現在の日商簿記1級と2級の難易度をかんがみると、ざっくり見積もって「日商簿記2級合格までに費やした勉強時間の4~7倍」が必要だと思います。
1級はなぜそれだけの勉強時間が必要なのかというと…
・2・3級よりも理解が難しい問題が増える。
これはいうまでもないですね。
・2・3級よりも計算の手間がかかる問題が増える。
これもいうまでもないですね。
・テキスト・問題集の量が、2級の3倍に増える(6~8冊)。
3級は商業簿記が1冊、2級は商業簿記で1冊、工業簿記で1冊だったのが、1級では商業簿記・会計学で3~4冊、工業簿記・原価計算で3~4冊に増えます。
・1級の試験時間は(4科目あわせて)3時間もある。
2級と3級では、2時間で5問を解くのですが、1級は商業簿記&会計学、工業簿記&原価計算でそれぞれ90分、合計3時間の試験です。
2級よりも試験時間が1時間延びるということは、1回分の問題を解くために必要な時間も、単純計算で1時間増える、2級の1.5倍必要ということです。
また、2級よりも問題量と難易度がupすることから、1回分の過去問の解説を読んで理解する・自力で解けるようになるまで、また更に時間がかかります。
・本試験では、1~2割前後は新作問題or既出応用問題が出題される。
ここ最近の試験問題を見ると、1級の4科目(商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算)のうち、1~2科目が難しく、2~3科目が標準的な難易度になっていることが多いです。
※ここでいう「標準的な難易度」とは、過去問演習だけで20点~満点が確保できるレベルの問題を指す。
逆に「難しい」問題とは、既存の過去問の知識だけでは10点~14点くらいまでしか確保できない問題、という意味です。
1級は、4科目とも易しい(または標準)・4科目とも難しい、という回は滅多にありません。
自分が過去問題集を勉強してきた中で、「これ4科目とも難しくないか!?」と感じたのは、第147回と第114回の問題です。
(実際この回は、合格率が5%台と3%台という低合格率だった)
つまり30回に1回…10年に1回程度です。
たいていは、標準問題と難しい問題が組み合わされて出題されるのが普通です。
また147回・114回とは逆に、4科目とも標準レベル問題で組み合わされることもあります。
自分が過去問を勉強してきた中では、第149回と第126回がいわゆる「サービス回」だったと思います。(実際この回は、合格率が13%と、他の回よりも高めだった)
ただ、それはそれで、採点が辛めになる傾向にある(最後の方の問題までキッチリ正解できていないと得点が思ったほど伸びてこない)ので、これはこれで結構大変だったりします…。
・科目ごとに合格基準点が設定されている。
2級・3級は100点満点の70点が合格ラインだったのですが、1級は合計70点以上かつ各科目10点以上と、微妙に合格ラインが厳しくなっています。
上記にあるように、たいていは4科目中1~2科目が難しいのがデフォなので、新問・難問が出たとしても、最悪10点を切らないくらいには対応できるようにしておかないといけません。
また難しい問題で高得点を狙えない分、逆に標準問題が出たらそこで20点~25点を稼げる(難問での失点をカバーできる)だけのレベルに引き上げる勉強が必要になります。
以上の理由により、「1級は2級の4~5倍の勉強量が必要」というわけです。
管理人miwaの場合も、2017年~2018年にかけて、累積で約900時間くらい?勉強しました。
これは最初から2級の5~6倍勉強しよう、と思っていたわけではなく、「不合格がかさんだ結果、2級の約7倍の時間がかかってしまった」ともいえます。
ちなみに、2017年以前にも日商1級・全経上級の勉強をやっていた時期がありましたが、いかんせん時間がたちすぎていたため、2017年1月に勉強を再開した時点で、結局はほぼゼロから1級の勉強をやり直すハメになってしまいました_| ̄|○
ただ、仮に2級合格直後から半年~1年間、1級の勉強に専念したとしても、合格までにはトータル600~1000時間はかかった(=今回と同じくらいの時間がかかった)だろうと思います。
ただ、私が2級に合格したときと現在の2級を比べると、2019年現在の2級は連結会計や外貨換算、リース会計なども出題されるため、1ランク難しくなっています。
なので、直近の2級に合格した人であれば、「現在の2級の4~5倍の勉強が必要」だと思います。
また、私のように、試験範囲が改訂される前の2級に合格した人であれば、連結会計やリース会計などをほぼゼロから勉強しなければいけないため、「旧2級の6~7倍の勉強」が必要だと思います。
ちなみに、日商簿記1級の過去問題集を、どの回の問題もほぼ満点が取れるレベルになるまでやりこむには、概ね200~400時間かかります。
1回分の問題にかかる時間は、1周目は約5時間。
1級は商業簿記・会計学が90分、工業簿記・原価計算が90分ですが、最初の頃は殆ど解けないので、解答・解説を見ながらの写経となりますので、1回あたりだいたい4時間かかると想定。
そこから更に解説を読み込む時間を考慮すると、1回分の過去問学習にかかる時間は約5時間くらいが必要となるでしょう。
2周目もまだちょっとよくわからない所が多いと思うので、5時間くらいかかると想定。
3周目・4周目になると、50~80%くらいは自力で解けるようになっていると思いますので、問題を解く時間は1回あたり2~3時間くらいまでに短縮されると思います。そこから解説を読む時間が30分くらいでしょうか。
5周目・6周目にもなれば、80~95%は解けるようになっているので、解ける問題は解説を読んで復習し、解けない問題だけをピックアップして集中して解くことになると思います。
そうなれば、1回あたり約1時間~2時間くらいで消化することができます。
よって、過去問1冊を95%マスターするのにかかる時間は、
14×5時間+14×5時間+14×3.5時間+14×3.5時間+14×2時間+14×2時間=294時間(約300時間) となります。
また、最新版の過去問以外にも、更に古い過去問題集であったり、自分的に苦手な問題・よく間違える問題をピックアップして復習する、理論や仕訳を暗記する時間なども必要です。
そうなると、300時間から更に数十時間~100時間単位の独学時間が加算されていくわけです。
結局のところ何が言いたいのかといいますと、日商簿記1級はたかだか1か月・2か月の短期間でどうにかしようと思ってはいけないし、中途半端な勉強のままでは何回受験しようが受かる日は永遠にやってこないということです。
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他でもない、2010年から2012年にかけて1級を受験していたときの自分のことですねわかりますwww
2017年に改めて勉強を再開したとき、「本当にあの中途半端に費やした時間は、完全に死に金・無駄時間になってしまった。。。_| ̄|○自分のバカ!」とものすごく後悔したものです。
問題の難易度を鑑みても、2010年か2012年には受かっておくべきだった!
あと2018年6月試験もそうですね。
「サービス回」で合格を掴みそこねたために、2017年~2018年にかけて、苦労が3倍返しで跳ね返ってきてしまった!という感じがします。
というわけで、本当に日商簿記1級に合格したいと思うのなら、1回目の受験時点で合格点が取れるだけの勉強を積み重ねていただきたいです。
特に社会人で忙しい人こそ、一発合格を目指すつもりで勉強をしていただきたい。
本当に”中途半端”はダメです。ダメ、ゼッタイ。

参考:テキスト・問題集・スクール講座へのリンク
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コメント
漢検1級と準1級の開きよりはマシなんですね(苦笑)
>名も無き資格への挑戦者さん
日商簿記1級は大型書店で売っている教材をやれば受かりますが、漢検1級はそれだけじゃ受からないので。。。_| ̄|○