口述試験は、合格率(参考:平成8年~平成22年 50.00%~97.62%、ここ最近は70~80%程度)をみると簡単と思うかもしれないけど、筆記試験合格者が受けてこの合格率なので、決してナメてかかってはいけません。
「よっぽど人格的にひどい人」「明らかに適性のない人」を排除するために行われる面接試験ではなく、記述式試験を口頭試問に置き換えた2次試験だと思ったほうがいいです。
<使用教材&勉強法>
それぞれ、国土交通省のHPから過去問題(H23~H15)をダウンロードし、wordファイルにコピペ。
出題が被っている問題については削除して、(H23・22・21)のように出題年度を記入。
+αで出題根拠となっている論点の条文を、法令データベースからコピペ。
こんな感じです。(量がちょっと多いので割り付け印刷で縮小しています)
↓
問題を条文番号順になるように入れ替え。
また、国土交通省海事局、関東運輸局、JCI(小型船舶検査機構)のHPから参考になりそうな資料をプリントアウトした↓
なお、ボイレコを使う人もいると思うんだけど、私の場合は…録音した自分の声を聞くとキ モ いというか激しく萎えるwので、部屋の片隅で一人でブツブツと呟いていました(怖)
※現在は「海事代理士口述試験対策問題集」が売られています。
声出し練習は必須
でもキモかろうが怖かろうが、声に出して練習することは必須ですよ!
私は知識のインプットですら終えるのが試験3日前という体たらくだったのでやっていませんが(できませんでしたが)、ある程度知識のインプットが終わったら、試験官役をやってくれそうな気の弱い人心優しい方をつかまえて、1科目3分で5~6問の質疑応答をする練習をしたほうがいいですね。
「試験官役は海事代理士のことを知らない人でもいいの?」と思うかもしれないけど、淡々とフツ~~~~に機械的に問題文を読んでもらうだけで十分です。
本番の口述試験でも、試験官は結構機械的というか、用意してある問題文を忠実に読み上げているような感じでしたし。
(あ、助け舟を出してくれるときだけは人間味を感じましたw)
最低でも過去問定番問題がスラスラ答えられないうちは間違いなく落ちる、くらいの気持ちでナメてかからずにキッチリ対策していきましょう!
<各科目の出題傾向>
・船員法
「海員・予備船員・給料・労働時間などの用語の定義」「船長が報告を行わなければならない場合」「雇入契約の手続」「雇入契約の解除(船員側・船舶所有者側ともに)」「解雇予告手当」「労働時間」「就業規則作成手続」「災害補償」などは複数回出題されています。
問題のバリエーションは結構多いですが、過去問で一度出たことがある論点は確実に答えられるようにすれば割と得点しやすい科目という印象です。
(なのに取りこぼしている自分って一体…)
・船舶職員及び小型船舶操縦者法
「用語の定義(法第2条)」「海技免状(操縦試験)について(手続きの期限、講習の種類、有効期間、必要書類、年齢、限定の種類、乗船履歴、更新手続、更新要件、取消し事由、失効事由など)」「乗組み基準・特例・乗船基準」「小型船舶操縦者の遵守事項」がよく出題されている印象です。
海事代理士合格マニュアルと国交省のHPからダウンロードした過去問を見れば解ると思うけど、問題文も模範解答もあまり親切な作りじゃないので、まずは参照条文をきちんと調べなおすところから勉強しましょう。
ただ、わけもわからず条文をおっかけているとかなり混乱するので、国土交通省の海技士や小型船舶免許関連のHPを一通り見たほうがポイントは掴みやすいと思います。その上で参照条文を見るほうが楽かもしれませんね。
大雑把に言っちゃうと海技士免許と小型船舶操縦免許に関する法律なんで。
・船舶法
