個を1回ずつ書いて、3日で300個を回すのを10回繰り返した方が、1か月後の記憶の定着度も変わってくると思います。
◎インプットの段階では、まずは一つの字形に絞って覚える。
草書体は正解が一つではないのが結構厄介なところです。
書体字典によって微妙に字形が違うものが結構あるのです。
ですがインプットの段階では、できるだけ一つの字形に絞って覚えるようにしたほうがいいなと思いました。
というのは、硬筆準1級と毛筆準1級を並行で練習していた時、硬筆準1級用の三体ノートは「大人が学ぶ~」から、毛筆準1級用の三体ノートは別の書体字典から集字して練習したら、字形の微妙な違いでインプットが混乱してしまったからです。
なのでインプットの段階では、まずは「大人が学ぶ~」や「常用漢字書き方字典など」、一つの字形に絞って覚える方が効率が良いと思います。
ある程度インプットしたところで、例えば理論の読み問題で出題された字形を「こういう字でも正解になるんだな」と、三体ノートの余白に書き込んでいくようにすればよいと思います。
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