法律系国家資格の中では、試験対策の教材も情報も乏しいこの試験。
海運業界や船とは縁のない人でも合格できるよう、自分なりの試験対策方法をまとめてみましたので、来年以降受験される方はよろしかったら参考にしてみてください。
(*そもそも門外漢の人が受けてもしょうがない試験なのですが…法律系や資格マニアの受験生が増えていますのでね)
<海事代理士を知ったきっかけ>
中村一樹さんの「60日で取れるとっておきのお得な資格」に挙げられていたからです。
2010年にこの本を読んだとき、何年後になるかはわからないけどいつかは受けてみたいなと思いました。
「カバチタレ!」や「ナニワ金融道」じゃないですよw(つーかカバチタレ!も特上カバチも読んだことがない…)
<試験対策>
勉強期間
筆記試験⇒試験制度を調べたり教材購入は7月中に済ませていたんだけど、7~8月まで他の試験が断続的に入っていたので、勉強に着手できたのは建設業経理士試験(9/9)が終った後から約3週間ほど。
口述試験⇒筆記試験の自己採点をした結果、149点(220点中)とれているようだったので、まずは国土交通省HPから過去問をダウンロード。
本格的に取り組んだのは行政書士試験終了後からなので、実質的な勉強期間は2週間強?
法律系国家資格の既習者(行政書士・宅建など)ならば、筆記は1~3ヶ月あれば7割以上の得点ができるようになります。
ただ、マークシート択一式ではないので、あまり短期間すぎても暗記しきれないんじゃないかなと思う。
使用教材と勉強法
・海事代理士合格マニュアル
合格マニュアルは、H22~H18の5年分のみの収録だったので、まずはこの5年分について出題傾向を分析した。
ただ、合格マニュアルに載っている回答は正解の番号や用語・参照条文の号数くらいしか書かれておらず、しかも筆記試験編の巻末にまとめて載っていて読みにくかったので、合格マニュアルの問題に直接解答を書き込んで、参考書代わりに繰り返し読んでいました。
(後から考えると、回答の部分はコピーをとって別冊にしておけばよかったかも?)
・国土交通省HPからダウンロードした過去問7年分(H23~H17)
最初はメモ用紙に一つ一つ用語を書いて覚えていたんだけど、微妙に右手首が腱鞘炎っぽくなり、時間がかかる割にはH23年度の問題が半分も解けないことに愕然としたので、筆記試験一週間前にダウンロードした過去問(H23~17年度)を答えを見ずにシャドーイング&音読に切り替えました。
1秒考えても答えが浮かばない問題は即解答を確認⇒解答を音読して答えをインプット!
これで大分時間を短縮できました。
字を書く練習は間違いやすい漢字やどうしても覚えられない単語に絞りました。
結果的には、解答を見ないで全部スラスラ読めるようになるまで…とまではいかなかったですが、H23~17までの7年分については8~9割は解けるところまではやりました。つーか最初からこの方式にしときゃよかった(苦笑)
マニュアル・過去問対策と並行して、法令データ提供システムで参照条文を検索し、それをwordファイルにコピペして自分用の条文集を作成。
条文集はこんな感じ↓
↑過去に穴埋めで出題された箇所は黄色でマーキングしています。
過去に出題実績がない条文や附則は思い切ってほぼ削除。だってそうしないとwordファイルの分量が恐ろしいことに…。
まぁそうやって削除していたら、「海上汚染~」と「造船法」で死亡フラグが立ったんだがなw
というかせっかく条文集を作ってはみたものの、時間がなかったのであまり活用できませんでした。
なお、国交省のHPからはH14~H16の過去問題もDLできますが、時間もなかったし法律も変わっているところがいくつかあったので、一度目を通してみた以外は読みませんでした。
<筆記試験前にやっておけばよかったこと>
海事関係の一般書
筆記試験が終った後に、口述試験の参考になりそうなものを…ということで、「海事一般がわかる本」など、船関係の本を3冊ほど買ってみたんだけど、私のように船や海事関係とは縁のない人は、一般書や入門書で船舶や海運業界のイメージを掴んでから勉強するといいと思います(といっても素人にも理解できる海運関係の本もそれほど多くはないのですが…)
なんせ船橋(ブリッジ)が船のどこにあるのかもわからず、夫に相当呆れられましたからね~(爆)
「船や海のことをロクに知らないのによく海事代理士を受けようと思ったな~その心意気は褒めてやるよwていうか船のことを全然知らんくせによく合格点とれるな。知らないことをゴリ押しで暗記できちゃうのは別の意味ですごいわww」…ってorz
↑
何でそんなに上から目線なんだ…夫よ。
