1/20(土)~1/26(金)まで、上野の東京都美術館にて、「第37回日本刻字展(日刻展)」が開催されます。
その今回の日刻展に、拙作を出品しました。
私が出品した作品・処女作はコレです↓
ところで、何でまた公募展に出展することになったのか?
それは、昨年8月頃の話。
私が通っている書道教室の先生は刻字が専門なのですが、「来年の1月に日本刻字展があるんですけど、miwaさんも作品を出してみませんか?」とさそわれて、「やります」と二つ返事でホイホイとお誘いに乗っかったからです。
ただ、この時点ではまだ刻字は習っていなかったので、書道(週1回)と並行して、「刻字」も月1~2回習うことになったのでした。
ですから、「刻字を習っているんだし、せっかくだから公募展に出展してみましょう」ではなく、「日刻展に作品を出展するために(後付けで)刻字も習うことになった」というのが正しいんですね。
それじゃいつもの「とりあえず資格試験に出願しちゃおう→出願後に過去問をかってきて勉強をはじめる」のと同じじゃねーか!というヤボなツッコミはしないことwww
というわけで、もしお時間のある方は、よろしければ東京都美術館まで足を運んでいただけると大変ウレシイです。
なお、観覧料金は無料です。写真撮影も可能です(多分)。
ちなみにmiwaのこの作品は「一般公募部門」エリアのどこかにある…はず。
興味があったら、さがしてみてください。
さて、そんな刻字作品の製作過程をダイジェストでupします。
昨年5月の刻字体験では、石膏ボードで作品を作ったのですが、今回は木(桂)で作品を作ったので、石膏とは製作過程が異なるところが結構あります。

1週目~書稿作成・籠字とり
今回私が選んだ字句は、「六韜三略(りくとうさんりゃく)」です。
これは、中国の兵法書(「六韜」「三略」)のことで、そこから転じて「極意、奥の手、虎の巻」という意味の四字熟語です。
ところで、同じお教室の生徒さんと旦那からは「これ…なんて読むんですか?」と聞かれました。
一発で読めた人が誰もいない(爆)
何で誰も一発で読めないようなマニアックな四字熟語をチョイスしたのかというと、有名な言葉を選ぶと、他の人と字句がかぶってしまいそう→どうみても自分の方が(書道も彫りの技術も)あきらかに劣っているのがバレバレだと思ったからです。
なので、「大多数の人はまず選ばなさそうなマニアックな言葉」…漢検1級対策の時にまとめた1級四字熟語リストを見ながら、それなりに意味のありそうな言葉(転じて別の意味になっている言葉)をえらんだのでした。
理由がセコすぎるwww
彫りたい字句がきまったら、先生にお手本を書いていただき、それを元に練習します(4つのうち1番右のがお手本です)。
※大きさは半紙の1/2くらいのサイズです。
今回は、書体は隷書体で、というのはすぐに決まりましたが、最初はサムホール横サイズ用のお手本を書いてもらったものの、六と三、韜と略の字、上下のバランスがよくなかったことから、縦長4文字バージョンに変更しました。
隷書体と楷書体・行書体では、筆法が異なる点がいくつかあるため、最初はなかなかうまく書けず苦戦…。
隷書を書くコツ!
