硬筆書写技能検定準1級&1級・第2問で草書体が書けない時の対処法~知ってる漢字を組み合わせて書く、行書を草書風に崩して書く(絶対に空欄のまま答案を出さない!)

硬筆書写検定準1級からは、第2問では楷書・行書・草書の三体を書かせる問題が出ます。

この第2問で、草書体がわからない漢字や、常用漢字外の草書体が出題された時、また覚えたはずの草書体を度忘れした時は、どのように対処したらいいのか?がこの記事のメインテーマです。

もちろん、どんな漢字が出題されてもいいよう、ある程度手を広げて覚えればいいんだけど、覚えたとしても、本番では緊張感で度忘れしてしまうこともあるでしょう。

この点に関しては、過去の「手びきと問題集」に、第二問に関する質問

「問 一級の場合、三体のうちの草書の行でどうしても草書が書けない字があった時は、その一字分だけを書かないであけておいてもよいでしょうか

に対して、このような回答が載っていました。

昭和57年版手びき P88より引用

「答 一字でも書いてない字があると欠陥答案で採点が不可能になってしまい、実技全体が不合格になりかねません。どうしても草書らしい形が書けない場合は、行書みたいでも仕方がないですから草書風に書いておく方がよろしい。要するに、全力投球して全部を一応書くことが大切です。」

平成4年手びき P88より引用

「答 一字でも書いてない字があると、当然それは減点されることになります。どうしても草書らしい形が書けない場合は、行書みたいでも仕方がないですから草書風に書いておく方がよろしい。要するに、全力投球して全部を一応書くことがたいせつです。」

平成25年版手びき 引用

「答 一字でも書いてない字があると、当然それは減点されることになります。どうしても草書らしい形が書けない場合は、行書みたいでも仕方がないですから草書風に書いておく方がよろしい。要するに、全力投球して全部を一応書くことがたいせつです。」

昭和57年版手びきには、一字でも書いてない字があると欠陥答案→採点不可能→実技全体が不合格(になりかねない)と明記されているのに対し、平成4年版・平成25年版手びきでは、減点されるとは書いてあるものの、不合格になりかねない~のくだりは削除されています。

※現在販売されている公式テキストでは、そもそも検定試験に関する質疑応答のページ自体がなくなっています。

この文章を額面通りに受け取るならば、現在の試験では、草書の空欄一つだけで機械的に不合格点(60点)をつけるわけではありませんよ、ともとれます。

ですが、どの年度の本でも共通して「行書みたいでも仕方がないですから草書風に書いておく方がよろしい」「全部を一応書くことが大切」と述べられています。

これらの文言より、私は「行書みたいでもいいから何かしら書いてあれば多少の減点程度で済むけど、空欄のまま答案を提出したら最悪不合格点がつく可能性もある」と考えました。

というのは、硬筆書写1級の合格率は、どの回もおおむね10%前後と大きな変動がないからです。

たとえば漢検1級の場合、難易度によって配点調整や合格ライン調整が一切行われないので、回によって5%~15%と合格率が大きく変動します。

一方、日商簿記1級は、どの回も合格率は概ね8~10%程度(ごくたまに3~5%になることもあるがそれはかなり例外的である)の範囲に収まるのは、難しい回は簡単な問題に配点を多く配分することで、合格率を調整していると言われています。

つまり、配点の調整が行われない試験では合格率は難易度に応じて変動するのが普通であり、逆に合格率が一定のラインで保たれている試験は、合格基準か採点基準か配点のどれかを調整しているといえるでしょう。

書写技能検定は合格基準点は固定です。ということは、硬筆・毛筆では、他の受験生の答案の出来との兼ね合いで、採点の辛さ/甘さを調整しているんじゃないかなと思われます。相対評価が加味されているとも言えます。

皆が書けていない草書体だったら、空欄があるだけで即不合格にはしないけど、大半の人が普通に書ける草書体が空欄だった時は即不合格点または大幅な減点をされるかもしれない。

というわけで、草書体がどうしても思い浮かばない時は、行書を草書っぽく崩して書いた「なんちゃって草書」でもいいから、とにかく空欄のまま提出しないことが大事です。

また、行書を草書っぽく崩す場合は、部首やへん・旁などの一部分だけでも草書体の形で書くようにするといいでしょう。

たとえば…

月 日 水 さんずい 糸へん 口 草かんむり など。

「そんなんでいいの?」と感じるかもしれないけど、試験を実施している書写技能検定協会が自ら「手びき」の中でこう言っている(た)のだから、邪道でもなんでもありません。

ですので、草書体が思い浮かばない時・度忘れしちゃった時の対処法として「なんちゃって草書」や「一部だけ草書体」を書くというやり方は、頭に入れておいて損はないでしょう。

