質問に答えます②(過去の質問より抜粋)消防設備士甲種1〜5類の難易度

消防設備士に関する質問がちょくちょく来るので、以前の回答への補足という形で、改めて記事にしました。

まず合格率データをピックアップ。

2019年のデータでは、

乙7(56.7)>>乙6(37.8)≧甲3(37.7)≧甲2(36.3)>甲5(33.5)>甲4(32.7)>甲1(26.1)>甲特(21.0)となっています。

このデータだけ見ると、「乙7だけは簡単で、乙6〜甲種2・3・4・5類は同じくらい、甲種1類と特類が一段階更に難しくなるんだな」という印象を受けると思います。

ただ、管理人が実際に各類の勉強にかかった手間と、実際に本試験を受験した感触を総合的に判断すると…

乙7<<<乙6<甲5<甲3≦甲2<甲4<甲1

と感じました(※特類、乙1〜5は受験してないのでノーコメントです。)

ちなみに管理人は乙7は二種電気工事士+甲種4類免状でもって「法令共通・基礎知識・電気・実技免除」、

甲2・3類は甲種1類免状でもって「法令共通7問+基礎知識10問免除」して受験したため、そこは割り引いて考える必要があります。

もし仮に科目免除を利用せずに全科目受験するとしたら…
「試験自体の難易度」「問題集の充実度(使いやすさ)」「覚える知識量そのものの多さ」といったことをトータルしたら、

(易)乙7≦乙6<甲5<甲4<甲1≦甲2=甲3(難)
になるのではないかと思います。

甲種5類は避難器具、甲種4類は火災報知設備に関する資格です。

すでに電気工事士などの電気系知識を持っている人は、多分4類の方が簡単に感じると思いますが、それを差し引いても5類は避難器具(避難はしご・緩降機・救助袋)のイメージが掴みやすいこと、基礎的知識は機械分野のみからの出題なので、合格点がとりやすいのです。

甲種1・2・3類は、まず基礎的知識で電気・機械の両分野から出題されるので、機械のみの5類・電気のみの4類と比較して、単純に勉強量が増えます。決して難しくはないものの、文系の人にとっては楽ではない難易度です。

甲種1類と2・3類を比較すると、1類のほうがずっと出題範囲が広く、覚える知識量も多いです。

ただ、1種は、スプリンクラーや屋内・屋外消火栓など、比較的身近な設備を扱っていることもあって、実は意外と覚えやすいんです。
難しい論点もいくつかあるし、覚える知識量は1~5類の中では一番多いものの、割と身近にある設備なので、イメージはつかみやすいです。

また、1種は、4・6・7類ほどではないけど、問題集がそこそこ充実している方なので、使いにくいということもないです。
とりあえず市販の問題集に書いてあることを忠実に勉強すれば、何だかんだ言っても合格点は取れます。

それに対して、2類は泡消火設備、3類は不活性ガス消火設備・ハロゲン消化設備・粉末消化設備と、あまり身近ではないマニアックな設備を扱っていることもあって、正直とっつきにくいと感じました。

また、マニアック故に受験者も少ないため、市販の問題集があまり充実しておらず、自力で工夫しながら勉強しなければいけないところが多く、勉強の効率があまりよくありませんでした。

特に、甲種2類は「泡消火設備」のみを対象としているので、覚える知識量は少なく、問題集を一通り解いた段階では「2類って甲種の中では一番簡単じゃない?」と錯覚してしまうのです。

ところが、覚えることが少ない分、細かい知識を問う問題が多いため、本試験の実技問題で苦戦を強いられる人が多い印象を受けました。
実際、管理人も、甲種1・4・5類の実技は70~80%台の得点率で合格できましたが、2類と3類の実技は62%とかなり際どかったです…あと1つ間違ったらアウトだったよ(゚Д゚;)

