(小ネタ)自分の両親が生まれる前の日商簿記1級の過去問を手に入れてみた!

日商簿記1級の勉強をしているとき、
「そういえば漢検1級の時、(平成4年~平成25年までの)古い過去問を国会図書館で複写してもらったよな…。ってことは、日商簿記1級も、もしかしたら古い過去問題が国会図書館にあるんじゃないの?」
「もしあるとしたら、どのくらい古い問題が入手できるのかな?」

ということが気になったので、国会図書館のサイトで検索してみました。

調べたところ、日商簿記検定は、昭和29年11月21日に第1回目の試験が実施されています。

参考:第1回簿記検定についての案内
名古屋商工会議所月報 : 9月(141) 簿記検定試験について / / p50 (0028.jp2)

昭和29年というと…1954年。
今からなんと65年前!( ゚Д゚)!

miwaも当然まだ生まれていませんが、miwaの両親ですらまだ生まれていない!!
ひゃ~~こんなに昔から、日商簿記の試験ってあったんですね!

そして国会図書館のサイトを検索してみたら…おお、やっぱりあったーー!!

中央経済社の月刊簿記 6(1)という雑誌に、「日本商工会議所主催 昭和29年11月施行 簿記検定試験の問題と解答 」というページがあったぞー(゚∀゚)!

※「月刊簿記」は、「経理実務」→「経理と経営」→「旬刊経理情報」と引き継がれているようです。

さて、この昭和29年11月、昭和30年7月の日商簿記検定では、どんな問題が出ていたのか、出題論点をピックアップしてみました。

昭和29年11月
・商業簿記:本支店会計合併損益計算書の作成
・工業簿記:勘定記入(製造・間接費・材料価格差異・製造間接費差異、賞与引当金、経費引当金)
・会計学:収益計上の原則についての説明(記述)

昭和30年7月
・商業簿記:損益計算書および貸借対照表の作成
・会計学:資本剰余金について(記述)
・工業簿記:精算表の作成
・原価計算:月末仕掛品原価の算定手続きについて(個別原価計算・総合原価計算・等級別総合原価計算・組別総合原価計算における相違点を述べる)

ついでに、第51回(昭和50年代…自分が生まれたあたり)の問題も請求してみた

・商業簿記;損益計算書の作成
・会計学:売上原価、減価償却、工事会計(工事進行基準)
・工業簿記:本社工場会計
・原価計算:連産品

こうしてみると、昭和29年と昭和30年代の問題はともかく、昭和50年代の問題は、現在の試験に近い形になっているという印象を受けました。

昭和30年代の問題は、なんかこう…全体的に「ざっくり」した感じの問題ですよね。計算や仕訳は単純そうだけど、理論問題は穴埋めとかではなく、論述で〇〇について文章で説明しなければいけないので、論述用の対策はちょっと面倒くさそうです。
あと、第51回は本社工場会計が出題された年だったか!
(※本社工場会計は、140回試験で30年ぶりの出題と言われていたCランク問題だったが、その3年後の149回試験であっさりリバイバル出題された。じゃあなんで30年で一度も出題されなかったのであろうか…。)

企業会計原則は1949年(昭和24年)に企業会計制度対策調査会が公表した会計基準ですし(1982年改正)、原価計算基準は1962年(昭和37年)大蔵省企業会計審議会が中間報告として公表した会計基準です。

そう考えると、年代が経っても、基本的な仕訳のルールや原価計算のやり方が変わっていないのであれば、現在の試験と比べてもそれほど大きな違いを感じないのも当然ともいえます。

まぁさすがに、昭和時代の過去問では、現在の試験では当たり前のように出題されている、税効果会計、リース会計(ファイナンス・リース取引)、減損会計などの問題は出題されていません。

それもそのはず「リース取引に関する会計基準」は1993年、「税効果会計に係る会計基準」は1998年、「固定資産の減損に係る会計基準」は2002年に設定されているので、1980年の試験に出ているわけがないのだw

一方で「時代の変化」は、試験問題にも反映されています。
昭和30年代~50年代の日本と、まもなく平成が終わろうとしている現在の日本を比べれば、当然産業構造や人口構造も変わっていますし、グローバル化も進んでいます。
だって昭和50年代の減価償却問題では、鉱山用機械の償却、鉱石の採掘(生産高比例)とかって言ってるんですよ。
さすがに今の時代では、こんな設定の問題は出ないでしょう。
そのかわり、今の時代では、ソフトウェア受注製作であったり、環境に配慮した製品などの設定で問題が作られています。

新たな会計基準(外貨建取引等会計処理基準、退職給付に係る会計基準、企業結合に係る会計基準、工事契約に関する会計基準、包括利益の表示に関する会計基準など)が追加されたことに伴い、昔の過去問には載っていない新問も続々と追加されています。

このように、時代が変わっても変わらない部分と、時代の変化の影響を受けて変化している部分。
この2つが組み合わさって、現代の試験問題が作られていることがよくわかります。

昔の試験問題はどういう問題なのか興味がありましたら、アマゾンのマーケットプレイスでは入手できない、昭和時代の古い過去問も、いくつか請求してみると面白いと思います。

古い過去問を紐解くことで、時代が経っても変わらない原理原則と、時代の変化の影響を受けて変わらざるを得ない部分がどこにあるのか、その差がよくわかるからです。

もちろん、今現在、日商簿記1級の勉強をしている人は、さすがに昭和時代30~40年代にまでさかのぼって勉強する必要はありません。
そこまで古い問題を解かなくても、直近の過去問15~30回分がマスターできたら合格点はとれます。というかそこまでやり切るのも大変ですし(汗)

