この問題では、昔は「地黄湯帖(王献之・尺牘)」や「風信帖(空海)」「伊都内親王願文(橘逸勢)」などの行草体の図版が出題されたこともあります。
ですがここ10年ほどの出題傾向を見る限りでは、「書譜」「十七帖」「真草千字文」がメイン、時折「草書千字文(懐素)」が出ることもある、といった具合です。
なので、可能ならば「書譜」「十七帖」「真草千字文(草書部分)」の法帖を買って読む練習・臨書の練習をするのが一番効果的です。
(※私は二玄社の法帖を先に買ってしまったのですが、これから新しく買うなら、天来書院の「書の古典シリーズ」がお勧めです。書の古典シリーズは原帖が分かりづらい箇所の骨書き、巻末に現代語訳、書き方、節臨の参考になるページが載っているからです。)
とはいえ、「草書読み問題」は出題範囲が広いので、捨て問にしても良いかな~と思ってる方も多いかもしれません。
書譜は全部で約4千文字、千字文は千字、十七帖も多分そのくらいあります(ちゃんと数えていないのでわからないけど)。
何が言いたいのかというと、出題範囲の法帖の文字数に対して、出題される問題が少なすぎるので、どんな問題がでても全問正解を狙うのは勉強の効率が良くないからです。
なので、草書の読み問題で、どんな問題が出ても満点を取るべく頑張るよりも、まずは旧字体・書写体、誤字訂正、書道史で満点を狙いつつ、書道用語の記述対策をしっかりやった方がいいです。
そのうえで余力があれば「書譜」「十七帖」「真草千字文(草書部分)」の読み練習・臨書練習もやる、くらいでいいと思います。
(ちなみに私は本は買ったものの、全文を読むところはまでは手が回りませんでした…。)
ですが、毛筆1級の理論は合格基準点が8割以上、オール記述式であること、書道用語の記述問題で暗記しきれなかった問題が出て点数が思うように稼げないリスクもあることを考慮すると、草書読み問題を安易に捨て問にするのは危ないと思います。
なので、せめて最低でも過去に出題されたことがあるもの(約10年~20年分)くらいは解けるようにしておくと安心です。
そうすれば、5問中2~3問は正解できるようになります。
少なくとも5問とも外してしまった…ということは起こらないと思います。
なお、この問題は、硬筆書写技能検定準1級の理論と同じ出題形式ですので、硬筆準1級の過去問題も参考になります。
もし1級の過去問のストックがあまりない方(R1~4年の過去問を買いそびれてしまった方)は、硬筆準1級の過去問に取り組んでみると良いと思います。
硬筆の過去問は、市販の「1級・2級合格のポイント」に2年分が掲載されていますし、また国会図書館でも複写請求が可能です。
10年分くらいかき集めれば、30回分の過去問演習ができます。
草書読み問題以外にも、旧字・書写体、仮名の読み、歴史的仮名遣いの演習もできます。
<★毛筆書写技能検定1級対策>
<準備・工夫>
・毛筆書写技能検定1級 使用したテキスト・字典・過去問・道具類まとめ
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するために行った事前準備と工夫
・毛筆書写技能検定1級対策(準備編)~過去問を出来るだけ多くかき集める(主に国会図書館で)
・【毛筆書写技能検定1級・準1級対策】筆を持たなくてもできる練習は意外とある
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するコツ①~理論は10分以内に完答できるレベルまでやり込む
・毛筆書写技能検定1級に一発で合格するコツ②~「賞状」を1枚25分以内で書けるようにする
・【硬筆・毛筆書写検定】苦手な科目でも評価4をもらうコツ
<各問題ごとの対策>
・毛筆書写技能検定1級 第1問(楷行草三体)対策~第5問Bも参考にする。草書体のインプットはペン書きで練習する。中筆を何本か試してみる。
・毛筆書写技能検定1級第2問(漢字かな交じり文)行書に調和した平仮名の練習を重点的に行おう
・毛筆書写技能検定1級第3問・漢字の臨書対策~形臨に重点を置いて練習する。
・毛筆書写技能検定1級第3問 楷行草三体よりも臨書の練習に力を入れていた理由
・毛筆書写技能検定1級 第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種、関戸本古今集の3冊を重点的に練習する
・毛筆書写技能検定1級・第5問条幅対策(漢字14字)~五体字類で集字する、「変化」を意識する
・毛筆書写技能検定1級・第6問賞状対策 レイアウトの組み方に慣れる・字はある程度大きく太く書くと重厚感が表現できる
・毛筆書写技能検定1級:賞状の失敗例と合格点が取れる答案の比較
・毛筆書写技能検定1級第8問A・草書読み問題対策~書譜・十七帖・真草千字文の臨書をする、硬筆準1級の過去問を参考にする。
・毛筆書写技能検定1級・第9問A書道用語対策~「手引き」の書道用語は一通り押さえておく、単語カードは敢えて手書きで作る。
・毛筆書写技能検定1級第9問B(書道史):時系列で覚える・作者ごとに覚える、漢字で作者名を書く練習をする
・硬筆書写技能検定1級:第10問B(歴史的仮名遣い)対策〜中学生・高校生用の古文の参考書を読む、過去問で誤りパターンを覚える
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