毛筆書写技能検定準1級・第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種・伊予切を中心に練習する

毛筆2級の臨書は実質的に粘葉本和漢朗詠集一択状態でしたが、毛筆準1級では複数種の古筆から出題されるようになります。

とはいっても、H18年からの準1級過去問を見る限りでは、高野切第一種、高野切第三種、伊予切からの出題が中心になっています。

ですので、臨書対策は、この3つの古筆を中心に練習すればよいです。

臨書練習用に、高野切第一種、高野切第三種、伊予切の本を買うことをお勧めしたい。
書道技法の解説本や名筆が1冊にまとめられているような本よりは、できるだけ収録作品数が多い本が望ましいです。
(そういう意味では、二玄社の日本名筆選シリーズがベストです)

なんでわざわざ本を買った方がよいのかというと、特に平成30年よりも前の過去問(手びきと問題集)の縮刷版は、字が小さくて特に細かい箇所や、カスレの箇所が読みづらいからです。

検定対策としては、必ずしも全臨は必要ないです。
過去に出題されたことのある箇所をメインに練習すればよいでしょう。
ただし、理論問題で「読み」問題として出題されたことがある箇所が、「臨書」問題で再出題されることもよくあるので、理論問題でしか出題実績がないものも、念のため練習しておくといいです。

半紙がもったいないので、1枚で4つくらいまとめて練習してました↓

高野切第一種
高野切第三種
伊予切の練習

また、古筆の臨書・理論問題ともに、6月試験(第1回)では春~夏に関する和歌、11月(第2回)は秋~冬に関する和歌、1月(第3回)は冬~春に関する和歌が好んで出題されます。

ですので、余力があれば、例えば第1回試験を受ける人は、高野切第一種・高野切第三種・伊予切は、過去の第1回の1級で出題実績があるものまで手を広げて練習するのも有効だと思います。

ところで、準1級のかな臨書の出題対象は、
・高野切(第一種・第二種・第三種)、
・粘葉本和漢朗詠集
・伊予切
・元暦校本万葉集
・曼殊院本古今集
・升色紙
・寸松庵色紙
・関戸本古今集
・大字朗詠集切
・元永本古今集
・継色紙
となっています。

現状では、高野切第一種、高野切第三種、伊予切からの出題が中心ではありますが、過去の毛筆準1級では、法輪寺切、高野切第二種、元永本古今集、元暦校本万葉集からの出題実績もあります。

ですが、法輪寺切は現在では出題範囲に含まれていません。
高野切第二種と元暦校本万葉集は頻出ではありません。
元永本古今集は上12下12と4冊に分かれています。

本の値段と頻出度を考慮すると、これらの本は、検定対策としては買わなくても差し支えないと思います。
(多少の小ささは我慢して)過去問で練習するか、国会図書館等で出題箇所になっている部分だけコピーしてもらえば十分でしょう。

また、升色紙、寸松庵色紙、大字朗詠集切などは、昭和の時代の1級では出題実績があります。
ですが、平成以降の1級・準1級での出題実績はないので、準1級の時点では練習はしなくても大丈夫です。

※もし、升色紙、寸松庵色紙、継色紙が出題されるとしたら、半紙の使い方が指示が変わると思いますので、本当に万が一出題された時は問題文の指示書きをちゃんと読んだ方が良いと思います。
でも1級ならともかく、準1級で出題される可能性は限りなくゼロに近い気がします。

升色紙、寸松庵色紙、継色紙の「三色紙」は、準1級の実技には出題されたことはありませんが、理論の方では作者名と著者名がよく出題されていますので、それはちゃんと覚える必要はあります。
(升色紙:伝・藤原行成、寸松庵色紙:伝・紀貫之、継色紙:伝・小野道風)

粘葉本和漢朗詠集は、毛筆2級の臨書で必出の古筆です。
準1級でも、理論(読み問題)の方では割とよく出題されます。
ですが、臨書の方では出題実績は殆どないです。
R4-1では珍しく臨書の方でも出題されましたが、今回たまたまだったのか、今後は臨書の方でも粘葉本和漢朗詠集が頻出になるかどうかはわかりません。

とはいっても、粘葉本和漢朗詠集上・下巻は、準1級・1級の理論問題では頻出ですし、硬筆書写準1級・1級の理論問題でも良く出題されます。
毛筆2級を受験する時点で既に買ってる方もいらっしゃるとは思いますが、もしまだ持ってない方は、理論問題対策用として、粘葉本和漢朗詠集の上下巻を買うことをお勧めしたいです。

関戸本古今集は、毛筆1級では、臨書・理論ともに頻出です。
ですが、毛筆準1級では、過去には理論で一度出題されたことがあるくらいで、殆ど出題されません。
「毛筆1級を受験する人は必須だけど、準1級ではやらなくても差し支えない(まずは高野切と伊予切の練習を優先したほうがいい)」というのが私の印象です。

<毛筆書写技能検定準1級対策ページへのリンク>

毛筆書写技能検定準1級 使用した教材・道具類
毛筆書写技能検定準1級・過去問題の収集方法
①・毛筆書写技能検定準1級・第1問対策 上下左右に適度な余白を作る、過去に準1級・1級で主題された三体を覚える。
①・硬筆書写・毛筆書写準1級対策:草書体の練習だけで練習時間の6割を費やした理由
④・毛筆書写技能検定準1級・第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種・伊予切を中心に練習する
⑤・毛筆書写技能検定準1級・第5問(はがき)練習法~上下左右の余白と字の大きさに気を付ける
⑧・硬筆・毛筆書写技能検定準1級:旧字体・書写体対策~硬筆2級のドリルを使って書き取り練習をする
毛筆書写技能検定準1級対策(試験本番)~課題を書く順番と半紙の使用枚数 

コメント

タイトルとURLをコピーしました