毛筆書写技能検定は、必ずしも第1問から順番に取り組む必要はありません。
自分にとって書きやすい課題・書きやすい順番で書けばいいと思います。
私は、準1級の時は、まず第7問~第10問理論問題を回答してから、
第1問(楷書・行書・草書の3体)
第3問(漢字の臨書)
第6問(掲示文)
第2問(漢字かな交じり文)
第5問(葉書の表書き)
第4問(仮名の臨書)
の順番で課題を書いていました。
この順番になった理由は、
・とりあえず理論を先に片付けておく(手を温めるため)
・楷書→行書→草書の順番に書くほうが、筆法の切り替えがスムーズにできる(普段、書道教室でも、この順番で課題を書いている)
草書を書いた後に楷書を書くと、筆法の切り替えがうまくいかないことがたまにある。なんかカチッとした字にならない感じがする。
・大きい字を小さくするのはそれほど大変ではないが、小さい字を書いた後に大きい字を書こうとすると、こじんまりとした懐の狭い字になりやすい。
…といった理由からです。
なお、第1問楷行草三体と第3問漢字臨書は、臨書課題の内容によって順番を入れ替えていました。
第3問が楷書の臨書だったら先に臨書をやり、行書か草書だったら楷行草の三体を先に書くということです。
また、第1問の楷行草三体で万が一草書体が思い浮かばないようだったら、第1問は一旦後回しにして、他の課題を書き終えてから書こう(他の課題を書いているうちに思い出せるかもしれないから)、と決めていました。
今回(R4-1)の試験では、漢字臨書は「書譜(草書)」が出題されましたので、第1問の楷行草三体を書いてから、漢字臨書に取り組みました。
もし問題の順番通りに課題を書くとすると、漢字かな交じり文や仮名臨書のような柔らかい線を書いた後に、葉書や掲示文の楷書体を書くことになります。
(※管理人はハガキ・掲示文課題ともに楷書体で書いていました。)
仮名の臨書を書いてから、掲示文課題を書くと、どうにも線が細くなりやすいし、字もこじんまりとした感じになってしまいます。
なので、掲示文とはがき(どちらも楷書)を書いてから、漢字かな交じり文(行書)・仮名の順番で書いてみました。
…ですが、葉書の小さい字を書いた後に漢字かな交じり文を書いてみたら、今度は漢字かな交じり文の字が小さくなりすぎるんですね。
そのため、掲示文(楷書)→漢字かな交じり文(行書)→ハガキ(楷書)→仮名の順番に入れ替えたら、スムーズに課題が書けるようになりました。
掲示文と漢字かな交じり文は同じ筆を使っていたので、続けて書けば筆の交換をしなくて済むから楽、というのも良かった。
また、ハガキは楷書体で書いていましたけど、必ずしもカチッとした楷書体が求められるわけではないので、多少字形が崩れて行書体が混じっても大丈夫だろう、と判断したのもあります。
こんな感じで課題を書く順番を入れ替えていましたが、ここまで書いた私の課題を書く順番は、すべての課題について、2枚ずつ書くことを前提にしているものです。
ですが、毛筆の実技については、最終的には、各課題ごとに1枚ずつ提出できればいいので、もし1枚目でうまく書けたら、余った2枚目の半紙は他の課題に流用してもいいんです。
また、書き損じの半紙・提出しない方の半紙を、他の課題の練習用紙として再利用している人もいました。
実際、別の級を受験した時、試験監督も「半紙は12枚ありますが、必ずしも2枚ずつ書く必要はありません。1枚目でうまく書けたら、余った半紙は別の課題の練習に回しても構いません」的なことを言われた記憶があります。
でも私は敢えてそれはしない、どの課題も2枚ずつ書いて、よく書けた方を提出しようと決めていました。
なぜかというと、自分的に得意な課題だからといって、1枚目でうまく書けるとは限らないからです。
1枚目はどうしても本番ならではの緊張感で筆の運びが慎重になってしまい、線が細くなりすぎたり、余白の取り方や縦軸がズレるなどの細かいミスが発生しやすく、なかなか満足のいく仕上がりにならないことが多いのです。
「1発で決めよう!」と思い込みすぎると、肩に余計な力が入って失敗してしまうけど、もう1枚あるから大丈夫と考える方が、結果的に1枚目に書いたものの方が案外うまく書けたりしますしね。
なので、「1枚目は細かいミスが発生するのは当たり前。1枚目の細かいミスは2枚目で修正すればいい」と割り切ることにしました。
あと、書き損じや、提出しない方の半紙を練習用紙として再利用すること。
これは自分自身、書き損じの半紙で字を書く練習をするのが正直好きではないので、それもやりませんでした。
円運動(筆を動かす練習)や磨った墨の濃さを確認するのに使うのはいいんだけど、文字を書いているうちに「仮にこの紙でうまく書けたとしても、この紙を提出できるわけじゃないしなぁ」と思ってしまい、緊張感や集中力が途切れてしまうのが嫌なんですよね。
(墨の濃さを確認するための半紙は1枚だけ持ち込んでもOKなので、仮名用に磨った墨の濃さは、それで確認していました)
繰り返しになりますが、大事なことは本番で自分の実力を発揮できるのはどの順番か、事前にシミュレーションすることです。なのでここで書いた順番が唯一の正解ではありません。過去問を何パターンか通しで書いてみて、自分的に書きやすい順番を試してみてほしいです。
<毛筆書写技能検定準1級対策ページへのリンク>
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①・硬筆書写・毛筆書写準1級対策:草書体の練習だけで練習時間の6割を費やした理由
④・毛筆書写技能検定準1級・第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種・伊予切を中心に練習する
⑤・毛筆書写技能検定準1級・第5問(はがき)練習法~上下左右の余白と字の大きさに気を付ける
⑧・硬筆・毛筆書写技能検定準1級:旧字体・書写体対策~硬筆2級のドリルを使って書き取り練習をする
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