「硬筆書写準1級対策では、草書体はどれだけ覚えればよいか?」が、この記事のメインテーマです。
端的に言えば、準1級過去問(H18年以降の第2問・第5問C)に1級の過去問(第2問約10年分くらい)をプラスすれば、準1級の第2問は十分対応できます。
2級と比べて準1級の敷居が高く感じる最大の原因は、「草書」の自運課題が出るからだと思います。
(次点は仮名の読み問題、その次は第5問の自由作品だと思います)
小学校で習う漢字1,026字をすべて覚える?
常用漢字2,136字を全て覚える?
覚えようと思ったらどこまでも手を広げられます。
もちろん、常用漢字全ての楷行草三体を覚えられるなら覚えるに越したことはありません。
ただ、最初から「常用漢字全ての三体を覚えよう!」と手を広げすぎてしまうと、逆に準1級頻出の定番熟語のインプットがおろそかになってしまいます。
それに、1年生の漢字やアイウエオ順に三体を覚えていったとしても、いざ試験問題と対峙したときに、スムーズに知識が取りだせないだろうと思います。
だからあくまで準1級の出題傾向に沿った練習、優先順位を意識して練習することが大事だと思います。
幸い、準1級では、1級に比べると難しい漢字は出題されないですし、似たような熟語が繰り返し出題される傾向はあります。
なので、以下の範囲の草書体を覚えたら、よっっっっっぽど変な問題が出ない限り、十分対応できます。
(必須)
①硬筆書写準1級第2問で出題実績のある熟語全て(H18~)
②硬筆書写準1級第5問C(漢詩)の漢字(H18~)
(必須とまではいかないけど、やっておくと安心できる)
③硬筆書写1級の第2問で出題実績のある熟語(直近約10年分くらい)
(余力があれば覚えても損はしない)
④硬筆書写準2級第2問の熟語
⑤硬筆書写2級第2問の熟語
⑥硬筆書写準2級理論の草書を読む問題
⑦硬筆書写2級理論の草書を読む問題
(全部を覚えなくてもいいけど、書く練習は一通りやっておくのが望ましい→まずは草書体を書くこと自体に手を慣れさせる)
⑧(①②③④⑤⑥⑦以外の)小学校1~4年生で習う漢字すべて
⑨(①②③④⑤⑥⑦以外の)小学校5・6年生で習う漢字すべて
といった順序・分類になるかと思います。
準1級に関しては、①準1級第2問と②準1級第5問は必須、③の1級第2問まで覚えられたら、本試験で知らない草書体を書かされるということはほぼなくなるはずです。
実際には①と②で十分対応できることも結構多いですが、準1級過去問では見たことのない漢字が出る回もたまにありますので、ハズレ回にあたっても大丈夫なように③(1級の熟語)もやっておけばより安心、という感じです。
なぜ1級熟語まで手を広げると安心なのかというと、準1級と1級の過去問を見比べると、準1級は、1級でよく出題されている熟語のうち、平易~標準的な熟語が出題されているからです。
危険物取扱者乙種4類と丙種の関係性に似ています(←どういう例えだw)
私はこの①②③の漢字・熟語について、書体字典や「小学校の漢字」を使って書体を調べて、ノートにまとめました。
まずは(「大人が学ぶ小学校の漢字」を見ながら)小学校の範囲全ての漢字の三体の練習をする
→準1級・1級の過去問より、楷書・行書・草書の三体をピックアップしてノートにまとめる
→ノートを見ながら練習する(何度か)
→ある程度書き慣れたら実際の過去問を使って練習(ノートを見ずに書けるかどうかテストする)
→書けなかった漢字は重点的に何度か書き練習
→実際の過去問と回答用紙で練習する(字のサイズや熟語間の間隔を調整するため)
→(「大人が学ぶ小学校の漢字」を使って)小学校の範囲全ての漢字の三体を書く練習をする
…といった具合で、インプット・アウトプットを繰り返しました。
このようにインプットとアウトプットを繰り返していくうちに、準1級頻出の熟語について、楷行草の三体がスラスラ書けるようになります。
大事なのは、「アウトプット(思い出す訓練)」の時間をある程度設けることです。
ただ単に辞書や練習帳の手本を見ながら書いているだけだと、試験問題の活字を見た時に、「あれ?この字はどうやって書くんだっけ?」と、手が止まってしまうからです。
手本を見ればスラスラかけるけど、いざ書こうとするとスムーズに出てこないんですね。
また、私は硬筆準1級の過去問は平成18年第1回~令和3年第2回分までほぼ全部集めたからこそ、①②③の範囲の勉強で十分足りたとも思います。