それにも関わらず、甲種2類・3類の合格率が甲種1類よりも高いのは、試験慣れしている受験生の割合が高いからです。

実際、管理人が甲2を愛知で受験したとき、同じ部屋の受験生は全員科目免除有りの人でしたし、甲3の時も半分以上は何らかの科目免除有りでした。

そもそも初めて甲種受験で、いきなりマイナー種の2・3類を選択する人はあまりいないわけです。大抵は電気工事士つながりで4類から受験する人が多いですし、甲種2・3類を受験する頃には、すでに甲種1類や4類を持っている状態で受験している人が多いので、比較的高めの合格率になっていると思われます。

また、乙7の合格率が突出して高いのも、第二種電気工事士を取得した後に受験する人が多いからです。実際、実技免除の受験生の割合はかなり高かったです。

逆に、乙6(消火器)は、消防設備士試験の登竜門的な存在でもあるためか、試験にあまり慣れていない受験生も少なくありません。特に消防設備士の場合は、記述式試験もあるため、対策が不十分なまま受験している人も結構多いことから、難易度の割には合格率が低めになっていると考えられます。

このように、消防設備士各類の合格率は、科目免除制度とその活用度によって左右される側面が大きいので、決して鵜呑みにしないことが大事だと思います。

※「消防設備士甲種は受験資格が必要なのでは?」という疑問を持つ方が一定数いると思いますが、これに関しては「第二種電気工事士」や「無線従事者」で甲種1〜5類の受験資格が得られるので、実質的に誰でも受験できる資格試験として扱っています。

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コメント

  1. シーラ より:

    甲種の受験資格取るのに、第二種電気工事士簡単だからおすすめ、とか書いてあるブログを見ると一気に萎えますね。どうせ実務で必要だからとっちゃえってんならわかるんですが。
    簡単さなら、「レーダー級海上特殊無線技士」の右に出るものはないでしょう。陸上特殊無線技士を勧めている人も多いですが、それと比べても断トツの易しさです。○×式で60%取ればいいので、完全にサイコロだけで受かるかもしれないくらいです。比べると4級アマチュアの問題が超難問に見えるレベルです。

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      シーラさん
      無線従事者は科目免除がないので、それなら最初から二電工を目指したほうがいいのと、そもそも無線従事者で受験資格が取れることを知らないかのどっちかでしょうね。
      レーダー海特の存在を忘れてましたwそういえば⚪︎×式でしたね。

      • シーラ より:

        そういえばコロナ禍最後の駆け込みぎりぎり実施の甲4受けてやっと受かりました。
        やはり科目免除無しです。結果的に全科目60%はクリアしたので科目免除にしたほうが楽だったかもですが、問題数が減るプレッシャーはきついです。共通科目は易しめなんでやっぱり免除無しのほうが良いかなーと。
        過去問題公開無しの実技試験は苦手意識ありますねー。参考書の実技問題全パターン暗記でも解けない問題出ますから…(学科編を完璧にすれば書けるはずなんですが、そこまでやり込まないで受けてるので‥.)

      • miwa@管理人miwa@管理人 より:

        シーラさん
        甲種4類合格おめでとうございます!ギリギリ滑り込みセーフでしたね。
        4類は参考書通り(あるいは似ている)問題が多いので、パターン暗記でもどうにかなるのが救いですね。
        4類はよっぽど基礎知識(電気)が苦手な人以外は、科目免除しないほうがいいでしょうね。

  2. りゅう より:

    消防設備士の難易度は得手不得手も
    あり一概には言えませんね(・∀・)

    私は乙種7類の実技は免除しましたが
    それ以外は免除なしで受験してます。

    個人的難易度は

    難しい
    甲種3類 数字が細かすぎる

    甲種1類 無駄に範囲広い&全揚程の
         計算面倒くさい
         
    甲種2類 マニアック過ぎる

    甲種4類 4類の製図嫌い

    甲種5類 甲種の中では最も簡単
         (乙6と大差ナシ)

    乙種6類 工藤本やればまず受かる

    乙種7類 電工持ちならヌルゲー
    簡単

    こんな感じです、、、

    甲種特類はまだ未着手なんで
    ノーコメント

    ただやはりどんな簡単な試験でも
    油断禁物です。

    電験3種 エネルギー管理士電気を
    国家試験で合格し
    甲種1類や甲種2類も一発合格した
    強者でも乙種7類の実技50点で
    不合格となっています、、、

