もう一つ、私が考える毛筆書写1級1発合格のコツ、というか結果的に「これが一発合格に繋がったのかも?」と感じたことは、第6問の「賞状」を1枚20分~25分で書けるまで練習したことだと思います。

①で書いたことと重複しますが、毛筆書写1級の試験時間は、実技と理論を併せて150分「しか」ないからです。
1級の実技は、
第1問:楷行草三体(5文字ずつ)
第2問:漢字かな交じり文(約50字)
第3問:漢字臨書
第4問:仮名臨書
第5問:自由作品(条幅)
第6問:賞状
理論は10分で完答するとして、残りの140分で6課題を完成させなくてはいけない。
1級の試験で意外と大変なのは、課題ごとに使う筆や道具が違うことです。
第1問は中筆、第2問は小筆、第3問は大筆、第4問は仮名用の小筆、第5問は選ぶ課題によりけり、第6問は小筆。
課題そのものを書く時間もだけど、道具の持ち替え、入れ替えの時間と手間が意外とバカにできないんですよね。
特に条幅は床に毛氈を敷く(当然、墨池や筆も床に置くことになる。教室内の空きテーブルを利用しても良いが、試験会場によって条幅を書くのに使えるスペースは違う)、書きあがった作品を新聞紙の上において乾かす、雅印代わりの赤マーカーを書き込んだりするので結構手間がかかりました。
実技6課題の中で、どうしても書くのに時間がかかってしまうのは、5の自由作品(条幅)と6の賞状です。
条幅は当日課題が出た時に、字の大小や書体などのレイアウトを考えるのにもある程度時間が必要ですし、賞状は楷書体でキッチリと書く必要があるからです。
「1枚を書くのに時間がかかるから、時間が足りなくなるのはしょうがない」と最初から思考停止するのではなく、「時間のかかる課題なのはしょうがないとしても、どこか時短できそうなところはないか?」と工夫することが大事だと思います。
そういう意味では、6の賞状は、過去問の練習が足りていないと1枚40~50分くらいかかってしまうけど、過去問でもってパターン練習をきちんとやり込めば、1枚あたり25~30分で書けるようになります。
私が賞状書きで時短をしていた箇所は、鉛筆でレイアウトを書く時間です。
このレイアウトをできるだけ素早く書けるように練習しました。
最初に問題文を見て、本文を3行で書くのか、4行で書くのかをまず決める(5行で書く問題はまず出ないので、3行パターンと4行パターンを練習しておけば大丈夫でしょう。)
3行パターン↓

4行パターン↓

この2パターンを、迷わずにサッサッサッと線を引けるようにしました。
定規はステッドラー レイアウト用方眼定規を使用。
(5ミリごとに升目が入ってる&真ん中に0が入ってる、透明なものが◎です。)
※私は硬筆の時からずっと30cmの定規を使ってましたが、40cmの方がより使いやすいかもしれないです。
50cmだと逆に大きすぎて小回りが利かなさそうだし、20㎝だと明らかに足りないので、30cmか40cmのどちらか使いやすい方を使えば良いと思います。
また、私は普通の定規(18㎝くらいのを)使って□を書いてましたが、赤マーカーの雅印はテンプレートの四角定規を使っても良いかもしれません。
もっとも、厳密に賞状を書くとしたら、字の配置はミリ単位で調整すべきでしょうし、字も下書きをしてから書くと思います。
ですが、毛筆1級で合格ラインをクリアするだけならば、この程度に書ければ十分です。
そもそもこの課題は、レイアウト線を書くことはできるけど、字の下書きは不可です。そういう意味では、字の下書きをしなくても、ある程度字粒やラインを揃えて書けるようにする練習が必要だと言えます。
「賞状用の回答用紙は2枚もらえるけど、2枚とも書いたら時間が足りなくなるので、30~40分かけて1枚だけ書いて提出する」という方もいらっしゃるかもしれません。それも戦略としてはアリだと思います。
ただ私にとっては、最初から1枚だけで勝負すると決めてしまうと、絶対に失敗できないプレッシャーで肩に余計な力が入ってしまいそうだったし、万が一失敗してしまった時のリカバリーが難しくなるため(そう思うとますます緊張しそう)、1枚25分以内、50分で2枚を書きあげられるように練習していた、ということです。
<★毛筆書写技能検定1級対策>
<準備・工夫>
・毛筆書写技能検定1級 使用したテキスト・字典・過去問・道具類まとめ
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するために行った事前準備と工夫
・毛筆書写技能検定1級対策(準備編)~過去問を出来るだけ多くかき集める(主に国会図書館で)
・【毛筆書写技能検定1級・準1級対策】筆を持たなくてもできる練習は意外とある
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するコツ①~理論は10分以内に完答できるレベルまでやり込む
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するコツ②~「賞状」を1枚25分以内で書けるようにする
・【硬筆・毛筆書写検定】苦手な科目でも評価4をもらうコツ
<各問題ごとの対策>
・毛筆書写技能検定1級 第1問(楷行草三体)対策~第5問Bも参考にする。草書体のインプットはペン書きで練習する。中筆を何本か試してみる。
・毛筆書写技能検定1級第2問(漢字かな交じり文)行書に調和した平仮名の練習を重点的に行おう
・毛筆書写技能検定1級第3問・漢字の臨書対策~形臨に重点を置いて練習する。
・毛筆書写技能検定1級第3問 楷行草三体よりも臨書の練習に力を入れていた理由
・毛筆書写技能検定1級 第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種、関戸本古今集の3冊を重点的に練習する
・毛筆書写技能検定1級・第5問条幅対策(漢字14字)~五体字類で集字する、「変化」を意識する
・毛筆書写技能検定1級・第6問賞状対策 レイアウトの組み方に慣れる・字はある程度大きく太く書くと重厚感が表現できる
・毛筆書写技能検定1級:賞状の失敗例と合格点が取れる答案の比較
・毛筆書写技能検定1級第8問A・草書読み問題対策~書譜・十七帖・真草千字文の臨書をする、硬筆準1級の過去問を参考にする。
・毛筆書写技能検定1級・第9問A書道用語対策~「手引き」の書道用語は一通り押さえておく、単語カードは敢えて手書きで作る。
・毛筆書写技能検定1級第9問B(書道史):時系列で覚える・作者ごとに覚える、漢字で作者名を書く練習をする
・硬筆書写技能検定1級:第10問B(歴史的仮名遣い)対策〜中学生・高校生用の古文の参考書を読む、過去問で誤りパターンを覚える
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