塾通いの意味について小学校時代に疑問に感じていた話は、以前別の記事で書いた記憶があります。
その後、中3~高校時代の話を書こうとおもいつつ、自分の中で消化しきれてない部分があって、後編は書かずじまいになっていました。
ちょっと前に、「灘校と西大和学園で教え子500人以上を東大に合格させたキムタツの「東大に入る子」が実践する勉強の真実」を読んでいたら、私が中学3年~高校時代にかけて、塾に通う意味についてモヤモヤと疑問に感じていたことについて、キムタツ先生がハッキリと言語化してくれた箇所がありましたので、一部引用させていただきつつ、中編を書きたいと思います。
引用 P96~
コラム 教え子エピソード⑧
H君は灘中学に入ってすぐに野球部に入部しました。勉強もそれなりにやっていたように思いますが、中学時代は野球中心です(中略)
ところが高校に入ってからは野球部に入らず、東大に多くの生徒を入れることを宣伝している塾に通い始めました。野球はもうしないのかと尋ねますと、勉強したほうがいいと母に言われたのでとの返事。あまり良くない傾向だなと思っていたら、思ったとおりに成績は落ち始めました。成績うんぬんよりも、授業中に居眠りをすることが多くなってきたのです。尋ねると「塾から帰るのが夜遅くなる」とのことでした。
(中略)
彼が高校3年生になろうかという春のこと。私のところに来て「塾をやめました」と明るい顔で言います。どうしてやめたのかと聞くと「そろそろ勉強しないとまずいと思うので塾はやめます」と。今までどうしてやめなかったのかと聞くと「なんとなく塾をやめると良くない気がしていたが、成績が伸びないのに行ってるのは時間とカネの無駄だと気付いた」とのことでした。
この引用の生徒さんは、塾通いをやめた結果、授業を集中して受けるようになり、成績が上がり、東大文Ⅰに合格できたとのことです。
(引用)塾に行くより、まずしなくてはいけないこと P98~
塾に行っても、極端に言えば学校に毎日通っていても、自分の弱点の原因をじっくりと分析しないと力は上がらない。
(中略)
成績が悪いから単に塾に行く、では成績は絶対に上がりません。個人の弱点の箇所を分析し、原因をじっくりと考えることで成績は上がっていきます。
(中略)
点数が伸びないのには必ず原因があります。それを自分で分析できていない状態で塾に頼っても、欠点は補えません。なぜなら塾だってその生徒の伸びない原因がわからないはずだからです。自分にしかわからないのです。仮に塾でたくさん宿題が出て、それを全部やったとしても、自分がわかってないところをわかろうとする勉強がすっぽ抜けていたり、結局わからないことをわからないまま飛ばしていたりしたら、力は上がらないままです。量をこなしても成績が上がらない生徒はまさにこのパターン。弱点を埋める勉強ができていないのです。時間だけが費やされることになってしまいます。
周りから与えられたタスクをこなすだけでは、学力は上がりません。大切なことはどこのピースが欠けているのかを分析し、それを埋める努力をすることです。そのために必要なものは時間です。塾に行っている時間のために、そのピースを埋める時間を確保できないのであれば、塾はすっぱりやめたほうが成績は上がります。機械的に塾に通っていてもお金と時間の無駄に終わります。
私が大人になって改めて感じているのはこの点です。
・成績が伸びないのに塾に行ってるのは時間とお金の無駄遣い
・量をこなしても成績が上がらないのは弱点を埋める勉強ができていないから。成績が悪いから単に塾に行く、では成績は絶対に上がらない。
ということです。
遡ること約28年前、まず私自身の話から。
私は中学3年の時、北海道の某田舎町から札幌市の某公立中学校に転入しました。
その転校先の中学校のクラスでは、クラスメートの3/4(40人中30人)がどこかしらの進学塾・学習塾に通っているor家庭教師をつけていると聞いて、かなり驚きました(汗)
田舎で塾に通ってるのは100人中30人程度(それも町内にある個人学習塾がほとんど)だったのが、都会では100人中75人が塾に行っているわけね。さすが都会は違うわねと思ったんです。