    ↓↓↓↓

    https://ameblo.jp/kaitogonkilla/entry-12136656867.html

    私の機械保全技能士(電気保全作業)
    の師匠でもある方なんですけどね

    私の1級電気保全技能士(平成31年度)
    の体験談も載せて頂いてます(・∀・)

    よかったら覗いてみてくださいm(_ _)m

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      りゅうさん
      物理科目が得意とか、電気系の資格をもっているかどうかで、難易度の印象は大きく変わってくると思います。
      理系科目が得意ではない人にとっては、やっぱり1・2・3類は面倒くさいんじゃないかな。
      乙7はどのタイミングでその資格の存在を知るか、にもよりますよね。
      私は旦那から、乙7は電気工事士があると楽だよ(実技が免除になる)と聞いていたので、最初から二電工を取った後にやろうと決めていましたが。
      ただそれを知らない人が、乙7の合格率をみただけで、乙7が一番簡単そうだから乙7をやろう、となってしまったら気の毒だなとおもいます。

  3. りゅう より:

    あ、、、間違えたm(_ _)m

    体験談

    平成30年度でした、、、
    (私のは、その2)

    訂正いたします。

  4. 北京大興国際空港(PKX) より:

    こんにちは。

    いつも貴重な情報提供を下さり、ありがとうございます。
    数々のご指南に従い(たまには従わず)
    実際に私が受けてみた感想を述べさせて頂きます。
    よろしくお願いいたします。

    ◆私の基本スペック

    IQ100未満95以上老眼持ち。
    二電工持ち、一電工一度失敗、電験は本の分厚さを見てやる気なし。
    消防設備に全く興味なし。
    なのに受けた理由は結構資格マニアで討論されることが多いので
    どんなものなのか知ってみようかと思ったため。

    ◆消防設備士試験を受けてみた感想

    共通法令 最初は大の苦手でしたが
         もう10回以上受けたので今は楽勝になりました。
         しかし普通10回以上共通法令を受ける人は
         余りいないのではないかと思いますので、、
         他人にアドバイスはできませんね。

    共通基礎 電気機械ともに超楽勝でした。
         これは電工持ちだからというよりも、
         自分は記憶力勝負が苦手な分、
         理論勝負は人並み以上だっただなのだと思います。
         つまり個人的に得意分野だというだけの話ですので、
         これも他人にこうすればよいなんてアドバイスはできませんね。

    甲1 あの意味不明で規則性のない数字に大苦戦しましたわ。
       5回目合格時点でも数字把握は不完全でしたよ。

    甲2 1回目の受験結果待ちで点数はちょっとやばいすかね。
       管理人殿は 
       >覚えることが少ない分、細かい知識を問う問題が多い
       とおっしゃっていましたが、私は
       >覚えることとしてテキストに書いていない問題が多い
       と感じましたよ。

    甲4 2回受けて2回とも普通に合格しました。
       製図の初見はどんぶりとゲジゲジに抵抗感があったが、
       妙な記号を使っているだけの話で、管理人殿のおっしゃるとおり、
       理屈が解ってしまえば、製図は確実性の高い稼ぎどころですね。

    甲5 これも2回受けて2回とも合格はしましたが、
       最初は1類同様の意味不明数字軍団に加えて
       鑑別に登場する意味不明商品名軍団に参りました。
       ところが2ちゃんねるスレにある晒し問題を見て状況は一変しました。
       5類は他類よりも繰り返し再出題率が高いということが解ったので、
       そこに出てくるものに絞って覚えたら案の定楽勝でした。

    乙6&乙7 覚える物量が少ないので大変ではなかったですけど、
          思っていた程簡単ではなかったです。

    甲3 Ω本を開いたとたん、0.32とか2.7とかが見えたので、
       嫌な予感がしている最中です。

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      >北京大興国際空港(PKX)さん
      消防設備士の共通法令は得点源になるところなので、免除はしない方がいいと思っています。
      (甲種2・3類の時は基礎を免除にしたいがために止む無く免除しちゃったけど)
      基礎は、内容的にはそんなに難しくはないので、これも免除するかどうかは結構意見が分かれるところですかね。
      ただ、足切不合格のリスクを減らす、という観点から、10問まるまる免除にできるなら免除したほうがいいと思ったので、甲種2・3類では免除にしました。
      甲種2類って地味にキツイですよね。
      勉強中は楽勝だと思っていたら本試験で地獄に突き落とされる的なw
      Ωテキストと問題集が出題傾向と微妙に合ってないから辛いんですよね。
      甲種3類も同じ。本当に弘文社さんに頑張ってほしいですw

