ざっと簡単にですが、書稿作成〜彫り〜色塗り〜金箔はり〜額入れまでの過程を記録に残しておきたいと思います。
書稿作成
イメージは篆書か金文、甲骨あたりだったのだけど、書体字典をみても…なんかどれもイマイチしっくりこない。
とりあえず「篆書体や金文など、こんな感じでお願いします」と依頼したところ、こんなお手本がやってきました!なるほど!こう来たか~。
左が手本、右が私の作成した書稿
籠字をとった直後↓
籠字をとったら、紙を板に貼り付けます。
板の上に増粘剤を垂らして、指で伸ばす。
紙が薄いので、破れないように、ハケでやさし~~~く伸ばしてやります。
これは紙を貼った直後。約1〜2時間くらいで増粘剤が乾きます。
今回は、漢字は凸で彫りますので、まずは漢字の外側2~3ミリを浅く彫ります。
背景を浅く彫る
更に深くノミを入れて彫り進めていきます↓
今回は背景を二段にしてます(当初は上と下で背景色を変えるつもりでいたので)
背景を彫り終わったら、漢字部分(金箔を載せる予定のところ)に朱墨を塗ります。
落款部分、実はここ、1回目ちょっと失敗しちゃって、平ノミで削ってもう一度彫りなおしてますw
これだけ小さいサイズだと、デザインナイフでV字型に刃を入れて削らないと、細かい箇所がボロボロ崩れちゃうんですね…。
というか落款に限らず、細かいカスレの処理も、ノミじゃなくてデザインナイフで削る方が綺麗にできるかもしれない。
(次、毎日展用の作品を作る時はそれでやってみようと思う)
背景はホワイトにしました。
今回は白を背景に塗りたいと先生に言ったところ、「白を塗るなら、下地に濃いめの色を塗ってから重ね塗りした方が良い」とアドバイスを受けました。
ウッドプライマーの代わりですね。
また、「赤系統の色、青系統の色など、下地の色によっても、微妙に見栄えが変わってくるので、かまぼこ板か何かに試し塗りをしてから塗ってね」と。
以前使ったイチゴ色の絵の具が少し残ってたので、下はイチゴ色と黄丹色(旦那が昨年使ったやつの残り)を混ぜたもの、上は紺色を下地にしました。そうすれば、同じ白でも光の加減で、青みがかかった白と、薄いピンク系の白になるだろう…と。
最初はパールホワイトを背景の全面に塗ろうと思ったのだけど、実際にパールホワイトを塗ってみると、なんかくすんだ感じがするというか、木のヤニと混じっているように見えて、あまり綺麗じゃなかったんですよね…。
なので結局はホワイトをもう一度上塗りして、段差の部分のところにだけパールホワイトを入れることにしました(せっかくパールホワイトの絵の具を買ったから、どこかに取り入れたかった…)
今回はパールホワイトがあまりうまく活用できなかったので、また何か別の作品に利用してみたいものである。
金箔貼り
サンドペーパーで漢字部分(金箔を載せる予定の箇所)にヤスリ掛けをします。
すると、漢字の上に載せた朱墨の粉?みたいなものが、白背景に落ちてしまって、背景が汚れてしまう_| ̄|○
そっか~~~。白にはこういう難しさがあるのか…。
これはまた最後、箔貼りが終わった後に改めて色塗りをしなくてはいけませんね。
カシュー(合成漆)を塗って、金箔を載せます。
今回は漢字もただ金箔を貼るだけでは面白くないので、ちょっとした変化というか、アクセントをつけたいと思いました。
かといって全てプラチナにすると、値段が高い(金箔の倍の値段)割にはパッと見の印象が地味になるので、部首の鹵(しお)の点の4か所だけプラチナ箔を貼ることにしました。
金箔を載せたら、カシューが乾くのを待つ(2~3日)
金箔を載せた直後(やすりがけ後の朱墨が舞って、背景が汚くなっている)↓
カシューが乾いたら、絵筆を使って余計な金箔・プラチナ箔を落としてやります。
また、白アクリル絵の具で、汚れた箇所をもう一度上塗りしました。ホント白は扱いが難しいですな。
そしてホワイトを何回も厚塗りをしたので、下地に塗ったはずのイチゴ色と紺色の痕跡が全くなくなってしまったのはご愛敬w
額入れ
今回はキョー和でアルミの額を買いました。
これまでは額はただ単に作品(板)を入れるための器としか考えていなかったのですが、今回は額(マットの色)が「夜空」で、板が「塩(と光)」、二つ合わせて「暗い世の中を照らす光」を表現してみました。
…とはいっても、マットの紺色が見える部分はそんなに大きくないんですけどねw
額の後ろに吊カンを取り付けて、出品券を貼ったら完成です!!
これまでは教室から一括して作品を送ってもらっていましたが、今年は宝研堂(浅草)に直接搬入しに行きました。
日刻展も今回で5回目の出品。さすがに5回目ともなると、彫りのコツみたいなものが少しずつわかるようになってきました…が、まだまだ細部の処理が綺麗じゃないですね…。
次は毎日書道展に向けての作品制作が始まります。
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