「将棋の渡辺くん④(伊奈めぐみ)」将棋を指さない人が読んでも面白い!

プロ将棋棋士・渡辺明氏の奥様(伊奈めぐみさん)が描いている漫画です。月刊誌の別冊少年マガジンで連載中です。
マガポケで試し読みもできます↓

ちなみに私の将棋に関する知識は、駒の名称や動かし方を知っている(歩は一マスずつ前にしか進めない、王将は全方向に1マスずつ動かせる、角は斜めに、飛車は縦横に動けるなど)、あとは小学生の時に、はさみ将棋や回り将棋、山崩しで遊んだことがある程度です。

そんな将棋知識のない私でも、この漫画は普通に面白いと思います。
たまたまダヴィンチかなにかで紹介されていて、試しに読んでみたらハマりましたwww
で、結局1巻~4巻まで持ってますけど何か問題でも?

多分それは、主人公(渡辺明)自身のキャラの濃さもあるけど、脇役のキャラ(他のプロ棋士)も負けず劣らずキャラが濃くて面白い。
あと、将棋そのものの専門的な解説は少な目だけど、そこがかえって大多数のライト層(私のように将棋のルールは知ってる程度の人)には、肩ひじはらずに楽に読めるのかなと思います。

また、「タイトル戦では10時と3時におやつが出る」「タイトル戦では和服を着る(慣習的に)」「将棋連盟にも部活がある」などなど、一般の人からみた「将棋のプロ棋士って普段何をしているの?」という疑問に対する答え・トリビアが詰まっているのがとても興味深いです。

さてこの渡辺くん、中学生でプロ棋士になり、現役タイトルホルダー(三冠)で、複数の永世称号を持つ(現役棋士で複数の永世称号を持っているのは渡辺氏以外には羽生善治さんのみ)トップ棋士なのに、将棋を離れた日常生活の部分の能力はごく普通の人並み程度(ジャンルによっては人並み以下?)というギャップが面白いです。「ギャップ萌え」というやつですねw

それに、30代のおっさんが大量のぬいぐるみを所有し、犬のぬいぐるみ達に名前をつけて会話したり、一緒に寝たりするなんて、よくよく考えてみればなかなか奇妙な姿じゃないですかwww
でもそのブレないぬいぐるみに対する愛が何だか可愛らしく見えてくるから不思議です。

私は、何をやらせてもトップを取っちゃう文武両道で品行方正な万能人も好きだけど、「●●を取ったらただの人」的な、能力特化型タイプの人も同じくらい好きなんです。
それは、自分自身が、母親に「なんでもそこそこできるようになればそれで十分じゃない(別にズバ抜けた能力があるとか、そういうのは望んでないし)」と育てられたこともあって、突出した特技や才能を持っている人のことがとても羨ましいと思うからです。

さて、この4巻では、渡辺明氏が、自己流での書道(揮毫)の練習に限界を感じて、近所の書道教室に通い始めた話が面白かったです。
(自分も2年前から書道を習い始めたからっていうのもありますが)

4巻・p125より引用

書道7級は確かに弱そうだ(笑)

「渡辺くん」の作中では、書道や揮毫に関するネタは、4巻以前にも2~3回ほど取り上げられています。

1巻・p136より引用

竜王戦で初めて挑戦者になったときの揮毫は、周囲にドン引きされるのもしょうがないwww
明らかに筆で書くことに慣れていないというか、恐る恐る書いている感じがしますね。

このヒョロヒョロした頼りない字で「竜王 渡辺明」として免状に署名するとなったら、「ちょっと!習字教えてあげるから!」と言いたくなる気持ちはわからんでもない(笑)

二つ目、漫画の監修(宗桂 〜飛翔の譜〜)を引き受けた経緯。
※これはwebでも読めます。

将棋漫画をやることになったはいいけど、編集さんも作家さんも将棋に詳しくないので、誰に監修を頼んだらいいのか悩む。

編集さんが「あ!俺んとこの学校(聖学院中・高)、将棋指しが多いんだった!」と思い出し、高校の先生に「将棋漫画やるんだけど 誰か紹介してくれないスか?」と頼んだら、「それなら明でいいじゃん」と紹介されたのが渡辺明氏だったっていうのはよく考えたらすごい話であるw

仮に、将棋連盟に「誰か棋士を紹介してください」と指名なしで依頼したら、少なくとも、現役バリバリのタイトルホルダーには絶対回って来ない話でしょう。
高校の先生が、高校時代に明氏が漫画好きだったことをよく知っていたからこそ、実現した話だと思うんですよ。

一般的に公立校は、5~6年サイクルで先生が異動するので、卒業から数年経つと知ってる先生は殆どいなくなってしまいますが、私立校は基本的に異動がないので、自分が高校在学中にお世話になった先生が、卒業後10年~30年在籍しているのは珍しくありません。
(私立のいいところはこういうところだなと思います。)

3つ目は、戸辺誠7段のお父さん(新潟県で米農家をやっている)の話が面白かった(笑)
お父さんのキャラが強すぎるし、戸辺家の5人の子どもたちも逞しすぎるwww
薪ストーブでガス要らず、薪は墨として再利用して米を炊くのに使うって。
「ナニコレ珍百景」に出てもおかしくない光景である。

ちなみに4巻に収録されている漫画が描かれた時期は、ちょうど渡辺氏の勝率が5割を切っていた時期と重なっている影響もあるのか、1~3巻に比べると、若干パワーダウンしている感じがしました。
(1~3巻に比べて面白くないという意味じゃないですよ)

特に、羽生さんが永世7冠を達成した、2017年の竜王戦の話(敗者視点)はなかなか切ない。
羽生さんを撮影するために、自分の背後に多数のカメラがスタンバイしている。
自分の肩にカメラが乗っかるのが、比喩でなくて本当にカメラが乗っていたって…ある意味こういう悲しい経験をしてきた棋士って殆どいないんじゃないでしょうか。

でも勝率5割を切るほど不調だったのが、よく1年で三冠まで復調したものだと思います。
この漫画を読んでると、とてもそんな天才には見えないんですけどネ(そこがまた面白い)。

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