2006年~2008年の社労士受験生時代、私のバイブルはこの本でした。
弁護士で元大阪市の助役だった大平光代氏が、中学時代のいじめ・自殺未遂・暴力団組長の妻・ホステス生活…と、どん底の生活を送ってた後、宅建・司法書士・司法試験合格を経て弁護士になるまでの立ち直りの経緯を書いた本。
約20年前にベストセラーになったので、読んだことのある方も多いと思います。
この本を初めて読んだのはmiwaが大学生の時でしたが、私が社会保険労務士試験の勉強をしていた当時(2006年〜2008年)、勉強が苦しくなったときは、いつもこの本を読み返していました。
私は、中学生のときにいじめられたということが、どうしても忘れられなかった。
客観的には暴力団の世界にいたときのほうがどん底だったけど、主観的には、中学校の頃の方が辛かった。そのことを全部、話した。
聞き終わると、大平さんは、
「そーか、そんなに辛かったんか。くやしかったやろ、今でも恨んでるか」
と私に聞いた。
私は、そのときもまだ、過去の恨みを引きずっていた。これまで受けてきた仕打ち、今までの恨みつらみが、立ち直ろうと決意したぐらいで、そう簡単に消えるものではない。
私は、大平さんの言わんとしていることの意図をさぐれないまま、
「うん、恨んでるよ。いじめられたときのことだけは絶対にに忘れられへん」
と返事をした。
すると、
「だったら、復讐をしたらええやんか、でもその方法を誤ったらあかん。もし相手に危害を加えたり、陥れたりする方法で復讐したら、傷つけてしまった相手は二度と元に戻れへんし、自分自身にも跳ね返ってくる。それよりも、最大の復讐は、自分が立ち直ることや。そして、なにか資格を身につけなさい。例えばもし憎い相手が簿記の三級の資格を持っているなら自分は二級を取りなさい。相手が二級なら自分は一級。そうすると相手を追い越したことになって気持ちもすっとするやろうし、自分のためにもなる。これも立派な復讐とちがうか」
と言ってくれた。
大平さんはなにも復讐をせよと言いたかったのではなく、私になんとかやる気を起こさせようと思い、そのように言ってくれたのだと思う。
「よ〜し、資格を取る!」
私は、これまで恨みつらみに向けていた全エネルギーを、資格取得のために向けることに決めた。そう決心した私に、大平さんは勉強机を贈ってくれた。
それからの私は、今までの人生を取り返すかのように、勉強を始めた。
(文庫本p150~152より引用)
私にも、今までの人生の中で、殺してやりたいくらい嫌いな人・そこまではいかないけど一生許さないと決めている人が何人かいます。
なんか物騒だな!オイ!
いや、正確には「10代~20代の頃には、そのくらい嫌いな人がいました」が正しいですね。
アラフォーになった今では、殺してやりたいレベルまで憎い人はいませんので安心してくださいw
(というか私の脳内から存在そのものを抹殺しているという感じ。たまにふっと思い出すこともあるけど、ああそういえばそんな人もいたっけねーwwwくらいにしか思わないです。)
私は神様じゃないので、左の頬をぶたれて右の頬を差し出せるほど人間ができていません。
だから「復讐だなんてよくないよ」という綺麗事は言いません。そんなことは口が裂けても言いたくありません。
許した方が楽になるよとか、そういうことも言いたくないです。
殺してやりたいくらい強い負の感情に無理やり蓋をしても、蓋の中でグツグツ煮詰まっていつか爆発するので、自分の納得がいく方法でうまく折り合いをつけていく、どこかできちんと精算するしかないと思っています。
(だからといって肉体的に危害を加えるのは、正当防衛として認められるケースを除いてやめたほうがいいです。自分が犯罪者として捕まる復讐方法はトータルで見ると割に合わないので、それは極力避けたほうがいいです。)
なので、大平さんの言うように、復讐したいんだったら思いっきり「復讐」すればええやん、一番いい復讐は自分が立ち直ることや、という考えは、「なるほど!」と、とても腑に落ちたんです。
私自身は、過去の恨みつらみを晴らしたくて社労士試験の勉強を始めたわけではありませんが、ただ、試験に合格したことがきっかけで、自分の心境がよい方向に変化した部分はあります。
社労士試験に合格する少し前に職場を変わったんですけど、転職先の職場の人間関係がなかなかひどくて、ぶっちゃけすぐにやめるつもりでいました。
