「もものかんづめ」をkindleで改めて読んでみました。
この本の中で私が好きな話は、「明け方のつぶやき」「恐怖との直面」「宴会用の女」です。
「明け方のつぶやき」は、睡眠学習枕を買ってしまった話。
家族や親せきから「睡眠学習なんて出来るわけがない」と反対されたにもかかわらず、「僕は眠りながらライバルに差をつけた!学年3位!」の方の手記を信じてしまったという(笑)
睡眠学習枕のメカニズムをネタバレしてしまうと、暗記したいと思う単語を100回書いて、それをテープレコーダー(枕)に録音し、タイマーにセットするというもの。
早い話が枕の形をしたテープレコーダーなのですね。
単語を100回書くのがイヤだからこそ睡眠学習枕を買ったのに…!と愕然とするさくらももこ氏(爆笑)
結局この睡眠学習枕に38,000円を投資して得られたものは、take care of(面倒をみる)と、父ヒロシが試しに吹き込んだ、加藤茶のギャグ「うんこちんちん」の2つだけ。
おまけに、朝の5時台に枕がブツブツしゃべるのは気持ちが悪いと家族からクレームがついてしまい、睡眠学習枕はこれ以降、使われることはなくなりました。
かくして無用の長物となってしまった睡眠学習枕の月3980円のローンを払うのがめんどくさくなって放置していたら、最後に手書きの警告文が来たそうです。手書きの警告文って!
「真面目で向学心に燃える方が睡眠学習枕に手を出すだろうか」
大変ごもっともなツッコミであるwww
「恐怖との直面」は、作者がこれまでに経験してきた怖い体験の話なのだが、一人暮らしのアパートに深夜、変質者(露出狂)が現れたエピソードが面白かったです。
でも警察への通報が「今出ました珍棒、物干し場の男」って…。
そりゃまぁ気が動転してるのに、落ち着いて「アパートの物干し場に、珍棒を露出した若い男性が現れました」とは言えないですよね。
翌朝、お母さんに(アパートのベランダに)露出狂が現れたと電話をしたら「あのね、今お母さん思いついたんだけど、あんた、警察と直通のベルを作ってもらいなさい」って。
そりゃ国家の重要人物じゃないと無理だよ。
そして母の防犯アイデアの結論は「男物のパンツを干してあると変質者は近づかない」だからって、父ヒロシのパンツを送ってこられるのは嫌だわwww
てゆーか変質者避けが目的なら、別に父ヒロシのはき古したパンツである必要はなくて、自分で男物のブリーフやトランクスを適当に2~3枚買えばいいじゃない…と思ってしまったw
東京で一人暮らしをする娘のことが心配なのはわかるけど、お母さんも露出狂に相当動揺していたのが伝わってきます。
「宴会用の女」は、政府用刊行物を作る某出版社で、2か月だけOLをしていた時の話。
結局は漫画か会社かどっちか選べと言われて漫画をとって退職したというが、たった2か月とはいえ、やらかしたことが割とロクでもないのが面白いです(笑)
気楽と言われるOL稼業にも、向き不向きがあるのはなんとなくわかります。
事務仕事(ルーティン業務)は、「正しく滞りなく処理できるのが当然」なものが多く、正常に動いているうちはそれが当たり前だと思ってしまいがちです。
でも、正しく処理できずにミスが発生すると、大なり小なり周りの人に迷惑をかけてしまうんですよね。
この中で興味深いと思ったのは、
「みんなが50できることを私は30しかできず、しかも間違いが多い。簡単な宛名すら書き損じていた。」
というところ。
1980年代のアナログ主体の事務仕事(コンピュータを使うのは伝票入力くらい)であれば、できる人とできない人の事務処理スピード差は50:30程度で済んでいたと思います。
ところが、2021年現在では、パソコンやタブレットなどのガジェット類や各種ソフト類を使いこなせる人とそうでない人では、500:30くらいまで処理速度の格差が広がっているのではないかと感じるからです。
実際、自分の職場でも、前任者はほぼノー残業&有給フル消化で余裕でこなせていた業務が、後任に引き継いだ1か月後、処理業務がパンクしてしまい、にっちもさっちもいかなくなったことがあります。
その後、あふれた業務の一部を他の人に渡したうえに、事務補助のパートを追加で雇うハメになりました。
人件費の無駄遣いにも程がありますね(苦笑)
「もものかんづめ」は、audiobook.jpで朗読版も購入できます。
(ナレーターはアニメ版声優のTARAKOさん)
試聴版の「水虫治療」編を聞いてみたら、アニメ版のまる子ちゃんの声で水虫の話が流れてきて、ものすごくシュールであったwww
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