毛筆書写技能検定1級 出題実績のない古典は練習しなくてもいい?

毛筆1級の漢字臨書の出題傾向は、1級は隷書が1年に1回の割合くらい、楷書が出題される時は北魏系(牛橛造像記、張猛龍碑、高貞碑、鄭文公下碑)または唐代でもやや難易度が高いもの(雁塔聖教序、顔氏家廟碑)が良く出題されます。

つまりは準2級・2級で頻出の唐代の楷書(顔真卿と雁塔聖教序除く)と蘭亭序は、1級ではほとんど出題されないんです。

じゃあ蘭亭序や九成宮醴泉銘は練習しなくていいのか?と迷ってしまいますよね。

ですが私としては、たとえ第3問では出題されなくても、楷書の九成宮醴泉銘と孔子廟堂碑、行書の蘭亭序くらいは一通り練習しておいたほうが良いと思っています。

その理由は、

・唐代で楷書の筆法がある程度確立されており、現代の楷書の基礎になっているから。

・古典では旧字体・書写体が多く使われてるので、理論・第1問・第5問の練習に通じる

※第1問の三体は、楷書は新字体・旧字体・書写体でも構わないが、行書と草書は伝統的な形で書くのが無難とされている。

※第5問のaとbは、書写体に置き換えてもよいと指定されている。

・九成宮醴泉銘(または孔子廟堂碑)のような端正な楷書体の形を勉強しておくと、賞状を書く時に役立つ

また、毛筆書写技能検定では、そもそも個性の強すぎる書きぶりは求められておらず、小中学校の書写、高校書道の教科書で示されている範囲内とされています。このことからも、王羲之や唐代の楷書の筆法を練習することが合格の近道だと思うのです。

もちろん、検定当日は臨書課題以外は自運で書かなくてはいけないのですが、下手に自己流でむやみに枚数を書くよりは、古典の臨書を重点的にやるほうが、自運にも役立つと思っています。

特に準1級と1級では尚更です。

ちなみに毛筆1級の練習では、半紙3000枚は書いたと思うんだけど、そのうち2500枚は漢字の古典と仮名古筆の臨書に費やしました。

ちなみに仮名の方は、まず高野切第一種と第三種、関戸本古今集の全臨を優先する。余力があれば粘葉本和漢朗詠集、伊予切、高野切第第二種、元暦校本万葉集、元永本古今和歌集、寸松庵色紙の臨書にも取り組むのが良いと思っています。

(やれるに越したことはないが、決して必須ではない。上にあげた3冊と粘葉本和漢朗詠集・伊予切まで取り組めたら上出来だと思う。)

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