で、私も札幌に引っ越してきてから、高校受験に向けて、進学塾に週3で通うことになりました。
塾に通うことに関しては、小5の時とは異なり、親子で特段揉めた記憶はないです。
高校受験のために札幌に戻ってきたのだし(※)、今年1年は勉強を頑張らなければいけない年だと思っていたからです。
そんなわけで、気づいたら、家の近所にある進学塾への入塾手続きが終わっていた、というくらいアッサリしたものでした。
※miwa注:もうそろそろ父が都市部に異動になりそうな時期だったのに転勤の辞令がなかなか出ず、結局私が中3になるタイミングに合わせて、父を田舎に残して、私と母と弟の3人で札幌に引っ越すことになった。
さて、進学塾に1年間通った結果、私の学力点はそこそこ伸びたんです。
実際に進学塾に週3で通ってみて、塾の授業は面白かったですし、試験を受けるごとに点数が上がっていくのも面白かったし気持ちが良かった。
ただ、学力点が伸びたことで、塾からの勧めと私自身にも欲が出てしまい、当初の志望校よりも1ランク上げて受験したら、内申点の方がギリギリすぎたため、残念ながら公立高校の入試に落ちてしまった…_| ̄|○…ガックリ
とはいえ、入学した私立高校はとてもいい学校で、良い友人や先生に恵まれ、また塾や予備校に通わずとも、希望していた大学・学科への推薦がもらえたので、結果オーライだったと思います。
そんなわけで、中3の時の私は「塾に通ったお陰で成績が上がった」と思っていましたし、母親も同じように思っていたと思います。
工夫された授業と熱心な先生、練られたテキストと問題集、これは確かに学校の授業よりも良かったと思います。そこは否定しません。
ただ、私自身としては
「塾に通った結果、私の成績は上がったのは事実かもしれないけど、塾に通っていても成績が良くない人も結構多いよね。成績が上がる人と上がらない人の差は一体どこにあるんだろう。というか成績が上がらない&授業についていけない状態で塾に通っている人は塾通いが嫌じゃないのか?」
と疑問に感じていたことも事実です。
とはいっても、自分がもし一人っ子だったら、多少の疑問は感じつつも、「受験生が塾に通うのは当たり前」と思いこんだままだったかもしれない。
塾通いの必要性に対して本当に疑問に感じるようになった、みんながみんな塾に通う必要はないんじゃないのか?なんでみんな塾に通ってるの?と疑問が大きく膨らんだのは、私が高校生になってからです。
そう思うようになった直接のキッカケは、私の弟です。
私が中3の時に進学塾に通い始めたのとほぼ同時期に、3歳下の弟(当時小6)も同じ塾に通い始めることになりました。
母親としては、「miwaは中1・2を田舎ののんびりした中学で過ごしていたから、それほど勉強に力を入れてなくても上位でいられたかもしれないけど、弟の方は中1から札幌市内の中学に通うのだから、miwaと同じ中3からでは間に合わないかもしれない(※)」
(※miwa注:当時の公立中学の評定は相対評価だったので、優秀な人が多いと内申点が相対的に低くなりやすい。また、高校入試のシステム上、中1からの内申点の積み上げが後々の高校入試に響いてくる事情もあった。)
あと、この進学塾は、兄弟で同時に在籍していると、下の方の学費が割引になるサービスがありました。
「進学塾にしては費用もそれほど高くないから、1年前倒しで小6から塾に通わせれば、中学に入る前に勉強習慣を身につけられるだろう。一石二鳥。」と思ったのかもしれない。
そんなわけで、小6から進学塾に通うことなった弟ですが、小6の時は特に問題なく、塾に通っていました。
進学塾といっても、首都圏の小学生が通ってるような中学受験塾ではないため、小6でやることといえば学校の授業の補習とか、中1の先取りをする程度のレベルでしたから、それほど大きな負担ではなかったからでしょう。
問題は中学校に入ってからですね。
弟は中学では運動部に入ったため、平日の週5日は夕方18時頃まで部活があり、土日もどちらかは部活。
(当時は第2土曜以外の土曜日は、午前中だけ授業があったはず)
そこにプラスして、週3で部活が終わったら塾へ駆け込む…という、慌ただしい生活になってしまった!
