玄海全国書道展に刻字作品を出品しました!(後編:色塗り・箔貼)

前編からの続き。色ぬり・箔貼り編です。

色塗り

凸彫りの方は、漢字の上の紙を水を塗って剥がします。
なお、凹彫りの背景の和紙はまだ剥がしません。
この和紙がマスキングの役割も兼ねているので、色を塗り終わってから剥がします。

箔を貼る予定のところに朱墨を入れる。
(削り残しがないかどうかを確認する意味もあります。

凸の漢字には金箔を、凹の背景にはプラチナ箔を貼る(予定)。

ここまでは迷わずに決まったものの、凸の背景と、凹の漢字を何色にしようかでちょっと迷いました。

今回はせっかく4枚の板を組み合わせた作品なので、4色を使いたい。
でも色の組み合わせ次第では、下手にゴチャゴチャした印象を与えるだけになってしまうリスクもある。

そこで、こちらのサイトの配色パターンを参考にしました。

選んだのは、ナイトブルー(右上)/白(左上)/パーマネントスカーレット(右下)/ピーコックブルー(左下)の4色です。
(絵の具はターナーのアクリルガッシュ使用)

青系(黒)背景+金箔漢字に対して、赤系統の色を組み合わせると、赤がアクセントになって、青系の色も映えるだろうと考えました。
それに、「禍福」で正反対の意味の言葉なので、彫り(凹凸)の違いだけじゃなくて、違う系統の色を使ったほうが効果的だと思ったんです。

青系(ナイトブルーとピーコックブルー)と赤(パーマネントスカーレット)はすんなり決まったけど、残りの1枚は何色にするかで少し迷いました。

正確にいうと、何色がいいのか迷ったというよりも、白を使うつもりでいたけど白を使ってもいいものか躊躇していたんですよね。

一昨年前の毎日書道展で、私の先生の刻字作品を見た時、自分も凹彫りをする機会があれば白を使ってみたいと思っていました。

ただ、「綺麗な白」を出すのが結構難しいんですよね。
難しいというか、他の色と同じ感覚で、そのまま塗ると絶対失敗しちゃうやつ。

実際、この間観に行った毎日書道展でも、白く塗られた部分がひび割れていたり、木の色と混ざってしまったのか、白が黄ばんでいる作品がいくつかありました。
だから、白は他の色よりも扱いが難しそう…安易に使うのはやめたほうがいいのかも?と思っていたわけです。

そこで先生に、「白が綺麗な作品と、そうでない作品は何が違うのか?」を聞いてみました。

白の絵具をそのまま塗ると、木の色が染みて黄ばんでしまう(汚くなる)ので、塗る前に「目止め」をする必要があるとのこと。
だから白を使いたいなら、一度下処理をしてから絵の具を塗ってね、と。

そこで登場したのは…チャラララッ(ドラえもん)♪ ウッドプライマー~~!

白の絵具を載せる予定のところに、このウッドプライマーを塗って1日乾かします。
(1日待てなかったので、ドライヤーで急いで乾かしましたが)

それから白色を塗って乾かします。

白絵具が乾いたらもう一度重ね塗りをします…。
ちなみに、トールペイントでもこれと同じような下処理をするんだそうです。
なるほど〜。

箔貼り

凸の漢字には金箔を、凹の背景にはプラチナ箔を貼ります。

箔を貼る前に、ヤスリで表面を綺麗にしておきます。
これをやっておかないと、綺麗に箔が乗らないんですよね。

ヤスリにしろ何にしろ、一手間かけて下処理をしないと綺麗な作品が出来上がらないのがよくわかります。

特に、上のお偉い先生の作品と私のような素人の作品の違いは、細部の処理の綺麗さなのです。
神は細部に宿る」というのは本当です。

箔を載せるところに、カシューをのせて、指で伸ばす。
結構うす~~く伸ばします。

指で触って、板が指にくっついて浮くくらいの粘り気が出たら、箔を乗せていきます…。

金箔を乗せ終わったところ。

次は凹彫りの方ですね。

まずは和紙を剥がします。
水を含ませた布でこすると、ボロボロと簡単に剥がれます。

和紙が、色塗りではみ出ないようにするためのマスキングの役割を果たしていたのですが、それでもところどころ絵の具の赤が木に染みているのがわかりますね_| ̄|○
でもまぁ元々箔を貼る予定だったから(震え声)

表面をヤスリで綺麗にしたら、プラチナ箔を乗せます。

ちなみにプラチナ箔のお値段は約7センチ四方で1枚580円(!)
これを約3枚(2枚半)使用しました…。
背景に箔を貼るのって、思っていたよりも箔を消費するんですね(笑)

「糾」(白絵の具を塗ってるやつね)も、最初はプラチナ箔を貼る予定でした。
でも、「福」の板にくらべると、絵の具が木にあまり染み込んでおらず、木目も綺麗に出ていました。
赤と白の滲み具合の差は、プライマーで下処理をしたorしていないの差なんだろうか…。

あと、4枚の板を並べてみると、箔を貼らなくても4枚の板の色彩がいい感じに調和していたので「これなら(糾の板には)箔をはらない方がかえっていいんじゃない?」ってことで、私・先生・旦那の意見が一致し、箔は貼らないことにしました。
プラチナ箔はけっこう値段がバカにならないので、結果的には白が綺麗に塗れていてよかったですw

箔を貼らないかわりに、カシューと薄め液をまぜたものを布に含ませ、板を拭いて木目を綺麗に見せてやります。

箔落とし・額入れ

金箔・プラチナ箔を貼ってから約2〜3日で乾くので、それから箔を落とします。

一部箔がうまく貼れてないところや、色が汚れているところがあったので、絵の具で微修正。

ただ、プラチナ箔のところは何もしない方がよかったかもしれん。
写真だと気にならないけど、近くでジーっと見ると、「ここ絵の具で修正したでしょ?」的な色ムラがバレバレであるw

額に入れて、後ろからネジで留めたら完成です!ヾ(o´∀`o)ノワァーィ♪

4枚の板をバランスよく配置する・縦横のラインを揃えるのも結構神経を使います(笑)
ずれないように注意しながらネジで止めます。

今回の自分的なメインテーマ(課題)は、凹彫りと「掠れ」の表現(再現)だったのですが、掠れの部分の表現は思っていた以上に大変でした。。。_| ̄|○
でもこのような細かい表現ができるかどうか、筆の掠れの線をどれだけ木の上でも再現できるかで、腕前がわかるのかもしれません。

※この作品は9/24(火)~9/28(土・14:00)まで、北千住マルイのシアター1010のギャラリーにて展示される予定です。
(条幅も出品してます)

コメント

タイトルとURLをコピーしました