でも、社労士試験に合格した後、不思議なことに、仕事を辞めたい気持ちだとか、職場の人達に対する嫌な感情みたいなものがスッと落ち着いたんですよ。
「仕事を辞めるのはいつでもできる。焦って今すぐ辞めなくても、仕事を一通り覚えて、お金を貯めてから辞めてもいいじゃない。私のことが嫌いな人のことは最低限の付き合いで済ませりゃいいと割り切ればいいんだよ」
と気持ちに余裕が持てるようになったのです。
今思うと、これは自分で努力して合格を勝ち取った自信や嬉しさ、達成感、充足感などに比べると、職場での悩みや不安、イライラが相対的に小さく感じられるようになったからではないかと思うのです。
※miwa注:社労士試験の合格は、選択式の救済措置に救われた部分はありましたが、そもそも択一・選択式ともにトータルの合格点をクリアしていなければ合格できない試験なので、「ラッキーに救われた部分もあったけど、択一で合格点が取れるだけの努力したからこそ合格できた」と思っています。過去2回はどっちもトータル点が足りてなかったからね。
確かに、資格を取るための努力・勉強に集中することは、誰も傷つかない復讐法の一つであり、復讐心は自分のモチベーションを高めてくれる強大なエネルギー源になってくれるのは事実だと思います。
資格を取る勉強のいいところは、最初は見返してやりたいとか負の感情が強くても、目標に向かって勉強に集中しているうちに、良くも悪くも勉強のことで頭がいっぱいになるので、昔の恨みや嫌いだった人のことをいちいち思い出す暇がなくなることです。
図らずも、嫌な人に関する情報をシャットアウトしているうちに、嫌な記憶を思い出す頻度や時間も減っていく。
そういう意味では、努力や熱中の対象は必ずしも資格取得である必要はないと思います。
他に何か好きな事や得意なこと・趣味が既にあるんだったら、そちらに注力すればいいし、仕事に熱中するのもいい。
ただ、資格試験のいいところは、目標がわかりやすい(合格基準点があるので合格に焦点をあてて頑張ればよい)のと、比較的短期間で努力の成果が現れる(数ヵ月~1年頑張れば合格に到達できる)ところでしょう。
自分としては、「何かを頑張ってみたいけど、何をやったらよいのかよくわからない、これといった趣味や特技があるわけでもないし、仕事にやりがいを感じてるわけでもない」という曖昧模糊な状態にある方には、資格取得のための勉強を全力でお勧めしたいです。
目標が曖昧すぎたり、自分のスペックに対して高すぎる目標は挫折につながりやすいので、目標達成までにかかる時間はほどほどで、現実的に少し背伸びして頑張れば届きそうな目標がいい。
そういう意味では資格取得は手近な努力目標としてもちょうどよいのです。
また、努力した結果、目標としている試験に合格できれば、「自分だってやればできるじゃん」という自信が持てるようになります。
単純に、今まで出来なかったことができるようになることで得られる自信は、根拠のない自信や虚勢と違って健全な自信です。
大平さんも、最初は宅建(旧・宅地建物取引主任者試験)の勉強から始めて、3か月間の集中学習で一発合格できたことで「自分だってやればできるじゃないか」と自信を取り戻したことがとても大きいと思うんです。最初から司法試験だったら確実に挫折していますよ。
もちろん、単に資格取得のための勉強だけが要因ではなく、立ち直りの過程で精神的に支えてくれた養父の大平さんやその会社関係者の方々、両親などの存在も大きかったでしょうが、大平さん自身が立ち直ろうとして真剣に努力していたからこそ、周りの人も応援してくれていたと思うのです。
コメント
高校辞めた後に引きこもり→フリーターをえて、通信高校→大学をでて、某上場企業に入ったことを思い出しました。
色んなことを恨みながら勉強して、エネルギー管理士とか第一種電気工事士に試験合格しました。
>田中秀明さん
高校中退→引きこもり→フリーター→通信高校→大学→某上場企業とは波乱万丈?な人生ですね。
中退や引きこもりから立ち直れない人も多いですが、そこから這い上がるのは結構エネルギーが必要だと思います。
私は。大学を卒業した後、その系列の大学院(修士課程)に行きましたが、
そこで修士課程を修了することはできませんでした。
今考えてみますと、私の実力不足が合ったことは否めませんが、
その当時の指導教授が、ほぼ面倒を見なかったにも関わらず、
2年在籍した後に、半ば強引に退学を要求してきたのです。
