資格試験では「一番」と「満点」は目指さない。ただしどんな問題が出たとしても、合格ラインだけは絶対に下回らないようにする。

これは、私が資格・検定試験を受ける上で肝に銘じていることです。

100点中60点が合格基準の試験では、100点でも60点でも合格には変わりないですが、59点は不合格だからです。
100点で合格した人と60点で合格した人の実力はとても離れています。60点で合格した人と59点で不合格になってしまった人は、実力の差は殆どありません。
ですが、60点と59点では他人からの評価は天地ほどに変わります。

さて、私が思う「一番」と「満点」を目指す勉強は、「誰も解けない難しい問題も解けるようにする」「新傾向の問題にも対応できるようにする」ことだと考えています。
満点を取るためには、たとえどんな問題が出ようとも、1問の取りこぼしもあってはならないからです。

逆に、「どんな問題が出たとしても合格ラインを下回らない勉強」とは、「基本問題の取りこぼしを最小限にする」「仮に新傾向の問題が出たり、ちょいミスがあっても、結果的に合格最低点を上回る余力を持つ」ことだと思っています。
100点満点中60点が合格ラインだとしたら、70点~80点を目指す勉強ということです。

なんで満点を目指す勉強をしないのかというと、100点を目指す勉強と、70点~80点を目指す勉強は、必要な勉強量と時間が全く違うからです。

資格・検定試験の多くは、8割は過去問との類似問題、1割は過去問にはないけど基本書のどこかに載っている論点、さらに残りの1割は、基本書にも過去問に載っていない完全な新問で構成されます。
(もちろん、試験の難易度によって、この割合は変化します。体感的には合格率が常時10%を切る難関試験では、過去問との類似問題が5〜6割、応用問題が4〜3割に増える感じがします。)

そのような試験で満点を目指すとしたら、基本書や過去問に加えて、ほかの参考図書や模擬試験なども、手広く勉強する必要があるでしょう。

でも、合格点をクリアできたらいいと割り切っていれば、過去5年間~10年間に出題されたことがある問題・類題は絶対に取りこぼさないようにすればいいだけの話です。
過去問にも基本書にも載っていない、新傾向の問題や難問はできなくても合格点はクリアできるからです。

また、満点を目指すとしたら、新問や応用問題も解けるようにしなくてはいけませんが、だとしてもまずは基本問題で得点を確保できることが前提になります。
下手すると応用問題も基礎問題もどちらの理解も中途半端に終わります。
そこそこ時間をかけて勉強したはずなのに試験には不合格、という残念すぎる結果になりかねません。それだと勉強の甲斐がないじゃないですか。

また、たいていの資格・検定試験は、小中高校の単元テストや中間・期末テストよりも出題範囲が広いのがデフォです。
簡単な試験ならともかく、ある程度の難易度(合格率20〜30%台)の試験だったら、基本書1冊だけでも200~300ページ、問題集も同じかそれ以上のボリュームがあるのが普通です。
なので満点を目指すこと自体がかなり大変というか無理がある話で、仕事をしながら勉強するのであれば、合格点がクリアできたら御の字…というケースがほとんどなのです。

コメント

  1. TW より:

    初めまして。どうぞよろしくお願いします。

    こちらのサイトは5~6年前から毎日拝見しております。

    いきなり私事で申し訳ありませんが、本日還暦を迎えました。
    地方公務員福祉職です。今年度末定年退職ですが、今の職場での
    再任用を受けるか、民間企業に転出するか迷っていましたが、
    リスクを覚悟のうえ民間企業に転出する決心をしました。

    保有資格は第二種電気工事士、危険物取扱者乙種4類、第一種
    衛生管理者、消防設備士甲種4類・乙種6類・乙種7類、
    建築物環境衛生管理技術者、幼稚園教諭二種、保育士です。
    また、現在、第三種冷凍機械責任者講習合格待ち(合格点確認済)、
    二級ボイラー技士筆記合格で講習待ちです。

    地方公務員は36年余り勤務しておりますが、その前に3年半ほど
    化学メーカーの設備開発要員として民間勤務経験があります。また、
    公務員在職中に空調機の運用を3年経験しております。

    目指している仕事はビルメンです。
    年収は公務員の再任用と比較して3~4割程度低くなりますが、
    再任用は基本的に65歳までしかなく、その後の保証はありません。
    ビルメンになれれば、例え65歳でクビになってもキャリアが残り、
    それ以降の別の会社での雇用の可能性があります。
    希望としては70歳までフルタイム勤務をして、年金は繰り下げ
    支給で70歳以降から受給する予定です。

    二種類の障害がある妻がいますので、日勤専属での職探しになり
    ますが、何としてもビルメンでフルタイム勤務の職を探すつもり
    です。

    ところで、私も資格試験についてはmiwa様と同じ感覚です。
    100点を目指したことはありません。建築物環境衛生管理技術者
    の試験勉強は、過去問10年分を10周しました。全科目65点以上
    同時合格必須という変わった資格でしたが、合格率の高い年度に運
    よく1回目の受験で合格できました。

