硬筆書写技能検定1級第9問B(書道史)対策~ダミー選択肢の筆者も覚える、図版と一緒に覚えると効率がいい

この問題については、硬筆準1級と同様に対策すればOKです。
ただ、硬筆準1級に比べると、多少難易度がアップします。

準1級は筆者名5問に対して作品名の選択肢は5択だったのが、1級では筆者名5問に対して作品名の選択肢が8択あります。ダミーの選択肢が3択増えるんですね。そういう意味では、準1級の時よりも確実な暗記が必要です。

(※画像の問題は平成30年第1回1級過去問より引用。この問題の正解は、小野道風→1・屏風土代、虞世南→3・孔子廟堂碑、聖徳太子→4・法華義疏、嵯峨天皇→5・光定戒牒、顔真卿→7・多宝塔碑 正解肢以外の筆者名は、2・久隔帖→最澄、 6・集字聖教序→王羲之、8・書譜→孫過庭

また、語群の作品名も、準1級では出題実績のない作品もいくつか含まれているので、出題範囲が多少広がります。
例:杜家立成雑書要略(光明皇后)、百錬鏡(伝・菅原道真)、西狭頌(仇靖)、松風閣詩巻(黄庭堅※宋の四大家の一人)

私は、ダミーの作品名に対しても、筆者名を調べて覚えるようにしました。別の回でそのダミー作品の筆者名が問われる可能性は十分にあるからです。

また、古典の中には、筆者名が不詳とされているものがいくつかあります。(曹全碑、張猛龍碑、木簡など)
準1級の第9問Bでは、筆者名が不詳とされている作品は出題されませんでしたが、1級では筆者名不詳の作品がダミー選択肢に混じっていることがたまにあります。でもそのような作品が出たら、選択肢からすぐに除外できるので、ある意味ラッキー問題ともいえるかもしれない。

準1級の時もそうでしたけど、書道史問題については、単に筆者名と作品名だけを機械的に暗記するのは結構大変だと思います。

書道を習っている一般の大人ならば、王羲之の蘭亭序や十七帖褚遂良の雁塔聖教序、空海の風信帖などは臨書したことがあるかもしれませんが、硬筆の練習しかしていない人にとっては、聞き慣れない作品や作者名が多いからです。

本試験での出題形式での練習でもある程度は覚えられますけど、やっぱり実際の作品(図版)や作風と一緒にインプットする方が、記憶への定着が良いはずです。
ベストなのは実際に作品を臨書してみることだと思うけど、そこまでは時間も取れないと思いますので、図版と作品名・筆者をセットで覚えるのがベターでしょう。

画像についてはネットで検索するのもいいですが、1件1件調べていくのは面倒くさいですし、すぐに作品がヒットするとも限りません。
本でパラパラとページをめくって覚えて、本に載ってないマイナーな作品が出た時だけ、ネットで調べるのがいいでしょう。

普段は実際の試験問題形式で練習しつつ、時折参考書類を開いて、ビジュアルのイメージを補完していく…という感じでやってました。

私がビジュアルの参考資料として利用していたのは、毛筆書写技能検定の「手びきと問題集(2019年 楽天kobo版)」と高校の書道の教科書(光村出版の書Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ)です。

毛筆書写技能検定を受験している人は、毛筆の臨書用の教材を活用すればよいですが、硬筆のみの受験生も少なくないと思います。硬筆だけ受験する人が、理論問題のためだけに、臨書用の古典の法帖を数冊も買う必要はないでしょう。

ですがもし何か参考になる資料を購入したいのであれば、上であげた毛筆書写用のテキストと、高校の書道の教科書が使いやすいかなと思います。

高校の書道の教科書は、検定対策用の教材ではありませんが、オールカラーで読みやすいですし、巻末に書道史年表がまとめられています。

(書Ⅱ P96より引用)

それに教科書3冊を買っても1500円以下でおさまるコスパの良さ。3冊買っても損はしないと思います。
(※教科書販売所に指定されている書店で、現金でないと買えないのですが、コスパはとても良いです。なお、教科書販売所が近くにない場合は注文も可。)

