海事代理士筆記試験の合格基準は、220点中132点以上(60%以上)の得点且つ受験生全体平均点以上の得点をとったものとされています。
目標はトータル7割以上
H24年度の場合は、受験生平均点は57.9%だったので合格点は132点(60%以上)でしたが、例年の受験生平均点からすると、トータルで7割以上の得点をとれるとほぼ合格は間違いないようなので、7割以上をとるつもりで得点計画を練るのがセオリーかと思います。
以下、私が過去問から分析した得点計画・出題傾向・対策法です。
1.憲法⇒6/10
穴埋めは満遍なく出題されるけど、分量は多くないんで条文自体を全部暗記しちゃってもいいと思う。
ここ最近の10問5択問題(10肢の中から正しい肢を5つ選ぶ問題)は、条文の正誤メインだったものが判例知識を問うもののウエイトが増えているように感じます。
○×対策には行政書士の問題集(H16~21年くらいの難易度レベルのもの)が参考になると思うけど、満点を狙うのは得策じゃないです。
足を引っ張らない程度に6~7点とれればOKくらいに割り切ったほうがいいでしょう。
2.民法⇒5/10
条文が1044条もあるのに10点しか出題されず、そのくせ穴埋め問題は過去問踏襲率が低く、下手すると全滅の危険性すらあります(苦笑)
10肢5択問題は憲法と同じく事例問題や判例問題の割合が増えてきているので、行政書士・宅建・ビジネス実務法務検定2級等の問題集が参考になるとは思いますが、これらは時間に余裕があったらやってみる、くらいでいいとおもいます。
行政書士や司法書士、司法試験経験者以外は捨て科目にしたほうが無難です。
法律家になるんだったら民法は必須ですが、試験に合格するだけなら深入りしてはいけません。
時間のない人が深入りするとドツボにハマります。
よって過去問と同じ問題が出たらラッキー♪と割り切って、その分他の法令科目で確実に得点をゲットする方がいいです。
3.商法(第3章海商法)⇒5/10
miwa的には文語体で条文を読むのがメンドクセ(‘A`)と思ったので捨て科目にしちゃいましたが、良く考えてみると条文数自体はそれほど多くはないので、民法より点数はとりやすいかもしれません。
過去問を見る限りでは、船舶及び船舶所有者、船長、運送契約、船荷証券、保険契約、共同海損、先取特権、債権の時効あたりは複数回出題されているように思いました。
ただ文語体の条文を読んで理解するのは時間がかかるので、
体系海商法や口語商法・会社法 (口語六法全書)、海事一般がわかる本、概説 海事法規などの本を読んで勉強するのがいいと思います。
時間のない人は捨て科目にしてもいいと思いますが、民法・商法を捨て科目にした場合は、他の海事法令科目でコンスタントに7~8点以上とれるように計画を立ててください。
4.国土交通省設置法⇒8/10
特に地方運輸局の名称・位置・管轄都道府県の問題はサービス問題なので絶対に全問正解しましょう。
覚えにくいのは管轄と管轄の境目の都道府県(福島・山梨・静岡・三重・滋賀・福井)くらいです。
地方運輸局の海事振興部か海上安全環境部かの業務内容を選択する問題については、大まかなイメージとしては海事業界の発展につながるものは海事振興部、海上の安全を保護するっぽいものは海上安全環境部、という感じで覚えておいて、詳細は条文で確認すればOKです。国土交通省海事局の担当課名とセットで覚えちゃいましょう。
国土交通省設置法
(国土交通省設置法)
5.船員法⇒15/20
文章記述問題(~について3つ挙げよ的な問題)については、口述試験の問題が参考になります。
船員法 (口述科目)
(船員法)
6.船員職業安定法⇒8/10
H17年から追加された科目。
定義、事業制限、事業の許可、期限、手数料を抑えておけば大丈夫です。
条文が多い割には比較的点数を取りやすい科目なので、H17年からの過去問を中心に勉強すれば十分でしょう。
現時点では多肢選択と○×で出題されている科目だけど、今後穴埋め記述で出題される可能性も十分にあるので、穴埋め記述のつもりで勉強しておくこと。
7.船舶職員及び小型船舶操縦者法⇒14/20
目的条文・船舶職員の定義・海技免許・操縦免許・乗船履歴の計算・海技試験申請書・海技免状の再交付に必要な書類・免許講習等が良く出ます。
