日商簿記1級の勉強法について、過去問の話ばっかりしていますが、過去問以外にも、テキスト・テキストに準拠した練習用問題集も使っていました。
ただ、ぶっちゃけ言っちゃうと、合格点が取れた時点でも、全ての論点を隅から隅までキッチリ勉強する、全問解けるようになるまで繰り返す…というところまではやれていません。
もちろん、やれるんだったら問題集もキッチリやった方がいいに決まっていますが、社会人受験生の場合は、現実問題そこまで手が回らない人が大半だと思いますし、時間がなければ「最新版の過去問のマスター」を最優先に勉強したほうがよいと思います。
運がよければ、過去問に絞った学習でも、ぎりぎり70点ちょいで合格点が取れる可能性はあるからです。
じゃあテキストや練習用の問題集は必要ないんじゃないの?と思われるかもしれませんが、テキストと問題集の使いどころは要所要所できちんとあります。
まず、学習の超初期段階。
最初は、「日商簿記1級ってどういうことを勉強するんかな?」という予備知識をつけるためにも、テキストをサラッと一通り読んでみてください。
この段階では、「どういう言葉が出てくるのかな?」「なるほど、こんなことを勉強するんだな」というのをチェックする程度でいいです。
1日1冊ずつくらいのペースで、サラッと読んでいく。
この段階では、敢えて深入りをしないことが挫折しないコツです。
おぼろげながらでも概要がつかめたら、テキストに準拠した練習用問題集を開いて、問題を解いていきます。
(※miwa注:ネットスクール版のテキストにも例題は載っていたが、解説が端折られているところが結構あったため、テキスト準拠版の問題集を買いました。ネットスクールにしろTACにしろ、練習用の問題集のほうが使いやすいはず。)
とはいっても、多分大半の問題が解けないと思うので、結果的に計算過程と答えの「写経」になってしまうと思います。
でもそれはそれで構いません。
初期段階では「こういう手順で計算していけばいいんだな」「この分野の問題がよく出ているな」といったことが感覚的に掴めたらいいのです。
前述の「テキストのサラ読み」と、「練習用問題集の写経」の期間をあわせると、だいたい1~2か月くらいかかると思います。
私はこのブログでは「資格試験はまずは過去問から取り組むべし!」とよく言っていますが、日商簿記1級に関していえば、過去問学習に本格的に取り組む前に、テキストと練習用問題集でもって、ある程度予備知識をつけておくことが大事だと思っています。
※なおこれは2級・3級も同じです。
何故わざわざテキストと問題集を経由させる必要があるのかというと、日商簿記1級の過去問は、2級合格レベル(1級初学者)にとって、1級の本試験問題は、初見ではあまりにも「難しすぎて意味不明」だからです。
直近の2級の試験に合格したばかりの人だったら、2級でも連結会計やリース会計、外貨換算会計などを勉強するので、意味不明とまでは感じないかもしれません。
だけど私のように、平成22年に簿記2級に合格した人(つまり試験範囲が変更される前~平成27年以前に2級に合格した人)にとっては、2級と1級の難易度差がものすごく大きく感じると思います。
1級について、何の勉強もしていない状態で1級本試験の問題に触れても、多分ほとんど解けないでしょうし、そもそも問題文の意味すら掴めなかったりします。
その状態で過去問の問題・答え・解説を読んでみても、どうしてそういう計算をしなくてはいけないのか?この数字は一体どこから持ってきたのか?が納得できず、スムーズにページが進められなくて嫌気がさします。
そして、だんだんやる気もなくなってしまいます。
これは自分の経験則ですが、わからない問題の量が1~2割程度の時が、やる気と集中力がMAXで発揮できるとも思います。
逆に、わからない問題の量が半分を超えると、やる気と集中力は急速に低下してしまいます。
自分のレベルに対してあまりにも難しい問題を目にすると、やる気がなくなり、集中力も低下します。
「できない・わからない問題」が多すぎると、勉強のモチベーションがますます下がってしまう。
「めんどうくさいな、やりたくないな」っていうネガティブな気持ちが先に来てしまうのか、どうしても勉強に取り掛かるのがおっくうになるんですね。
(特に独学者の場合!)