参考①:出題回数ベスト10(S53~R3)
智永:真草千字文
虞世南:孔子廟堂碑
孫過庭:書譜
最澄:久隔帖
小野道風:屛風土代
紀貫之:寸松庵色紙
鄭道昭:鄭文公下碑
小野道風:玉泉帖
顔真卿:争座位文稿(争座位稿)
藤原佐理:離洛帖

参考②5回以上出題されている作品名(S53~R3)
王羲之:十七帖、喪乱帖、蘭亭序、集字聖教序、興福寺断碑、孔侍中帖、楽毅論
王献之:中秋帖
鍾繇:宣示表、薦李直表
聖徳太子:法華義疏
光明皇后:楽毅論
鄭道昭:鄭文公下碑
智永:真草千字文
欧陽詢:皇甫府君碑、九成宮醴泉銘
虞世南:孔子廟堂碑
褚遂良:雁塔聖教序、枯樹賦、孟法師碑、哀冊
唐太宗:温泉銘、晋祠銘
顔真卿:争座位文稿(争座位稿)、祭姪文稿(祭姪稿)、建中告身帖、多宝塔碑
懐素:自叙帖、草書千字文(千金帖)
孫過庭:書譜
橘逸勢:伊都内親王願文
空海:灌頂記、風信帖、三十帖策子、請来目録
嵯峨天皇:光定戒牒、李嶠詩
最澄:久隔帖、請来目録
藤原行成:升色紙、関戸本古今集、白楽天詩巻、粘葉本和漢朗詠集
藤原佐理:離洛帖、詩懐紙
小野道風:屛風土代、玉泉帖、継色紙
紀貫之:寸松庵色紙、高野切
※作者名不明:高貞碑、張猛龍碑

<硬筆書写技能検定1級対策ページへのリンク>

準備編
硬筆書写技能検定1級で使用した教材・書籍・筆記用具
独学でも硬筆書写技能検定準1級・1級に合格するコツ
硬筆書写技能検定1級対策:書体字典検索の時間を短縮するために工夫したこと(excelにデータを入れる・常用漢字の順番に並べ替える、等)
各問題ごとの対策・練習法
①・硬筆書写技能検定第1問(速書き)対策~正しい書き順の復習と、行書の練習を重点的に行う。時間を測って過去問を練習する。
②・硬筆書写技能検定準1級&1級・第2問で草書体が書けない時の対処法~知ってる漢字を組み合わせて書く、行書を草書風に崩して書く(絶対に空欄のまま答案を出さない!)
②・硬筆書写技能検定1級・第2問対策 草書体はどこまで覚える必要があるのか?
②・硬筆書写技能検定第2問(3級・準2級・2級・準1級・1級)学年配当別の出題割合を比較してみた!
③・硬筆書写技能検定第3問(縦書き・行書)対策〜連綿は入れられるなら入れたほうが映えるけど、無理に入れなくてもいい
④・硬筆書写技能検定第4問(横書き・楷書)対策〜悪い評価がつく人が少ないからこそ、確実に評価4以上は取れるようにしたい
⑤・硬筆書写技能検定1級:第5問(漢詩)対策~書体はどれでもよいけど、旧字体と書写体を織り交ぜて書くと味が出る
⑥・硬筆書写技能検定第6問(掲示文)~コピックを使うなら本番までに十分慣れておいたほうがいい(決して万人向けのペンではない)
⑦・硬筆書写技能検定1級:第7問AB(旧字体・書写体)対策〜双方に跨って出題される漢字に要注意
⑧・硬筆書写技能検定1級・第8問A(草書の読み)対策~直近の過去問と硬筆2級のドリルの字形でインプットする
⑧・硬筆書写技能検定準1級・1級 第8問B:古筆(仮名)対策〜よく出る変体仮名の読み方を覚える。
⑨・硬筆書写技能検定1級:第9問A(添削問題)対策~教育漢字の楷書体を重点的に練習する
⑨・硬筆書写技能検定1級:第9問B(書道史)対策~ダミー選択肢の筆者も覚える、図版と一緒に覚えると効率がいい
⑩・硬筆書写技能検定1級:第10問B(歴史的仮名遣い)対策〜中学生・高校生用の古文の参考書を読む、過去問で誤りパターンを覚える

コメント

タイトルとURLをコピーしました