「日本船舶の要件」「船籍港の定め方の原則」「船舶取得に関する一連の手続き(+所有権移転・総トン数変更・船名変更)」「検認を受ける期日」「船舶国籍証書の書換・再交付」「仮船舶国籍証書の交付・有効期間」「船舶国籍証書の返還」「総トン数の測度や登録の規定が適用されない船舶」「信号符字」「船名標示の場所」「手数料納付方法」の問題は頻出なので必ず答えられるようにしましょう。
基本的には過去問が繰り返し出題されており、得点源にできる科目です。
・船舶安全法
「船舶検査証書」「法5条の検査(定期検査・中間検査・臨時検査・臨時航行検査・特別検査)」「予備検査・製造検査」関連の問題が中心といえば中心なのですが、過去問を見るとわかるように、問題のバリエーションが多いというかつかみどころがよくわからないというか…受験生泣かせの科目です。
私も泣きました( ノД`)
あまり高得点の期待できない科目なので、せめて過去問で1回でも出題された論点は確実に答えられるようにするしかありません。
強いて言うならばJCIのHPが参考になるのかな…。
<瞬発力と気持ちの切り替えが大事>
口述試験では「瞬発力」と「気持ちの切り替え」がとても大事だと思います。
1問あたり36秒
口述試験なので、筆記試験と違って問題文を目で読むわけでなく、耳で聞いて口で答える必要があります。
そこに筆記試験と違った難しさがあるのですが、まず言えることは、筆記試験のように悠長に記憶をたぐりよせている暇はないということです。
試験時間は1科目につき3分間で、3分間で5問~6問出題されます。
3分5問ということは、単純計算で1問あたりの時間は、問題文を読んでもらう時間を含めたった36秒しかないわけです。
勿論、短い問題文の&一言で解答が終わる問題もあれば、ちょっと長めの問題&長い解答の問題もあるので、一概に36秒ではありません。
ただ、少し言葉につまったり、度忘れした問題の答えを思い出そうとしている間にあっという間に3分が過ぎるのは想像できると思います。
なので、過去問頻出論点は素早く正確に答えて確実に2点get&未出問題は一旦パスして残り時間で粘って部分点1点getするのが口述試験攻略のセオリーです。
初耳問題…間違ってもいいから、何か言おう
もし仮に答えに自信がなくても、何か思いついたら間違いを恐れずに答えを言っちゃったほうがいいです。
間違った答えを言ったからといって解答権がなくなるわけではありません。試験時間が残っている限りは何回でも答えられます。
何らかの回答をすれば、試験官によっては「それはちょっと違うね」とか「もう一回言ってください」「もっと具体的に言ってください」「他に何かありませんか?」などと助け舟をだしてくれたりします(勿論何も言わない試験官もいるけどw)。
しどろもどろであっても運よく正解にひっかかっていれば次の問題を出してくれますが、何も答えないまま押し黙っていては試験官も救済のしようがありませんよね(苦笑)
「リピート」「パス」「座席移動」の間に気持ちを切り替える
問題が聞き取れなかったり理解できなかったら聞き返してもOKです。何回でも読んでくれます。
わからない問題はパスして次の問題を読んでもらうこともできます。
パスや聞き返しだけで減点されることはありません。
ただ、1科目あたりの試験時間はたった3分なので、何回も聞き返したりパスしてばっかりだとあっというまに3分経っちゃいますけど。
過去問で口述の試験対策をきちんとやってきた人が初耳だと感じた問題は、他の受験生にとっても初耳です。
その問題で点差はつきません。大半の受験生は0点かせいぜい1点(部分点)もらえればいい方です。
そんな問題に心と時間を奪われて答えられる問題も答えられなくなったら勿体ないと思いませんか?