でも、もし仮に1級の歴代過去問を複写請求するとしたら、試験の歴史が約64年分もあるので、その面倒くささたるや、漢検1級の比ではないですよ。

ちなみに漢検1級の時は、平成4年~平成25年まで、約64回分を複写してもらったところ、トータルで約6500円ほどかかりました(郵送代含む)。

ただ、漢検は問題1回につき、問題+解答ページでA4約3~4枚程度と比較的少ないので、64回分の複写を請求しても6,500円で済んだのですが、簿記1級は問題ページ以上に解答・解説ページの方がずっと量が多いので、仮にマケプレで手に入れられる過去問を手に入れたとしても、漢検1級の比じゃないレベルで複写料金がかかりそうです。

想像しただけで恐ろしい((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル

参考:テキスト・問題集・スクール講座へのリンク
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コメント

  1. takataka1917 より:

    こんにちは。

    昔の簿記1級の問題、論述があったのですか。結構厄介でありますね…それに当時はテキストと問題集が充実してなかったことを考えると、かなりの難関だったのかもしれませんね…

    本日はビジネス会計検定1級を受けました。
    手応えは、かなりあります。全問解答出来ました。金融業務能力検定の財務戦略エキスパートを以前受験していたのが、効いたのかもしれません。

    あと、ビジネスジョブパス1級落ちました。
    論述が50点中15点という散々なものでした…また挑戦します…

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      takataka1917さん
      今のように独学用の教材やツールが充実していれば、そこまで難しくないのでしょうが、
      昭和30年代では教材どころか資格スクールも充実していないと思うので、対策はすごく面倒くさいと思います。
      実際どうやって勉強していたのか、その当時の人に聞いてみたいですね(笑)
      ビジネス会計1級お疲れ様です。合格の手応えがありそうでよかったですね。
      ジョブパス1級は…結構難しいんですね。

  2. MT より:

    おはようございます。
    国立国会図書館のサイトから、過去問が手に入るとのことですので、
    私も参考までに見てみたくなりました。
    とはいえ、私の場合は下位級になると思いますが。

    なお、私は、2019年7月か、2020年2月のいずれかにおきまして、
    「リテールマーケティング(販売士)2級」を受験します。
    捻った問題が少ない代わりに、超久々の出題が目立つことから
    (大問1問から2問程度)、第37回からの過去問を取り寄せました。

    同時に、新参の問題(大問1問程度)も目立っていて、かつ計算問題も
    複雑になっているような印象を受けました。
    新参の問題に至っては、「受験生の勘で解いてください」(笑)
    という出題すら見受けられます。

    ただ、第81回「リテールマーケティング(販売士)2級」の合格率が
    問題の構成を変更してから、最低の合格率になった理由は、
    結局掴めませんでした。

    >古い過去問を紐解くことで、時代が経っても変わらない原理原則と、時代の変化の影響を受けて変わらざるを得ない部分がどこにあるのか、その差がよくわかるからです。
    簿記検定ではありませんが、私は知的財産管理技能検定で経験済みです。

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      MTさん
      昔の問題と今の問題を比べると、今の方が明らかに難しいです。
      ただ、今の時代は、教材が充実しているし、学校や資格スクールでの指導体制もある程度確立しているが故に、試験の難易度も上がっている(結局それなりに苦労する)のだと思います。
      そこは、スポーツの記録更新みたいなもんというか、1964年東京オリンピックの体操と、今の体操では、技の難易度がまるで違うのにも似ているのかなと思っています。
      旧販売士の試験は、良くも悪くも試験問題が多かったのですが、以前と比べるとシンプルになった感じがします。
      ただその分、ヤマを外すとかなり痛いんじゃないでしょうか。
      問題が少ない分、未知の問題が多いとそこが致命傷になってしまいますよね。

  3. MT より:

    今晩は。
    >昔の問題と今の問題を比べると、今の方が明らかに難しいです。
    私も同意見です。
    「パターンが決まっているので解きやすい」と思われている全経簿記ですら、
    そう言われるのが面白くないのか、難化傾向にありますからね。
    2019年度は、2級工業簿記が難化する可能性がありますし、
    私がなかなか合格に結び付かない2級商業簿記も、
    最近は受験生が手こずる問題が多いですからね。

    一方、リテールマーケティング(販売士)検定につきましては、
    無効となる解答や、範囲外の出題があることが明記されていますので、
    親切である、という印象を持っています。

    >問題が少ない分、未知の問題が多いとそこが致命傷になってしまいますよね。
    『第81回リテールマーケティング(販売士)2級検定試験』のうち、
    『販売・経営管理』では、銀行業務検定の『法務4級』で
    出題されるような内容が、35問中10問ほど出題されておりました。
    成美堂出版の『テキスト&問題集』には記載されていた項目でしたので、
    おそらく当時の受験生は、勉強をすっ飛ばした(←コラコラ!)ものと思われます。

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      MTさん
      パターンを増やしてマトを絞りづらくしている、というのもあるでしょうね。
      パターン学習には変わりなくても、以前だったら10やればよかった学習量が、今では15〜20に増えているみたいな。
      >無効となる解答や、範囲外の出題があることが明記されています
      ちなみに簿記も、難化だなんだのって言われていても、出題範囲外の問題が出てるわけではないんですよね。
      予備校の参考書や過去問題集には載っていないだけで、試験範囲表には一応載っているというwww

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