合格点をとるための得点計画~満点を狙う必要はない
過去問で問われてる論点を9割以上理解できればOK
合格点をとるためには「過去問でよく問われる論点、基本的な選択肢を取りこぼさないようにする」「難問・奇問は解けなくてもいいと割り切る」ことが必要です。
過去8回の試験では、合格点は30点前後に落ち着いています。
現状の難易度と受験生数からすると、試験の出題形式や難易度等に大きな変化がない限り、33点以上取れればまず合格できます。
現状の難易度では、過去問題集のうち、9割~9割5分、各選択肢の正誤判断(誤りの理由が正しく指摘できるレベルまで!)がキッチリできるようになれば、33点~36点の得点は十分可能と言ってもいいです。
特に、他の法律系資格の取得者(≒宅建・管理業務・マン管・行政書士等…要は貸金以上の難易度の資格で民法を学習した経験がある人)であれば、過去問を数回くりかえすだけで、すぐに合格点がとれるようになるでしょう。
ただ、取り立てて他の法律系資格を持ってない人の場合は、もう少し得点計画を練って基本から勉強しないと難しいかなと思います。
個人的には、貸金業の実務経験の有無よりも、実務経験はなくても類似の国家資格試験に合格している人のほうが有利と感じました。
勉強の優先順位
まずは、50問のうち一番出題数の多い貸金業法関係で27問中22問(最低でも20問)・資金需要者保護で4問はとれるくらい、重点的に勉強した方がいいです。
自分は貸金業法では18問しかとれなかったけど、その分他の科目で挽回できたので結果的に合格点がとれましたが、他の科目でとりたてて得点源にできる得意科目がないなら、貸金業法と資金需要者保護で20点以上を確保する必要があるでしょう。
なお、貸金業法で得点の確保といっても、貸金業法は問題文が長かったり個数問題が複数出るなど、一筋縄ではいかない部分もあるので、満点狙いであれもこれも手を広げて勉強するのはかえって勉強の効率が悪くなるような気がします。
(これが宅建だったら「宅建業法は満点を狙うつもりで最低20問中17点以上確保できるまで勉強しましょう」とアドバイスするところなのですが)
よって、貸金業法関係と資金需要者保護で合せて7~8割くらいの得点(24~26点)を稼いで、付随法令・財務会計は半分(9問~10問)解ければよし、と割り切ってしまうのが一番効率がよいと思います。
これで合格点(33~36点)は楽にとれます。
貸金業法の重要論点
自分的に、もうちょっと理解が必要だったかなと思った貸金業法の論点は、
・貸金業法の用語の定義
・貸金業法・利息制限法・出資法それぞれの利息制限と罰則
・あらかじめ届け出なければならない事項 と 2週間以内に届け出ればよい事項、30日以内に届け出る事項の違い
・総量規制の除外と例外事項
・極度方式基本契約と極度方式貸付けに係る契約の違い
・契約締結前の書面と契約締結時の書面の記載内容
・返済能力の調査
・個人顧客の資力を明らかにする書面
・刑事罰が科されるものと科されないもの
・自主規制規則の広告・勧誘
などについてです。
これらの項目は、過去問だけでなくテキストもきちんと読んで、知識を整理しておけばよかったと思いました。
テキストも一応旦那からもらってはいたけど、殆ど開かなかったんだよな…(勿体ない)
民法で複数回出題されたことがある論点
民法の勉強はキリがないので、出題実績のある論点を理解できれば十分です。
貸金の試験で複数回出た論点は
・保証契約
・債務不履行
・相続
・相殺
・連帯債務
・連帯保証
・弁済
・債権譲渡
・期限・期間・利息
・意思表示(意思の不存在、瑕疵ある意思表示)
・代理
・時効
です。これだけ理解できたら、民法については半分~6割はとれるでしょう。
法律の初学者…過去問を読む前に民法の基本をおさえる
資格試験に慣れている人なら過去問をいきなり開いて勉強を始めても問題ないでしょうけど、他の法律系資格の勉強経験等がない人や択一式マークシート試験に慣れていない人がいきなり過去問を開くと「難しい!」と拒否反応を起こしてしまうことがあります。
もし「いきなりテキストや過去問を読むのはちょっとつらい」という人や法律系国家資格を受けたことがない人(民法をあまり学んだことがない人・得意でない人)は、まずは法律用語や民法などついて易しく書かれた本を1~2冊読んでみるところから始めた方がいいでしょう。
まずは法律の入門書・日本貸金業協会のHP・金融庁のHPを読んでみる
※民法の入門書例:
伊藤真の民法入門―講義再現版
六法で身につける 荘司雅彦の法律力養成講座
元法制局キャリアが教える 法律を読む技術・学ぶ技術[第2版]
弁護士が教える分かりやすい「民法」の授業 (光文社新書)
↓
貸金~の基本書(貸金業務取扱主任者合格教本など)の目次、太字や色で書かれているところをピックアップしてを読む(全体像を把握する感じでサーッと。この段階では精読しなくていいです。あくまで全体像の把握が目的なので。)
↓
貸金の過去問(貸金試験HPからダウンロードした過去問と、らくらく突破 貸金業務取扱主任者 ○×問題+過去問題集)を読んで出題傾向と難易度をつかむ
↓
貸金の基本書を読む⇒過去問を解いてみる⇒わからない所やよく出るところは基本書を精読する
という感じで勉強してください。
なお基本書を勉強といっても、隅から隅まで詳しく読む必要はありません。
出題頻度の多い項目だけで十分です。
最後に
初学者でも法律系国家資格に慣れている方であっても、結局のところは過去問で出たところを中心に勉強する、貸金業法で得点を稼ぐという戦略は変わりません。
試験実施初年度と比べると相当難化はしているとはいえ、過去問のサンプルが8回分あるので、その分だけ試験の傾向分析がしやすくなったとも言えます。
合格するためには満点を取る必要はありません。
30点~33点以上とれれば合格できるのですから、まずは過去に出題された論点(過去問8回分)を中心に勉強することです。
過去問で出た論点を理解して覚えてしまえば、必ず合格できます。
コメント
ふと、思った事ですが
先般、民法大改正があり、施行はまだ先ですが
資格試験的には混乱しそう(汗)
(問題集は最新版、テキストは一代前のを使用中)
特に今回は「債権」の部分が変わったとの事で
詳細は自分も把握し切れていないので、不安はありますねー
>nutsさん
民法大改正となると、問題の改訂作業も大変ですが、そもそも問題自体が成立しなくなることもあるでしょうね。
自分は行政書士試験もマンション管理士からも遠ざかっているので、また再開することになったら、ほぼゼロからのやり直しになっちゃうかな。
今回の試験ですが
貸金業法20/27
民法9/15
保護1/5
財務2/3でした。
民法改正前だからなのか?
やけに民法は細かい論点を突いてきましたね。
あとは、ちょこちょこ他の法律の改正点を問う問題もありましたね。
(個人情報保護法の5000人の要件とか)
nutsさん
貸金は30点ボーダーの年も多いので、難しい年度であれば、32点なら合格している可能性はあるんじゃないでしょうか。
問題の論点自体は単純なところも多いけど、組み合わせや文章の長さでひっかけてくるところがありますね。