何かしら字が書いてあれば、他の課題でリカバリーができる程度の小さい減点程度で済むかもしれません。

わからない問題が出た時、知識の蓄積の中から何かしら回答をひねり出せるのも能力のうちです。

それに、「どんな課題が出たとしても絶対に草書体が書けないと合格できない(一つも落とせない)」と自分を追い詰めすぎるよりも、「草書がどうしても思い出せなかったら、行書を崩したナンチャッテ草書、草書体がわかるパーツだけ草書を書けばいい」と開き直る方が、かえってリラックスして自分の実力を発揮できるような気がします。

実際、過去に出題されたことがない草書体は、大半の受験生が書けないのが普通です。大半の受験生が「なんちゃって草書」「部分的に草書」を苦し紛れに書いて答案を出してますから、諦めないで回答を全て埋めていただきたいと思います。

<硬筆書写技能検定準1級対策ページへのリンク>

準備編
独学でも硬筆書写技能検定準1級・1級に合格するコツ
硬筆書写技能検定準1級:使用した問題集、お勧めペン字練習帳と書体字典
各問題ごとの対策・練習法
①・硬筆書写技能検定第1問(速書き)対策~正しい書き順の復習と、行書の練習を重点的に行う。時間を測って過去問を練習する。
②・硬筆書写技能検定準1級・第2問の出題傾向と対策〜草書はどれだけ覚えればいいのか?
②・硬筆書写・毛筆書写準1級対策:草書体の練習だけで練習時間の6割を費やした理由
②・硬筆書写技能検定準1級&1級・第2問で草書体が書けない時の対処法~知ってる漢字を組み合わせて書く、行書を草書風に崩して書く(絶対に空欄のまま答案を出さない!)
硬筆書写技能検定第2問(3級・準2級・2級・準1級・1級)学年配当別の出題割合を比較してみた!
③・硬筆書写技能検定第3問(縦書き・行書)対策〜連綿は入れられるなら入れたほうが映えるけど、無理に入れなくてもいい
④・硬筆書写技能検定第4問(横書き・楷書)対策〜悪い評価がつく人が少ないからこそ、確実に評価4以上は取れるようにしたい
⑤・硬筆書写技能検定準1級・第5問(自由作品):漢字かな交じり文ではなく漢詩を選んだ理由
⑥・硬筆書写技能検定第6問(掲示文)~コピックを使うなら本番までに十分慣れておいたほうがいい(決して万人向けのペンではない)
⑦・硬筆・毛筆書写技能検定準1級:旧字体・書写体対策~硬筆2級のドリルを使って書き取り練習をする
⑧・硬筆書写技能検定準1級・1級 第8問B:古筆(仮名)対策〜よく出る変体仮名の読み方を覚える。

<硬筆書写技能検定1級対策ページへのリンク>

準備編
硬筆書写技能検定1級で使用した教材・書籍・筆記用具
独学でも硬筆書写技能検定準1級・1級に合格するコツ
硬筆書写技能検定1級対策:書体字典検索の時間を短縮するために工夫したこと(excelにデータを入れる・常用漢字の順番に並べ替える、等)
各問題ごとの対策・練習法
①・硬筆書写技能検定第1問(速書き)対策~正しい書き順の復習と、行書の練習を重点的に行う。時間を測って過去問を練習する。
②・硬筆書写技能検定準1級&1級・第2問で草書体が書けない時の対処法~知ってる漢字を組み合わせて書く、行書を草書風に崩して書く(絶対に空欄のまま答案を出さない!)
②・硬筆書写技能検定1級・第2問対策 草書体はどこまで覚える必要があるのか?
②・硬筆書写技能検定第2問(3級・準2級・2級・準1級・1級)学年配当別の出題割合を比較してみた!
③・硬筆書写技能検定第3問(縦書き・行書)対策〜連綿は入れられるなら入れたほうが映えるけど、無理に入れなくてもいい
④・硬筆書写技能検定第4問(横書き・楷書)対策〜悪い評価がつく人が少ないからこそ、確実に評価4以上は取れるようにしたい
⑤・硬筆書写技能検定1級:第5問(漢詩)対策~書体はどれでもよいけど、旧字体と書写体を織り交ぜて書くと味が出る
⑥・硬筆書写技能検定第6問(掲示文)~コピックを使うなら本番までに十分慣れておいたほうがいい(決して万人向けのペンではない)
⑦・硬筆書写技能検定1級:第7問AB(旧字体・書写体)対策〜双方に跨って出題される漢字に要注意
⑧・硬筆書写技能検定1級・第8問A(草書の読み)対策~直近の過去問と硬筆2級のドリルの字形でインプットする
⑧・硬筆書写技能検定準1級・1級 第8問B:古筆(仮名)対策〜よく出る変体仮名の読み方を覚える。
⑨・硬筆書写技能検定1級:第9問A(添削問題)対策~教育漢字の楷書体を重点的に練習する
⑨・硬筆書写技能検定1級:第9問B(書道史)対策~ダミー選択肢の筆者も覚える、図版と一緒に覚えると効率がいい
⑩・硬筆書写技能検定1級:第10問B(歴史的仮名遣い)対策〜中学生・高校生用の古文の参考書を読む、過去問で誤りパターンを覚える

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