  5. 北京大興国際空港(PKX) より:

    こんにちわ。

    最後は消防設備士試験受験の感想です。
    Q&A形式でまいります。

    Q.消防設備士試験って一言でいうと何だったと思いますか。

    A.数字の暗記力テストでした。

    Q.試験勉強は楽しかったですか。

    A.ご想像通りの回答になります。
     ちなみに楽しかった他の試験は火薬と貸金です。

    Q.試験内容について何か感じたことはありましたか。

    A.4類の内容で「押入れに取り付ける感知器は定温特種」
     というのがありました。
     特種というからには特別な場所につけるものだと思うけど、
     なんでドラえもんの寝床ごときに特種なのよと
     ずっと疑問に思っていましたが、ある日偶然理由が解りました。
     火災を種類別に分けると「燻焼火災」というのがありまして、
     これは蚊取り線香みたいに炎をあげずにくすぶり続けた燃焼が
     火災につながるパターンのことを言うそうです。
     それでかつての火災は寝たばこが原因の「燻焼火災」が多く、
     消し忘れのたばこの吸い殻が押入れの布団の中にまぎれていると、
     温度が急激に上がることがなく、押入れ内部で徐々に燃え広がるので、
     温度差の急激な変化をとらえる差動式では駄目で、
     定温それも早く感知するために最高感度のものが要る、
     しかし煙感知器は高額すぎる、ということがその理由でした。
     試験にするならこういう事をもっと聴いてほしかったです。
     3.7とか6000なんて法律次第でどうせすぐ変わるもの
     そんなに聴いて何の意味があるんだよといつも思いました。

    Q.試験に関して良かったと思ったことは何ですか。

    A.地方開催へのお出かけはわりと楽しかったかな。
     最近はこういう理由でもないと遠出できないし。
     埼玉大学なんてこんなことがなければ
     どこにあるのかさえ一生解りませんでした。

    Q.試験に関して悪かったと思ったことは何ですか。

     知らず知らずのうちにお金が飛ぶことです。
     全類終了までにかかった費用を積算してみました。

     (受験料)
     特類 5700×4(1回合否未確定、1回放棄予定)
     1類 5700×5 
     2類 5700×2
     3類 5700×2(1回放棄)
     4類 5700×2(2回合格)
     5類 5700×2(2回合格)
     6類 3800
     7類 3800
     (免状申請料)
        2900×8
     (テキスト代)
     特類 5390+2200+2970+2970+2200
     1類 3564+3240+3456
     2類 2530
     3類 2530
     4類 2200+1944
     5類 2700
     6類 2808
     7類 2376

    合計 ¥167,478(ネット使用料と交通費等の経費を除く)
    電気工事士取得費用なんか目じゃないです。
    最初は146で終えるつもりだったのですが、
    ずるずると続けてしまいました。麻薬やパチンコみたいなもんだな。

    Q.これから試験を受ける方々に何かアドバイスはありますか。

    A.特23は笹塚で受けるな地方で受けろ、ですかね。

    Q.ロビンはどうでしたか。

    A.混んでて入れませんでした。

    以上、これまでご指南ご観覧、及びリプライをくださりありがとうございました。来年は良い年になるよう祈念いたします。

    • miwa@管理人miwa@管理人 より:

      北京大興国際空港(PKX)さん
      そりゃ8種類を複数回受けていたら、結構な費用が嵩みますよね…。
      1回あたりは1万円〜2万円程度でも、8回分ですからね。
      最後に特類のテキスト代が痛そうです。

      ロビンは平日に行くか、ランチタイムを外していくと入れると思いますよ。

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