もともと規則等から細かい点が出題される上に、ここ最近は新傾向の問題が頻出し、なかなか高得点を狙いづらい科目です。
とはいっても配点の大きい科目なので、10点を切ると他の科目でのフォローが苦しくなります。
コンスタントに12~14点は確保できるように時間をかけて勉強してください。
条文だけ追いかけていくと混乱するので、国土交通省の海技士・小型船舶操縦免許についてのページを参照すると理解しやすくなります。
また海技士や小型船舶操縦免許を持っていると、よりイメージがしやすくなります。
余裕があれば小型船舶操縦免許をとるのもいいですよ。
(船舶職員及び小型船舶操縦者法)
8.海上運送法⇒8/10
特に目的条文・定義・許可・届出・認可をきっちり抑えましょう。
なお、この法律の旅客船の定義は「十三人以上の旅客定員を有する船舶」となっているので、船舶安全法8条の旅客船「十二人を超ゆる旅客定員を有する船舶を謂ふ」と混同しないようにしましょう。
海上運送法
9.港湾運送事業法⇒8/10
これも過去問中心で8割以上得点が可能です。
目的条文・定義・許可・届出・認可・10条~15条あたりを抑えましょう。
特に検数と検量の定義の違いは良く出るので、○×でも穴埋めでも得点できるようにすること。
いくつか法改正があったようなので、古い過去問をやる際には最新の条文を参照するようにしてください。
10.内航海運業法⇒8/10
H17年より追加された科目です。
条文数も少なく、過去問中心で8割以上が狙える科目です(miwaはケアレスミスで得点を落としてしまったけど…)
目的条文・定義・登録及び届出・内航運送約款・安全管理規程・報告及び検査・聴聞の特例等がよく出ます。
11.港則法⇒7/10
ワンパターンかと思いきや、たまに港則法以外にも港則法施行規則から細かい論点をついてきたり、H23年に「(20個の選択肢の中から)特定港を5つ選べ」という鬼畜な問題が出たこともあります。
よって6~7点とれれば良しと割り切ってもいいでしょう。
目的条文・特定港の定義・びょう地・修繕及びけい船・危険物・特定港内における港長の許可を要する事項・入校届などがよく出題されます。
12.海上交通安全法⇒7/10
年度によってたまに難しい時があります。また、海上交通安全法施行規則からも出題されます。
少なくとも総則(目的条文や適用海域、巨大船の定義など)、巨大船等の航行の通報、危険防止のための交通制限等・航路およびその周辺の海域における工事・航路航行義務・危険物積載船(トン数)・海上交通センター長への通報・許可・届出など複数回出題された論点については確実に得点できるようにしましょう。
13.海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律⇒8/10
H24年度試験では突然見知らぬ論点ばっかり出題されましたが、それ以外の年ではほぼワンパターンな問題ばかりです。
条文がめちゃくちゃ多いので、過去問頻出論点をきちんと覚えておけば十分でしょう。
「届出」「認可」「許可」、「国土交通大臣」「海上保安庁長官」「環境大臣」「地方運輸局長」を整理して覚えると得点が安定すると思います。
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律)
(海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律施行規則)
14.船舶法⇒15/20
船舶法そのものの条文数は少ないのですが、条文が文語体で読みにくく、施行細則や船舶登記令からの出題もあり結構細かい知識も問われる科目です。
日本船舶の定義・標示事項・船籍港・官海官庁・船舶原簿への登録・船舶国籍証書(交付・書換・再交付・検認)・仮船舶国籍証書(交付・有効期間)・信号附字・船名の標示・手数料等が繰り返しよく出題されています。
過去問のパターンを押さえておくと、7~8割はコンスタントに取れる科目だと思うので、口述試験も見据えた上で14点以上は絶対に確保してください。
15.船舶安全法⇒14/20
筆記試験の段階では、まずは過去問の頻出箇所を中心に得点できれば十分でしょう。
目的条文・満載喫水線の表示・検査(定期検査・中間検査・臨時検査・臨時航行検査・特別検査)・船舶検査証書・船舶検査済票・型式承認・船級協会の検査などの穴埋め問題は確実に得点できるようにしておきましょう。