わからない問題がでたら、一呼吸おいて「次の問題をお願いします」と言いましょう。
試験官が「では次の問題」と言ってる間に気持ちを切り替えてください。
ベルが鳴って次のテーブルを移動するまでに、出来の悪かった科目のことは忘れましょう。次の科目で挽回すればいいんです。
参考:試験当日の雰囲気など
試験当日は、服装はスーツまたはそれに近い服装の人が大半ですが、私服で行ったからといってそれが理由で落とされることはないと思います。
ただ試験会場が国土交通省内(合同庁舎)ということもあって、廊下ですれ違う人たちは「お堅い」服装をした人ばかりです。
遊びに行くような格好ですと居心地の悪さを感じるかもしれません。
試験官や係員は紳士的な人が多く、感じの悪い人は居なかったと思います。
<確実に合格点をとるために…過去問+αの対策>
口述の合格基準は40点中60%以上の得点(1問2点)なので、4科目トータルで24点とれればいいんですが、40点中10点~14点は聞いたことのない新作問題が出ます。
よって、「過去問の問題と回答の暗記だけ」に頼ると、マックスでもボーダーラインよりちょっと上のところまでしか点が伸びないという計算になってしまいます。
勿論過去問だけで合格点をとることも理論上は可能ですが、短い時間で回答する必要があるので、「頭では理解しているはずなのに本番で凡ミスして失点する」可能性も考慮すると、確実に合格点をとるためには過去問+αの勉強が必要になるでしょう。
その+αは何かというと、出題根拠となっている条文を読むこと、筆記試験の復習をすること、国土交通省や海事関係のHPから参考になりそうな様式・資料を収集することです。
周辺知識を固めていくことで、多少過去問から捻った問題や新作問題が出たとしても、そこに喰らいつくことはできるようになると思います。
(私の場合は、前日にJCIのHPを見ていたことで、船舶職員法の適用除外となる船舶例を捻りだすことができました。)
<口述試験の採点についての雑感>
この口述試験は、筆記とは違った難しさや水物感はあるにせよ、勉強(練習)すれば必ず点数が取れます。
新問は落としたとしても全部で6割取れればいいんだし。
その代わり合格基準に達していなければ容赦なく落とされるという点ではシビアというのがまず第一の感想です。ノー勉で行くと間違いなく玉砕決定でしょう。
そんなツワモノは殆どいないと思いますが。ましてや遠方の人は交通費ン万円かけて国土交通省まで来るわけだし。
試験から結果が出るまで20日以内であること、年によって合格率に変動があるところを見ると、難易度による点数調整・補正は殆どしていないと思います。
シンプルに、4人の試験官による合計点が24点以上か24点未満かを機械的に判断しているとみました。
勿論機械採点のマークシートに比べれば、試験官による部分点裁量、出題問題の難易度差や相性によって2~3点は上下するかもしれないけど、少なくとも保育士の実技試験に比べれば、受験生間の不公平感や採点への不信感はかなり少ないと思います。
ここから先は海事代理士受験生にとっては余談ですが、保育士実技は受験生の7割~9割は受かるものの、いろんな意味でフタをあけてビックリな採点結果が待っています。
ビックリするだけならいいけど、「ヘタクソ」でも「芸術センス」がなくても合格点がもらえる人がいる一方で、音大卒や保育・育児・読み聞かせ経験のある人や、筆記試験前から入念に準備してきているような人が30点ちょっとしかもらえなかったり、不合格になる(しかも試験当日に大きなミスがあるわけでもない)という理不尽な一面があったりします。
美大や音大の入試ではなく、あくまで「保育実技」の試験なので、単に技術や芸術性のあるなしを採点してるわけじゃないんだな…保育士にふさわしい態度が求められているのかな…というのは理解できるのですが、採点基準が公表されていないのにただ点数だけ突きつけられても困っちゃうわけです。
私は運よく合格できたからよかったものの、もし不合格だったら次は一体何をすりゃいいんだ!とブチギレていただろうなとw
まぁそう考えると、海事代理士口述は合否判定はシビアだけど、過去10年分の問題と模範解答をきっちり開示してくれているので、試験対策のしやすさ(*少なくともこれだけ答えられたら点をくれるだろうという相場がわかる)という点でも、保育士実技試験よりはずっとマシな試験だと思います。
ベストではないけど、ベターという程度ですが。
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