しかも結局退学措置となりました。
ですので、このことがあってから、
大学の先生を信じることができなくなってしまいました。
その後紆余曲折を経て、再度別の大学院に入り直し、
指導教授の求めるレベルには達していなかったものの、
修士課程を修了させていただきました。
ですので、2度目の指導教授には、感謝しかありません。
実は2度目の指導教授からは毎年のように
年賀状をいただいているだけでなく、
資格や就職に関しても、かつての教え子のことを
親身になって考えてくださっています。
私にとっては、このような経緯を辿ったことから、
2度目の指導教授を抜かして、
未だに大学の先生を信じきれずにおります。
>MTさん
>その当時の指導教授が、ほぼ面倒を見なかったにも関わらず、2年在籍した後に、半ば強引に退学を要求してきたのです。しかも結局退学措置となりました。
たまたまそういう教授に当たってしまったのが不運だったのか、そもそも修士課程がそういうところなのか(ある程度自力で研究できることが前提で、手取り足取り面倒を見る所ではない)はわかりませんが、だとしてもちょっと酷いですね。
先生不信になるのも仕方がないような。
とはいっても、二度目の指導教授はなかなか面倒見がよかったのですね。
miwa師匠と同じで、自分も社労士受験時代の職場環境はサイアクでした!!
アイツらには負けないとか、会社を最悪辞めても社労士資格があれば食っていける!!という気持ちがエネルギーになってましたねぇ!!
合格したら自信が取り戻せ、精神的余裕が生まれました!!
ただ、社労士の救済はホント心臓によくないです!!(笑)
>小泉洋さん
そうそう、「会社を最悪辞めても社労士資格があれば食っていける」という精神的余裕のメリットは計り知れないですよね。
私もこの余裕がなかったら、入ったばかりの職場を3か月で辞めていたと思いますw
怒りをエネルギーに勉強してる方が
多いですね(・_・;)
自分もその1人ですがw
理不尽な世の中に文句ばかり言っても
変わらない・・・
それなら仕返ししてやりましょう(・∀・)
今の会社高卒で入社した当時あまりのブラック状態でして。
当時減らされていた給料取り返すために
勉強始めたようなもんです(・∀・)
入社してから今までの資格取得奨励金
計算してみたら47万円でした。
入社してからは10年以上経ちますが
勉強始めたのは4年くらい?なんで
まずまずかな?
みわさんならうちの会社くれば奨励金だけで
200万円は稼げてるかと(・∀・)もっとかも?
会社も改善され、サービス残業、
給与削減、サービス休日出勤
なんかもなくなり、年1の昇給もあるようになり
だいぶマトモになってきました。
↑当たり前のことなんだけど
元々がひど過ぎたんで・・・
それにしても
石川工場だけでも数百人いるのに
だ〜れも、なーんにも受験しないんですよね(・_・;)
乙種危険物やボイラー2級レベルでも1万円当たるんやし受ければいいのに←
怒りのエネルギーは大きいですからね。
それを勉強に向けるのは誰も傷つかないし、自分の知識も増えるからいいことづくめだと思いますよ。
資格取得奨励金47万円!なかなかすごい!
ただまぁ勉強の習慣がないと、1万円程度(程度ってことはないけど)ではなかなか重たい腰があげられないのでは…。
それこそユーキャンとかそういうのを利用しないと受からないみたいに思っていたりして。
なーんか、資格は取ったら負けみたいな風潮がありますねえ。取ったら責任重くなったり仕事大変になりそう、取るの大変、妬まれるし(笑)。そもそも勉強嫌いなんですね。(早慶出てても)。10万もらっても嫌とか良く聞きます。出向した同僚が出向先で講習料金が高い資格取らされてきてうらやましかったりするんですが。本人は嫌がってました。講習受けるだけで給料もらえるとか天国過ぎる。
ワタシもかつては怒りやイライラを資格の学習にぶつけておりました。
ただ、今年の10月あたりから心はいたって平穏でございます…解脱できたのかもしれません…今は仏の心で学習しております…雑念がございません…
そのおかげなのか、この前受験した強敵(とも)のBatic subject 2制覇見込でございます…
これからも、凪いだ海のような静かな心で学習していく所存でございます…
>takataka1917さん
強敵(とも)のBatic subject 2制覇はすごいですね!