・起筆は逆筆ではいる。
・ハライはまっすぐではなく、上にぬく。
・波法は字の中で一度だけ。
それでも、昨年5月の刻字体験の時(*この時はまだ書道を習っていませんでした)にくらべると、普段書いていない隷書体とはいえ、数回書いているうちにそれなりにいいものが書けるようになりました。
書稿ができたら、籠字(かごじ)をとります。
半紙のうえに和紙をのせて、細字用の筆と墨汁で、上からなぞります。
単に字の外枠をなぞっていくのではなく、線が連続するようになぞるのがコツだそうです。
また、曲線部分は、曲線ではなく、直線の連続になるようになぞります。
籠字をとった和紙を板にのせます。
透明なゲル状の物体(乾くとパリパリはがせる)を板にぬり、その上に和紙をのせて、ハケでぬっていきます。
最初は透明なんだけど、乾くにつれて、表面がだんだん白くなってきます。完全に白になるまでしばし休憩w
なお、彫っている最中に紙が剥がれた場合は、アラビックヤマトなどで貼りなおすんだそうですw
2週目 捨て鑿・荒彫り
和紙がかわいたら、彫りの作業に入ります。
今回は凸彫りなので(漢字の方を残して、背景を彫る)、まずは字と枠の外側を約1~2ミリほど残して捨て鑿(のみ)を入れます。
広いところは大きめの鑿で、細かいところは小さい鑿と、刃を使い分けます。
捨て鑿を入れ終わったら、背景部分を彫っていきます。捨て鑿の線に対して、鑿の刃が垂直に当たるように彫ります。
ある程度力を入れて彫らないといけないので、石膏のように細部がボロボロとくずれてしまうことは少ないのですが、場所によっては、鑿が深く入りすぎてしまい、余分に彫りすぎてしまうことはあります。
石膏ボードは細部がボロボロに崩れやすいデメリットはあるものの、どの方向から刃を入れても均等に彫れます。
また、彫刻刀で彫れるので、それほど大きな力も必要ではありません。
それに対し、木を彫る場合は、木目に沿ってるところ(この木の場合は縦方向)は刃が深く入りやすいし、そうじゃないところ(横方向)は力をいれて金槌を複数回叩かないと、なかなか深く入らない。
また、鐫の刃が細ければ細いほど、深く入りやすい。
そんなわけで、木目の方向と刃の太さに応じて、金槌で鑿をたたく強さと回数を加減してやる必要があります。
最初はその力加減がよくわからない(鑿を扱うのが怖くて強く叩けない)けど、何回もカンカンカンカンと金槌で叩いていくうちに、どのくらいの強さで叩けばどのくらい刃が入るのか、感覚がつかめるようになります。
慣れてくると、鑿を叩くのは結構スカッとしますw
細かいところは、線だけ彫っておきます。
この日の作業は、とりあえずここまで。
3週目〜4週目(本彫り)
粗彫りから、更にもう一段階深く彫ります。
実線のところに、深く刃を入れます。
刃の広い鑿を浸かって、ガッと深く彫る。
本彫りは思い切りと細かさが大事!
細かい所は、勢い余って木片が飛んでしまいやすいので、あらかじめ刃を入れておく。
万一彫りすぎて木片を飛ばしてしまった場合は、速やかに木工ボンドで補修するそうです。
今回は凸彫り(背景を彫って漢字を残す)のため、彫る場所が広く、彫るだけでも結構な時間がかかりました…。
とくに「韜」!
細い鑿で少しずつ彫らないといけないので、ものすごく神経を使います…。
それでも途中、木がピキッ!と浮いてしまい(飛ばす寸前!)、カナーリ冷や汗をかきました。
↓ココ…ちょっとズレている(浮いている)のがわかりますかね??
あー危なかった!
そして今度は…「略」の斜めの線を彫っているときについにやっちまったよ!!
木、飛んじゃったよ…orz
あーあーあーあーあーあー!
勿論、すぐに木工ボンドで補修をしましたよ!
そんなわけで、斜めの線を彫るのはすごく神経を使う(汗)
うーん…今回は4文字と欲張らず、1文字の漢字か2文字の熟語にしときゃよかったかな~という後悔がわいてくる…。
鑿と木槌を連続して叩いていると、右腕と右手首に疲労がたまってくるので、疲労や集中力の持続を考慮すると、休憩を入れたとしても1日3時間が限度です。
下手に焦って作業したり、長時間やりすぎると、逆に失敗や怪我にもつながりかねないので、慎重にコツコツと丁寧に彫っていくしかありません。
第5週 本彫りの続き
あとは、漢字の周囲とその外側をもう少し深く彫るのと、細部のささくれだっている部分の処理、雅印が残っています。
細かい箇所は、刃の薄い平刀を使って、彫刻刀で彫るのと同じような感じで処理します。
細部のささくれ立っている箇所などは、鑿でちょいちょいと処理。
雅印はカッターナイフで切り込みを入れてます。
これで本彫りは終了!
それにしても、カンカンカンカンカンカンカンカン!と響きわたる金槌の音。
大中小の鑿に金槌。
床に散らばる無数の木屑。
ここは大工の作業場ですか?いいえ書道教室ですけど何か?
とても書道教室らしからぬ光景であるwww
続きはまた明日upします。
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