    若い方々へ伝えたいことですが、還暦になっても職探しに右往左往
    する私のようなみっともない人生を歩んでいただきたくありません。
    難関資格は、できるだけ若いうちに覚悟を決めて合格していただき
    たいものです。若いうちはいろんな誘惑に負けて試験勉強に身が入
    らない(←私のこと)ものです。マインドコントロールがうまく
    できる人は、継続して学習ができます。結果として、仕事人生の
    終焉を自らデザインできる人になると思います。

    長文、失礼しました。

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      TWさん
      はじめまして、コメントありがとうございます。
      数年前から読んでいただいているとのこと。
      もうすぐ定年退職間近なのですね。おつかれさまです。
      ビルメン4点セットのほか、ビルメンや消防設備士もお持ちなのですか!
      再雇用での求職は私は経験したことがないので、どの程度に大変なのかは何とも言えませんが、是非日勤でよい条件のビルメンのお仕事が決まるといいですね。
      ビルメンの試験は、試験範囲が広いと聞いたことがあります。
      そのような試験の場合は、満点を狙うとかえって焦点が絞り切れなくて、ドツボにはまりそうです。
      なので、いかに65点未満の科目を作らないか、穴になるところはできるだけ減らしていくのが大事になると思います。
      そういう意味では、ビルメン4点セットや消防設備士甲種4類などの
      資格試験の勉強経験が役に立ちそうですね。
      ビルメンに限らず、資格がありさえすれば仕事がすぐ決まるとか、必ずしも万能ではないのでしょうが、試験に合格するための計画的な努力ができることは、仕事でも役に立つスキルだと思っています。

  2. MT より:

    おはようございます。

    資格学校の先生もmiwaさんと同様に、
    「満点を取る必要はない」とおっしゃっておられました。
    一方で、「但しギリギリ合格は目指すと不合格になるので、
    8割の合格を狙うように」という指示も飛んでいました。
    (合格基準70点以上の試験です)

    もっとも、私の場合は、8割でも危ないと思ったので、
    当時は「8割5分~9割」で合格することを目指していました。
    そういう意味では、知的財産管理技能検定2級試験や
    漢字能力検定試験2級試験のように、合格基準が8割以上、
    または8割程度という試験は、非常に苦労しましたね。

    ところで、私の世代は就職氷河期世代です。
    そのこともあって、私は最初大学院(修士課程)に進みました。
    ところが、最初の大学院では修士論文の書き方が分からず、
    私の実力不足及び、私と指導教授との反りも合わなかったため、
    満期退学を余儀なくされました。
    (1997年~1999年までです。これがきっかけで、
    一時期人間不信に陥りました。)

    2度目の大学院の時は、なんとか修士課程を修了させてもらえたものの、
    修了するまでには3年ほど要しました
    (2003年~2006年までです。
    今では、就職活動までお世話になっている当時の指導教授には
    感謝の気持ちしかありません。けれども、両親と親戚以外で、
    かつ元大学の先生で信頼しているのはこの指導教授だけです。)

    この大学院時代のことがトラウマとなって、
    就職活動(転職活動)がうまくいったことは、ほとんどありませんでした。
    今でも「修士論文が書くことができない」という夢をよく見ます。

    現在では、修士課程であっても、私のように実力が伴わなければ、
    「2年で修士課程を修了させる」ということは滅多にありません。
    しかし、就職(転職)の面接担当者が年配の方ですと、
    このような事情を知らないようで、
    「博士課程ならまだしも修士課程はストレートで修了するもの」
    という感覚が強いように思います。

    ですので、「コロナ禍で就職活動が思うような成果を挙げられていない」
    大学生には「私のように実力が伴わないまま安易に大学院を選ぶと、
    修士課程から苦労する可能性がある」ということをお伝えしたいです。

    私は資格試験も類似してあるところがあるように思っておりまして、
    「実力が伴わなければ、基礎を飛ばしていきなり応用編から受験するのは
    かなり危険だ。合格率一桁の試験については尚更だ」という認識です。

    私も長文になってしまいました。
    では、失礼致します。

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      MTさん
      自分としては、ある程度以上の難易度の試験では、
      60点→40点~50点は簡単に取れるけど、60点にもっていくまでがちょっと大変
      70点→50点~60点までは簡単に取れるけど、そこから70点にもっていくまでが大変
      80点→50点~70点までは簡単に取れるけど、そこから80点までもっていくのが大変…といった印象です。
      合格点が何点であろうと、結局は合格ラインの手前に乗り越えないといけない壁がいくつかある、というイメージです。

      大学院(修士)への進学は、実は私も一時期は考えていました。
      ですが、修士課程には進学せず、卒業後は普通に民間企業へ就職しました。
      親からは、「大学4年分の学費は出してあげるけど、その先の費用は一切用意してない(院に行きたいなら奨学金を借りるか自分の金で行け)」って言われたので、自分で学費を負担して通いたいか…と考えると、正直モチベーションがなく、だったら一度社会人として働いてお金を貯めて、院に行って勉強したいテーマが見つかったら、その時に進学すればいいじゃないと思ったんですよね。
      それは通ってた学科と学部に社会人学生が少なからず居たので、その影響もありますけどね。

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