で、中学に入学してからの弟の成績はというと、偏差値50前後のところを行ったり来たりで伸び悩んでいるようでした。
私と弟、同じ進学塾に通っていたのに、塾に通っていた間の学力点の伸びが全く違っていたのは、ひとえに「学校と塾以外の場所(自宅)」での勉強量と、塾に入る前の基礎学力の差(躓いている箇所の有無)だったのだろう、と今では思います。
私は転校先の中学校では部活に入らなかったので、塾のある日の平日(週3回)は、学校から帰宅→学校の宿題と塾の予習→家で晩ごはんをたべてから塾へ行く→帰ってきたら軽く授業の復習をしてお風呂に入って寝る。
塾のない日の夕方(あるいは夜)は塾の宿題をする、といった感じで、学校と塾の両方の勉強を消化する余裕があったのです。
でも弟は、中1~中3の夏まで運動部に入っていたため、塾のある日(週3)の平日は、夕方6時近くまで部活→学校から塾へ直行→帰宅後に晩ごはんを食べるという生活。
たまの休日や、塾のない日の夜は、テレビを見るとか、ゲームをするか、友達と遊ぶという感じだったため、総じて自宅での勉強時間があまり取れていないように見受けられました。
また、小学校の時点で、特に算数に対して苦手意識を持っていたのか、つまづいたまま放置されている箇所もいくつかあるようでした。
結局のところ、部活で忙しく、知識の定着のために必要な「自習(復習)時間」を十分確保できていなかったこと。
小学校の時からの苦手な箇所を克服できないまま、知識を上積みしていたことが、弟の成績が伸び悩んだ理由だと思います。
弟に対しては「普段は部活もあって大変だとは思うけど、だったらせめて試験1週間前くらいはゲームを我慢して勉強すればいいのに(試験が終わってから遊べばいいじゃない)」とは思っていたけど、その点を割り引いて考えても、部活が終わった後に塾の授業を受けるのは、よっぽど体力があって、尚且つ要領よく勉強できる人、じゃない限り、両方の勉強を消化するのは相当大変だろうなぁとも思っていました。
もし私が弟と同じように、中1~2の時に運動系の部活を週5~6回ペースでこなしつつ、そのうえ週3で進学塾に通うとなったら、多分学校の授業も塾の授業も受けっぱなしで、どっちつかずになっていたかもしれない(通うだけでイッパイイッパイ、成績はそんなに変わらないだろう)と思うからです。
コメント
おはようございます。
miwaさんには、そのような経緯があったのですね。
記事を見ていますと、独学になるのも納得ですね。
特に、弟さんとの比較が如実に表れているように思えました。
(ちなみに、私は一人っ子で、学生時代は、父親の干渉から逃げ回っていました。)
最近、私自身が受験予定の資格試験は、講座自体が無いものが多くなっています。
そのため、必然的に独学になる傾向があります。
よって、私がなかなか合格しない国家資格や商工会議所等の
資格試験でない限り、独学に移行しつつあります。、
MTさん
弟の成績が思ったより伸び悩んでいるのを見ていると、「猫も杓子も塾に通う必要はないんじゃないか!?」という思いが余計に強くなりました。
私は何度となく「成績が伸びないなら塾なんてやめればいいじゃん」と言ったのだけど、母親は「でも塾を辞めたらもっと勉強しなくなる。ますます成績が下がるかもしれないじゃない。」と言って結局中学3年間塾を辞めさせなかったんですよね。
でも、学校と塾の二重の授業が、かえって基礎学力の定着を妨げていた可能性も考えるべきだったんじゃないかな!?と今では思います。
私は、英語の成績が悪かったので、中学2年の途中から中学3年終迄、個人でやっている英語塾に行きました。田舎なので大したことはやってないです。主に教科書の予習のような感じだったですね。言い訳になりますけど中学1年の時の英語の先生が新任の女性教師で、生徒になめられて何度か授業が潰れて、結局教科書は終わらずに、残りは自分で春休みに勉強ということになった。塾に行かずに自主的に勉強しない私は落ちこぼれてしまいました。
高校2年時に、所用で東京に行きお茶の水駅で降りて、明治大学の方に歩いて行くと、女子高生が予備校に入っていくのを見て、都会は違うと思いました。
べしさん
学校の授業が成立していなくて教科書すら終わらない。
そういう状況ならば、それはむしろ英語塾に通って正解でしょうね…。
ただ、私の中3の時の同級生や弟を見ていると、「みんなが皆、塾に通っている」という状況に違和感を感じていたんですよね。
べしさんのような理由ではなく「周りの人が通ってるから行くのが当たり前、行かないと落ちこぼれるんじゃないか」的な理由での塾通いはちょっと違うんじゃないか?と、中高生ながら薄々思っていました。