JCI(日本小型船舶検査機構)のHPも参考になります。
船舶安全法(口述科目)
16.船舶のトン数の測度に関する法律⇒9/10
条文も少なく、同じパターンの問題が繰り返し出題される科目で、満点が狙える科目です。
特に用語の定義、「トン数」の定義(国際総トン数・総トン数・純トン数・戴貨重量トン数)、国際トン数証書(交付・書換え・再交付・返還)・国際トン数確認書をきっちり抑えましょう。
17.造船法⇒7/10
目的条文・施設&設備の新設許可・事業開始(休止)の届出・生産状況報告書・権限の委任などについてよく出題されてます。
造船法の条文自体は短いけど、造船法施行規則からも細かい点が出題されることが多いので、余裕があれば未出の条文もチェックしておくといいと思います。
18.国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律⇒9/10
船舶警報通報措置等・船舶指標対応措置・船舶保安統括者・船舶保安管理者・操練・船舶保安記録簿・船舶保安規程・定期検査・船舶保安証書…いずれも確実に得点したいです。
国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律
(国際航海船舶及び国際港湾施設の保安の確保等に関する法律)
年度によって、記述・○×・択一等の配点割合が微妙に違っていますが、上記の得点計画を合計すると161点(73%)となり、余裕で合格ラインを超えられます。
最近は全く予想もしていなかった新作問題が見られるようになってきていますが、それでもトータルで見れば、過去問をキッチリつぶしていくだけで7割前後の得点は可能です。
コメント
miwaさん、
初めまして、どうしても、会社辞めたくて、
海事代理士をめざしています。
参考になります、本当に。
ありがとうございます。
>星導舎代表 吉ちゃん さん
はじめまして。コメントありがとうございます。
会社を辞めて海事代理士を目指すのですか?
筆記試験まであと1ヵ月半ですので、合格できるようがんばってください。
最近は割と新傾向な問題も増えているようですが、過去問をちゃんとやれば合格点はとれます。
ご丁寧にありがとうございます。
今の仕事が激務すぎて、すぐにでも会社をやめたいのですが、
根っからの寄らば大樹の陰体質のため、何でも良いから
士業になって、信用を得ながら、起業家として活躍したいのです。(海事代理士一本では、食えないですよね)激務すぎて、心筋梗塞で倒れ、今入院中のベッドでテキスト読んだり、miwaさんブログ拝読させていただいております。
本当に参考になります。
新井海事代理士先生のサイトは、すごく良くないですか?
結構信頼してしまっていますが、どう思われますか?
因みに、現在、宅建、貸金業取扱主任、アマチュア無線は取りましたが、行政書士、管理者主任は落ちました。行政書士志望なんですよ、もともと、3回落ちてますけど、あの資格は悪魔の資格ですよね。起業家には。ギラッ!
miwaさんのような頭が欲しいです。引き続きご指導お願い致します。miwaさんも合格りまくってください!
>星導舎代表 吉ちゃんさん
心筋梗塞で倒れて入院中!!
それは無理をしないでほしいです。
身体があってこその資格取得と仕事なのですから…。
新井海事代理士先生のサイトは、サッと見た感じでは、特に口述試験の対策に役立ちそうだと思いました。
なんせ実務に就こうとおもって試験をうけたわけじゃないので、実務家のHPやブログはあんまり読んだことがないのです…。
筆記試験は結局のところは用語や数字を正確に覚える、ということに尽きると思います。
自分が筆記試験の時にやっていたのは、試験問題のシャドーイングですね。
左手に試験問題、右手に解答を持って、試験問題の穴埋めを口でつぶやく
(実際に声には出しませんよw)→1秒考えても答えが浮かばなかったら即解答を見てシャドー これを7年分繰り返しやってました。
手で書いていると時間がかかるので、この方法だと時間短縮できます。
これだったら、ベッドの上でもあまり体に負担をかけずにできるかもしれません。参考になれば。
本当にありがとうございます!勉強お忙しい中!参考にいたします!
>星導舎代表 吉ちゃん
無理はなさらないでくださいね。