最初のうちは負のエネルギーが強くても、だんだんと浄化されていく感覚はあると思いますよ(ここはスピリチュアルブログじゃないので、あまりそういうことは言いたくないですけど)
勉強自体が修行の一種のようなものですから。
こんにちは
この本は知ってはいたのですが、読んだことがなかったので図書館で借りてきました。
読みやすかったのと、想像を超える内容だったので引き込まれ、一気読みしました。
私は平々凡々に過ごしてきて、復讐したい人はいませんが、資格を取るきっかけのひとつに、『少しでも見返してやりたい』『バカにされないようにしたい』というのがありました。ツレの親族が医療関係や教育関係の高学歴のため(当方は高卒)ちょくちょく見下されているなぁと感じることがあったためです。
いくつか資格を取得していくうちに今はただ単に勉強は面白いし、試験を受ける時のドキドキ感(『試験始め』の声がかかる前のシーンとした時間)が好きです。
これからも身の丈にあった少し難易度の高い資格にチャレンジしていこうと思っています。
大平光代さんの本はもう一冊あるということなので、次回も楽しみにしています。
しろべぇさん
そう、この本読みやすいんで、一気に読んでしまうんですよ。
ベストセラーになったのもわかる気がします(当時)
復讐とまではいかなくても「今に見てろよ」「バカにされて悔しい」といった気持ちがあるなら、目標とする資格試験に合格することで、気持ちがすっとします。
誰かの足を引っ張ったりするよりも、自分が努力して何かを得る方がよっぽど健全で平和だと思っています。
もう一冊の方の話は近々アップする予定です。
言われてみれば、そういう本もありましたね。ただ、ノンフィクション系は読まない
もので・・・。
将棋の奨励会でプロになり損ねた人が屈辱から司法試験を一発で合格したということ
が話題になったことがあります。今も新宿の方で事務所を開いているようです。
米谷**。
私はその、負のエネルギーをバネにして・・というようなものはあまりないでしょ
うか。
でも、ある先生から散々いじめられていました。生徒間では、いじめるのも、いじめ
られるのも両方経験していて、両方とも、その両親が自宅に乗り込んできて、直談判
しました。 で、その先生から散々、点取り虫と言われてて。音楽、美術、保健体
育、技術家庭は並以下なのに、いわゆる5教科(英、数、国、理、社)だけ成績がいい
とか何とか言って批判されていた。 点取り虫といっても、授業で100%理解して
それで完結して勉強することはほとんどなかったから、点取り虫と言われるのは
ちょっと違うとは思っていました。 それ以外に、努力が足りない、性格が悪い、
など散々でした。一番辛かったのは、「お前は宇宙人だ、この学校から出ていけ」と
言われたことが一回あり、泣きながら教室を出ていったことがありました。自分も
辛かったけどさすがに先生も少しうろたえていたようです。
時は過ぎ、高校入試。私は5パーセント入学を目指していました。5パーセント入学
というのは今もあるのかどうか知りませんが。
私のやった復讐というのは、敷かれたレールを蹴散らかすことでした。高校入試で
答えをわざと間違えて回答しました。それも大幅に。 父は帰りの車の中で、「お前は
人生で、はじめて挫折というものを経験した」とかなんとか言っちゃってるんですが、
心のなかでは、あんな高校、やる気があれば簡単に合格できるよと思ってました。
その公立は不合格で、2流の私立高校に行きました。
その私立高校でも、中間試験などで、答えをわざと間違えて、馬鹿の仲間入りを
しました。200人中、120番くらいだったから、かなり落ちこぼれですね。とにかく
敷かれたレールをすべて蹴散らかすことが目的でした。 大学入試でも、結局、
偏差値48くらいの3流私大でした。 あの話題になった、加計なんですが・・・。
>ma_boさん
奨励会でプロになり損ねた人は司法書士じゃなかったかな?>米谷さん
先生もキチ○イじみた人格障害っぽいのが一定数いますからねぇ(呆)
そういう先生に当たったら運が悪かったと思うしかないのかしら。
先生もそうだけどクラスメートもそうですよね。
いじめっことかそんなのが近くにいたら不運だと思うしかない(苦笑)
点取り虫って言われても、そりゃ5教科の方が得意な人もいれば、実技科目が得意な人だっているでしょう。
5%入学の意味は地域によって違うと思いますけど、北海道は、公立高校には学区外の枠が定員の5%(2%)だった記憶があります。今もあるのかな?