「カルト村の子守唄」(高田かや) 最初はユートピアだったはずの村が何故カルト化してしまったのか!?

これはカルト村で育った人の幼少期編ですね。
(小学校編・中高生編の感想はこちら)
「カルト村で生まれました」「さよなら、カルト村」親にとっての理想社会と子供の希望のすれ違い
宗教やカルトのネタはとかく揉め事の火種になりやすいので、blogネタにしない方がいいかなと思いつつ、でも「カルト村での思い出昔話」漫画としてはとても読み応えがあって面白かったので、2冊まとめて紹介したいと思います。

私がこの本で印象に残ったのは、例の体罰世話係がやってきた話と、作者のお母さんが村を入るにあたり、親戚一同から勘当された話です。

幼少期は特にこれといった制限事項もなくのびのびと生活していた学育に、途中から体罰をする例の怖い世話係の女がやってきて、制限事項が増えてだんだんと窮屈になっていく過程が怖いです。

テレビが視聴禁止になり、毎週末は一緒に親と過ごせていたのが1か月に1回、最終的に3か月に1回になる。
漫画やゲームが没収されて遊び道具がなくなる。
クリスマスなどの行事も行われなくなる。
何かあると体罰をふるって恐怖で支配する。
でも周りの大人たちからは、新しい世話係が来てからは、子供たちが見違えるように成長したと高評価をされている、このギャップ。

このくだりを読んで、「星の王子さま」の「いちばんたいせつなことは、目に見えない」という言葉が頭をよぎりました。
結局は「大人にとっての都合の良い子ども、村にとっての理想的な子どもしか認めたくないんじゃないの?」と穿った見方をしてしまいますね。

あと作者のお母さんが村に入ることになった経緯ですね。
教師になるため、国立の大学で教職課程をとり、卒業間近だったはずなのに、友人に誘われて村の特講を受けたことで村の理想に共感し、大学を中退して村に入る決心をします。
当然両親からは反対されるわけですけど、母親の頼みで教員採用試験を受けたら、殆ど白紙で答案を出した自分(教育界にコネあり)に合格通知が来て、優秀な友人(コネなし)が不合格になってしまう。
あこがれていた教育・教師の世界の現実に幻滅してしまい、結局は大学卒業を待たずに入村する決意をします。

入村にあたり、カルト村の人が親や親族の間に入ってくれたはいいけど、今でいう炎上商法的なやり方で、周りを巻き込んだ大騒動になってしまい、結局作者のお母さんは親族一同から縁を切られる形で入村することに。

これは、お母さんが可哀そうだと思う反面、でも縁を切った親族一同の対応が冷たいとも言えないと思いました。

親の立場にしてみれば、せっかく大学まで行かせてやったのに、卒業間近になって大学を辞めて、用意された教職への道も捨てて、得体のしれない怪しい村に入りたい(しかもその間に入った人の対応が炎上商法的なやり方だったら)と言われたら「これまで苦労して育ててきたのは一体何だったの…」と、可愛さ余って憎さ100倍になってしまいそうです。

一方で、親や親族から縁を切られてもいいから入村したい、そこまで強く思い詰めてしまっている人を無理やり引き止めることも難しいと思います。
純粋で頑固で真面目な人を説得する場合、引き留めようとすればするほど、余計に意固地になり、ますます思いを固めてしまうことが多いからです。

ところで、私がヤ○○シ会の存在を初めて知ったのは、この会が小学校を建てようとしたけど認可が下りなくて…というのを報道で見た時です。
確か90年代後半くらいだったかな?
その報道では、子どもが休みなく強制労働的に農作業をさせられているとか、世話係に体罰を振るわれるなど、児童虐待とおぼしき行為が報じられていました。
(その後、米本和宏氏の「カルトの子」「洗脳の楽園」も読みました)

なので、村に対しては、漠然と「閉鎖的で怪しい団体」のイメージがありましたし、一体どんな人が好き好んでこんな団体に入るのだろう?親は何を考えてこんな団体に子どもを入れるんだ?と不思議に思っていました。

だけど1970年代~80年代にかけては、村も小規模で、禁止事項もあまりなく、一般社会に遊びに行くことも可能で、おおらかに暮らしていたとのこと。

なるほど、このような平和な村だったら、高田かや氏の両親が大学生時代に、「みんな仲の良い、平和でのどかな農業共同体」である農業コミューンに興味を持って入村した経緯はわからなくもないです。
(自分は農村で他人と共同生活を送りたいとは思わないけど、このような生活に興味を惹かれる人も一定数いるだろうな、という意味で)

もともとのご両親の性格的・思想的なものもあったかもしれませんが、村のことを知ったタイミングや70年代の安保闘争後の空気感、その当時の村の様子、そういったものが合致した結果、入村に至ったのだろうと思いました。

それにしても、この本と、米本和宏氏の本を比較すると、ヤ○○シ会に対して抱く印象が全然違います。その村で生まれ育った本人(その環境が当たり前だと思っている)と、一般社会に住むジャーナリスト(村に対して懐疑的な見方をしている部分がある)とでは、見方が違うのは当たり前で、どちらも真実だと思います。

ただ、所々でトラウマが見え隠れするところをみると、村での生活による心の傷は決して小さくないのではないかと心配になりました。おままごとでぬいぐるみに布団をかけるとき、布団のかかり方を異様に気にするって…。

コメント

  1. りゅう より:

    カルト村は知りませんでしたが
    インパクトありそうですね。

    人って環境によるところは
    大きいですね(それが全てとは
    いいませんが)

    本日、公害防止管理者の
    合格発表があり無事
    水質2種合格していました(・∀・)

    よかった〜

    水質1種は5科目中5科目免除となります
    (・∀・)

    今までいっぱい試験受けましたが
    自分の中で全科目免除は初めてです。

    全科目免除専用の申請方法が
    あるらしいので(申請期間も短い)
    ミスなく申請できれば水質1種合格確定です。

    次回は大気6科目をやっつけて
    いきます(๑•̀ㅂ•́)و✧
    (実質5科目総論免除なので)

    • miwa@管理人 miwa@管理人 より:

      りゅうさん
      このカルト村は90年代に児童虐待とか脱税で問題になったところですからね。

      公害防止管理者、合格おめでとうございます。
      順調に資格の数が増えてますね〜〜。
      全科目免除で1個増えるとか美味しいじゃないですかw
      公害防止管理者は試験自体はそこそこ難しいですけど、科目免除制度はうまくできてるなぁと思います。

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