この流れで「小型船舶の免許を取りに行ってきたら?」という話になったわけですw
追記)概説 海事法規
私は持っていませんでしたが、試験後に本屋で立ち読みしてみたら、船舶法・船舶安全法・船員法・船舶職員法・海洋汚染及び~・海上交通安全法・港則法・海商法について詳しく描かれていました。
値段は5000円もするし、字が小さ目で読みにくい部分が多々あるけれど、海商法・船舶法・船舶安全法の文語体の条文をおっかけるよりは遥かにマシです。
つーか多少値段は高くても、筆記対策・口述対策を考えたらコレを買っておいてもよかったんじゃないかと思ったよ(苦笑)
・小型船舶操縦免許の取得
船舶の学科講習では、海上衝突予防法・港則法・海上交通安全法・船員法・船舶職員法・船舶法・船舶安全法について触れるので、筆記試験前にとっておけばよかったです。
海上衝突予防法そのものは(海事代理士の)筆記試験に出題されないけど、海上の交通ルールは海上衝突予防法が基本になっていて、その上で港則法や海上交通安全法が適用されるわけです。
こうした法律間のヨコのつながりを理解していると、筆記試験でも有利になると思いました。
私の場合は、学科の担当教官が遠洋漁業で船長をやっていた人だったので、海や船の業界にまつわるリアルな話や、船長の業務についての話が聞けてラッキーでした。
ブラジル沖で遭難して遭難信号を発信した話や、船長が他の船の遭難を知ったにもかかわらず、救助しなくてもいい時の話とかね。
取得するのは一級でも二級でもいいので、時間とお金に余裕があれば取得してみても損はないですよ。
ただ二級を2日コースで取るのは体力的に結構キツいですけど…(苦笑)
<難易度・他の法律系国家資格との比較>
一言でいえば「試験自体は難しくはないけど面倒くさい」試験です。
最近は何問か新傾向の問題も出題されるようにはなっていますが、筆記も口述も問題の8割は過去問題の焼き直しです。
それに「知っているか知らないか」知識型の出題が大半で、現場思考型の問題は殆どありません。
知っている問題で6~7割近く得点すれば筆記試験に合格できてしまうので、そういう意味では他の法律系国家資格に比べるとずっと簡単です。
筆記試験については試験問題自体は宅建や管理業務主任者よりも簡単だと思いました。
ただ、大半の問題が記述式であること・口述試験があること・科目数が多く試験時間が長いこと・試験対策教材の乏しさを考慮すると、宅建・管理業務主任者よりもずっと疲れる試験でした。
いくら宅建や管業に比べて簡単と言っても、自分で条文を一つ一つ検索したりしなきゃいけないんで、結構面倒くさいっつーか時間がかかる…。
行政書士や宅建の問題集が過保護に見えるくらい、海事代理士合格マニュアルの解説は素っ気無いです(泣)
条文の穴埋め問題がメインなので参照条文番号さえわかれば答えはすぐにわかるとはいえ、それを差し引いても勉強の手間と一工夫が必要です。
こういう手間隙をかんがえると、法律の初学者や法律系国家資格未経験者には、初心者向けの講座や書籍が充実している&2時間ポッキリマークシート択一式の宅建の方が楽(勉強がしやすい)といえます。
コメント
仕事柄船舶を扱っているし、社内でも海事代理士資格に対し補助があるので取ろうかどうか?考えていたので大変参考になりました。
法律は初学者なので、まずは宅建を狙ってその後この資格に挑戦しようと思います。
>hamarioさん
船舶を扱っているうえに海事代理士への補助がある職場ですか!なかなか珍しいですね。
海事代理士試験は覚えることは多い&口述試験もあって中々面倒ですが、内容的にそれほど難しいわけではないので、是非チャレンジしてみてください。
早速レスつけていただいてありがとうございます。
確かに過去問見ると「え?(@_@;」というのもありましたネ。
ただ「口述」というのが、やったことないので準備が必要かと思いました。
今後も(WEB上で)ご指導よろしくお願いします。
>hamarioさん
特に商法(海商法)、船舶法や船舶安全法は法令が文語体で書かれているので、読みづらくてしょうがなかったですね(苦笑)
口述は良くも悪くもただの口頭試問です。国土交通省のHPに過去問が乗っていますので、それを元に喋る練習をすれば大丈夫ですよ。
ありがとうございます。
船舶法や船舶安全法等については船舶に詳しい人達に聞いてみることにします。
あと、小型船舶は必須と書いてあるのですが、¥が・・・。今のうちに積んでおきます。
>hamarioさん
小型船舶は必須とまではいかないですが、実際に海で船を操縦してみると、学科試験の理解に役に立つ部分が結構多いと思います。
もし興味があって受講されるのでしたら、学科試験の勉強を始める前にやるのがオススメです。