※準1級は2006年(平成18年度)から新設された試験なので、平成18年第1回が一番古い問題です。なので平成18年度以前の「合格のポイント」には、準1級の問題は掲載されていません。
平成18年第1回までの古い過去問を集めること自体はできなくもないですけど、国会図書館に複写請求をするか、「合格のポイント」の中古本を購入する必要があるため、お金と手間と時間が少々かかります。
個人的には、第2問対策だけではなく、理論問題対策や今後の1級対策を考慮すると、準1級・1級の過去問は最低でも10年分は集めた方が良いと思っています。
ですが、硬筆準1級対策のためだけにお金と手間をあまりかけられない人もいると思います。
そういう方は、最新版の「合格のポイント」に掲載されている1級・2級・準2級の過去問と、硬筆2級の練習ドリルに載っている熟語の草書体(③④⑤⑥⑦の草書体)をインプットすることで代用すればよいと思います。
また全体的な出題傾向として、6月試験(第1回)は春~夏を連想させる言葉、11月試験(第2回)は秋~冬、1月試験(第3回)は冬~春の言葉が良く出題されている印象をうけました。
たとえば、第1回(6月)の試験では、
H25-1 青葉 芳香 開花 季節
H26-1 開花 白雲 花雨 月光
H27-1 夏雲 竹風 高原 花火
H28-1 季節 夏空 詩情 木陰
H29-1 涼風 海路 星雲 感動
H30-1 順風 殘暑 白雲 夜空
といった言葉が出題されています。
また第2回(11月)は
H25-2 白露 湖水 感謝 紅葉
H26-2 初秋 夜長 牧場 山鳥
H27-2 山里 秋冷 野鳥 青空
H28-2 初秋 星空 新月 飛鳥
H29-2 秋草 眞理 霜月 清夜
H30-2 秋風 野生 通信 白雲
第3回(1月)
H25-3 寒流 白雪 春風 季節
H26-3 淡雪 彩色 冬鳥 寒梅
H27-3 白鳥 春風 詩歌 眞實
H28-3 新陽 紅梅 氣象 夜景
H29-3 彼岸 情報 春雪 季節
H30-3 春陽 白雪 清風 梅林
このようにグルーピングしてみると、なんとなく季節を連想させる言葉が多いという印象を受けるのではないかと思います(少なくとも季節外れの言葉は出ない)。
最低でも、準1級の第2問の過去問は全部覚えた方が良いと思いますが、どうしても練習時間が確保できない場合は、自分が受験する回の過去問に絞って覚える、というのも戦略としては有りでしょう。
なお、上で見てもわかるように、問題文は時々旧字体で出題されますが、第2問に関しては、旧字体で出題されたとしても、常用漢字の字体で書いても構わないそうです。
ですが、草書体は旧字体をベースにしているものが少なくないので、草書を覚える際にはその点を注意する必要があります。
参考:私が練習していた用紙(※草書体・行書体はこれ以外にも正解はありますし、あくまで練習段階のものですので、この画像は手本にはしないほうがいいです。)
<硬筆書写技能検定準1級対策ページへのリンク>
準備編
・独学でも硬筆書写技能検定準1級・1級に合格するコツ
・硬筆書写技能検定準1級:使用した問題集、お勧めペン字練習帳と書体字典
各問題ごとの対策・練習法
①・硬筆書写技能検定第1問(速書き)対策~正しい書き順の復習と、行書の練習を重点的に行う。時間を測って過去問を練習する。
②・硬筆書写技能検定準1級・第2問の出題傾向と対策〜草書はどれだけ覚えればいいのか?
②・硬筆書写・毛筆書写準1級対策:草書体の練習だけで練習時間の6割を費やした理由
②・硬筆書写技能検定準1級&1級・第2問で草書体が書けない時の対処法~知ってる漢字を組み合わせて書く、行書を草書風に崩して書く(絶対に空欄のまま答案を出さない!)
硬筆書写技能検定第2問(3級・準2級・2級・準1級・1級)学年配当別の出題割合を比較してみた!
③・硬筆書写技能検定第3問(縦書き・行書)対策〜連綿は入れられるなら入れたほうが映えるけど、無理に入れなくてもいい
④・硬筆書写技能検定第4問(横書き・楷書)対策〜悪い評価がつく人が少ないからこそ、確実に評価4以上は取れるようにしたい
⑤・硬筆書写技能検定準1級・第5問(自由作品):漢字かな交じり文ではなく漢詩を選んだ理由
⑥・硬筆書写技能検定第6問(掲示文)~コピックを使うなら本番までに十分慣れておいたほうがいい(決して万人向けのペンではない)
⑦・硬筆・毛筆書写技能検定準1級:旧字体・書写体対策~硬筆2級のドリルを使って書き取り練習をする
⑧・硬筆書写技能検定準1級・1級 第8問B:古筆(仮名)対策〜よく出る変体仮名の読み方を覚える。
コメント