毛筆書写技能検定1級 第4問かな臨書対策~高野切第一種・第三種、関戸本古今集の3冊を重点的に練習する

毛筆書写1級で臨書の対象になっている古典作品(仮名)は、
・高野切第一種
・高野切第二種
・高野切第三種
・粘葉本和漢朗詠集
・伊予切
・元暦校本万葉集
・曼殊院本古今集
・升色紙
・寸松庵色紙
・関戸本古今集
・大字朗詠集切
・元永本古今集
・継色紙
となっています。

そのうち、ここ15年で1級かな臨書でよく出題されている古典は、
・高野切第一種
・高野切第三種
・関戸本古今集
の3種類です。


これ以外には、元永本古今集、高野切第二種が2度ほど出題されたことがあり、R4-3では珍しく元暦校本万葉集が出ました。
(※元暦校本万葉集は理論の方では出題実績はありましたが、臨書の方では殆ど実績がなかったはず。)

昭和49年~平成3年頃までは、大字朗詠集切・寸松庵色紙・升色紙・曼殊院本古今集からも出題されたことがありましたが、これらについては最近は見かけないです。

伊予切・粘葉本和漢朗詠集は、理論の読み問題の方ではよく出題されますが、1級臨書では少なくとも過去15年は出題実績はありません。
また、継色紙は、読み問題でも臨書問題でも出題実績はないようです。

ですので、かな臨書の練習は、まずは臨書でも理論でも頻出の高野切第一種・高野切第三種・関戸本古今集の3冊を優先して練習することが大事です。

この3冊については、理論の読み問題対策も兼ねて、過去問で出たことがない問題・出そうにもない問題(漢字部分)も含めて、二玄社のテキストを全臨しました。

この3冊の書風の特徴・違い(2019年度版の手引きより引用)
・高野切第一種~字形が簡略で端正である。線に変化があり、書き出しは線が太くて墨色も濃いが、しだいに細くなり、うすくなり、その墨色の濃淡の変化が美しい。抑揚が大で、運筆も極めて自然で無理がない。ゆっくり書いたものと推測されている。

・高野切第三種~字形は製斉であり、線は繊細で流麗で、よくのびている。筆運びがたいへん軽やかで、連綿も自然である。三つのうち最も平明で清新、現代的である。

・関戸本古今集の特徴~字形はだいたい整っているが懐の広い感じを与え、速く遅く、軽く重く、太く細くと変化があり、円転自在の妙がある。線は強く鋭く、脱俗、典雅である。

癖の少ない高野切第一種・第三種に比べると、関戸本古今集は強弱や速度、細太の変化が大きく、また使われている変体仮名の種類も多いので、書き慣れないうちは結構難しく感じました。

ですが「癖が強い」ということは、癖の強さの分だけ、関戸本ならではの特徴をつかみやすい(似せやすい)とも言えます。
最初はとても難しく感じましたが、ページを書き進めていくうちに、関戸本の細太の変化の大きさが、書いていて面白いと感じられるようになってきました。
むしろ関戸本に慣れると、高野切の変化の大人しさ・端正さがちょっと物足りないと感じるくらいです。
(お教室の先生は関戸本が好きだと言っていたが、その理由もなんだか理解できる気がした)

高野切第一種↓

高野切第三種

関戸本古今集

高野切第一種・第三種、関戸本古今集は全臨しましたが、それ以外の出題対象となっている古筆(高野切第二種、元永本古今集、寸松庵色紙など)については、過去に出題されたことがある箇所を臨書をするだけにとどめました。

現在の出題傾向からすると、出題される可能性は低いですが、全く書いたことがない・書き慣れてないものが万が一本番で出題されたら、点数が伸び悩むからです。
なので過去問の部分だけでもやっておくと、安心して取り組めるのではないかと思います。

実際、R4-3のように、過去に理論では出題されているけど実技で出題されたことがあまりなさそうな元暦校本万葉集がいきなり出る可能性は十分あります。
書写能力診断テストで、元暦校本万葉集を初めて書いたら評価2にとどまってしまったので、全く書いたことがない古筆を試験本番でいきなり書くのはちょっと怖い。

ただ、もし仮に定番外の古筆を新しく出すとしたら、理論でも実技でも出題実績がないものよりは、理論の読み問題を実技に転用するパターンの方が可能性は高いと思います。
ですので、理論でのみ出題されたことがある箇所についても、実技対策として一通り臨書練習をしておけばいいのではと思います。

ちなみに出題対象となっている古筆の本をすべて買ったわけではありません。私が持ってるのは
・粘葉本和漢朗詠集上下巻
・高野切第一種
・高野切第三種
・関戸本古今集
・伊予切
・寸松庵色紙
くらいです。
(本阿弥切も持ってるけど、これは出題範囲に含まれていない)

じゃあこれ以外の古筆の手本はどうしたのかというと、国会図書館で、二玄社の書籍の該当ページのみを複写してもらっていました。

昔の「手引き」は本が小さい(A5サイズ)故に、印刷も小さい。
漢字(4字or2字)なら、多少印刷が小さくてもまだ何とかなるけど、仮名は字が細かくて大変読みにくい…。
読みの練習ならまだしも、臨書はやっぱりやりづらい。
なので二玄社の書籍を利用した方が絶対にやり易いと思います。

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