勿論、1級の問題集は6冊あるので、これを全部一通り解く(写経)するのは結構時間がかかりますし、これはこれでかなり面倒くさかったりします(苦笑)
でも、問題集の基本的な問題を固めていけば、ちょっとずつですけど、わかる問題がふえます。
練習問題を一通り解いた(写経した)後であれば、本試験の問題を自力で解くところには至らないかもしれないけど、解説に書いてあることの7~8割くらいは理解できるようになりますので、スムーズに過去問学習が進められるようになります。
もちろん、「本試験ではどういう形式の問題が出るのか?」、学習の初期段階でも、過去問題集は一通り確認する時間は作ったほうがいいです。過去問題集をはじめて開いたのは試験の直前期、ではさすがに遅すぎますし、リカバリーがきかなくなります(苦笑)
ただ、何の知識もない状態でいきなり過去問学習をスタートするのではなく、一度テキストと問題集で慣らしておいてから、本格的に過去問学習に取り組むのがよい、ということです。
…というのも他の資格試験では、「過去問から始める」的な勉強をお勧めしていますが、2017年6月試験の時、いつもの資格試験と同じ感覚で、「いきなり過去問」から取り組んだら、大失敗したんです_| ̄|○
あの時は、勉強が思うように進められなくて、(やらなきゃいけないのはわかっていたけど)でも勉強をしたいという前向きな気持ちが持てず、イヤイヤ問題集と向き合っていたので、ストレスが溜まりすぎて正直気が狂いそうになりました。
でも2017年11月試験の時、「思っていたよりも基礎知識が結構抜けていたから、練習用の問題集で基本を復習したほうがいいな」と思ったので、過去問学習をいったんストップして、練習用の問題集を一通り解いてみたのです(半分写経状態だったけど)。
そうしたら、2017年6月試験の時に、過去問題集の解説を読んでもイマイチ理解できなかった箇所・引っ掛かっていた箇所が、スッと理解できるようになったんですね。
解ける問題・理解できる論点が増えてからは、6月に比べると勉強の集中力持続時間も自然と改善されるようになりました。
だからこそ「これは急がば回れで、最初に練習用の問題集を一度通してから過去問題集をやっておけばよかったな~」と思ったのでした。
もちろん、いきなり過去問に取り組める(我慢できる)人は過去問からやっても全然かまわないんですけど、それじゃ苦痛すぎて勉強が進まん!という人は、一旦テキストと問題集を経由させてから過去問をやったほうがいい、ってことです。
参考:テキスト・問題集・スクール講座へのリンク
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コメント
miwa様
勉強時間を短くしてパターン解析するなら過去問ですよねー。
ただし、過去になかなか出てこない論点対策で満点狙ったり、全経簿記1級あたりを狙うなら、標準問題集(簿記講義等)をマスターすると遠回りになりますけど、サクサク試験熟せるモードが実感できますよね(全経1級は時間ギリギリすぎて落ちそうでしたが…)
話題は変わり先日の日商簿記2級の出題者の想いが強すぎる問題についてですが、先日受けていたら私なら落ちてました(2018年11月に1*年ぶり2度目の合格済みです)
評判のクォリティ炸裂で期首期末が、急に謎の慣例(笑)
今週の知財1級、数年ぶりに「電源を切って机の上に出したままにしてください!」を味わってきますwww
>えぞりすさん
ぶっちゃけ「いきなり過去問」でもいいとは思うんですよ。
でも1級でそれをやると、あまりにも負荷が大きすぎて嫌になるリスクが大きいので、問題集を経由させてからやるのが無難(無理がない)…ということです。
先日の簿記2級の連結問題、私も見ました。1級であの問題が出題されたら、「あーなるほど今回は連結かぁ」くらいにしか思わないですが、2級であれはキツいですね。
電源を切って机の上に出したままwwwそういえばそうだ。知財の試験ってそうでしたね!