銀行業務検定財務2・3級 出題傾向と勉強法

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結果発表からちょっと時間が経ってしまいましたが、銀行業務検定 財務2級・3級について、出題傾向や勉強法をまとめました。
第127回以降(2014年3月以降)受験される方、もしよろしければ参考にしてみてください。

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3級の出題傾向

財務諸表問題が30問、財務分析問題が20問出題されます。

財務諸表…計算問題と会計学理論の5肢択一問題が半分ずつくらい。
計算問題でよく出るのは、商品在庫(移動平均法・総平均法・先入先出法)・期末棚卸資産額・利益額(売上総利益・営業利益・経常利益)・減価償却費(定率法)・保険差損益・為替差損益・減損損失といったところです。

財務分析…計算問題と択一式の知識問題が出ます。
収益性分析・安全性分析・生産性分析・損益分岐点分析・キャッシュフロー計算書等、計算問題の方が多いです。

過去問題から外れた問題は少なく、難問・奇問も少ないです。
ある程度簿記の基礎知識がわかっている人(日商簿記2級レベル所持者)が、財務3級問題解説集に載っている問題を完璧にとけるようになれれば8割は得点はできるでしょう。
1~2割は過去問題では見たことがない論点が出ますので、満点(≒個人賞)を狙うなら財務3級 受験対策シリーズの例題も解けるようにしたほうがいいです。

注意点…勘定科目の分類を覚えること。

流動資産・固定資産(有形・無形・投資その他)・繰延資産
流動負債・固定負債
純資産(株主資本・評価換算差額等・新株予約権)
費用(販売費及び一般管理費、営業外費用、特別損失)
収益(営業外収益、特別利益)

勘定科目がどの項目に分類されるのかをキッチリ覚えましょう。
特に、流動と固定の分類は要注意です(正常営業循環基準と1年基準)。

財務諸表では「営業外費用に該当しないものはなにか」「無形固定資産の金額はいくらか」「投資その他の資産の金額はいくらか」「勘定科目と分類の組合せで誤っているものを選べ」「経常利益を計算しなさい」といった問題が数問出るので、勘定科目の分類がわかっていないと得点できません。

また、財務分析においても、どれが流動資産でどれが流動負債なのか、勘定科目の分類がわかっていないと正しい分析できません(流動比率や当座比率など)。

2級の出題傾向

財務諸表問題(問1~5)財務分析問題(問6~10)が半分ずつ出題されます。

財務諸表

財務諸表(貸借対照表・損益計算書・連結財務諸表)作成問題が毎回出ます。
それぞれで大問1つずつ計3問出題されます。
数回に1回は製造原価報告書作成問題が代わって出題されることもあります。

財務諸表問題については、「表作成のみ」と「仕訳問題+表作成」の2パターンがありますが、どちらのパターンであっても、修正仕訳・決算整理仕訳ができるかどうか、勘定科目の分類を理解できているかどうか、ポイントになります。

貸借対照表の場合は、資産(流動資産・固定資産・繰延資産)、負債(流動負債・固定負債)、純資産の勘定科目分類をキッチリ理解していなければなりません。
資産と負債を間違えることはあまりないと思うのですが、固定資産(無形固定資産)と繰延資産を間違えたり、1年基準(ワンイヤールール)または正常営業循環基準の適用により、固定⇒流動に振り替えるのを忘れたりするミスに注意が必要です。

損益計算書作成については、費用・収益の勘定科目がどれに分類されるのか(売上原価・販売費及び一般管理費・営業外費用・営業外収益・特別損失・特別収益)を覚えていないと、売上総利益・営業利益・経常利益・税引前当期純利益を正しく計算することができません(そこが出題のキモなのでしょうけど…。)

連結財務諸表についても、まず最初の連結仕訳(投資と資本の相殺消去、債権債務の相殺消去、内部取引の相殺消去、未実現利益の消去など)が大事です。
連結仕訳、とりわけ最初の「投資と資本の相殺消去」をミスると芋づる式に大量失点につながるので要注意です。

残りの大問2つは、資産除去債務・退職給付会計・リース会計・有価証券の評価・減損会計・税効果会計・配当金などの個別の計算問題・仕訳問題・論述問題が出題されます。

正直言うと、これらの個別論点問題については大抵平均点が低いです。
特に問4は毎回平均点が1点を割る事が多いです。恐ろしい!

正直言うと、日商簿記1級・全経簿記上級・税理士等を持っている人以外は、問4はあまり得点を期待できるところじゃありません。
部分点や仕訳・穴埋めなんかで2~3点とれていれば上出来、でもいいんじゃないかな。
時間に余裕のある人は財務2級 受験対策シリーズに載っている基本問題・応用問題を一通り解けるようにしておくといいでしょう。
問4対策よりも、まずは財務諸表・損益計算書・連結会計問題を解けるようにしたほうがいいです。

財務分析

財務分析の問題は、日商簿記1・2級と全経簿記上級でせいぜいCVP分析が出るくらいなので、簿記検定受験生にとっては不慣れな問題が多いです。
簿記検定よりも建設業経理士1級の財務分析に傾向が似ていると感じました。

ただ、財務分析問題は財務諸表よりも出題パターンがワンパターンなので、過去問と受験対策シリーズで繰り返し計算練習すればきちんと得点できるようになります。解き方さえ覚えちゃえば得点が安定する論点でもあります。

特に安全性分析・収益性分析・損益分岐点の各比率の計算問題、キャッシュフロー計算書の作成は毎回必ず出題されます。

日商簿記1級・全経簿記上級の勉強経験がない人が短期合格を狙うなら、出題パターンがワンパターンな財務分析で確実に点数を稼ぐのがおすすめです。

<財務分析手法メモ>

・収益性分析

まずは総資本経常利益率より、全体的な収益性の上昇・低下傾向を分析する。
総資本経常利益率=経常利益/総資本
=売上高経常利益率 × 総資本回転率
=経常利益/売上高 × 売上高/総資本

仮に総資本経常利益率が低下している場合は、売上高経常利益率(収益性)と総資本回転率(効率性)のうち、どちらかあるいは両方が減少している。
更に、売上高総利益率・売上高営業利益率・総資本利益率・売上高販売費及び一般管理費・棚卸資産回転率等を算出し、利益率上昇(下降)の原因を掘り下げる

* 公式の覚え方のコツ
○○利益率⇒分子に利益/分母に○○
○○回転率⇒分子は売上高/分母は○○
○○回転期間⇒分子は○○/分母は平均月商

・安全性分析

(流動比率、当座比率、固定比率、長期固定適合率、負債比率、自己資本比率、インタレスト・カバレッジ・レシオ)
短期的な安全性・支払能力 ⇒ 流動比率、当座比率
長期的な安全性 ⇒ 固定比率、長期固定適合比率
インタレスト・カバレッジレシオ= (営業利益+受取利息配当金) /金融費用(支払利息・割引料)

・損益分岐点分析(CVP分析)

固定費・変動費・限界利益率(貢献利益率)・損益分岐点比率・安全余裕率・目標利益を達成する売上高が出題されます。
売上高=変動費+固定費+利益
限界利益=売上高-変動費
損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)=固定費÷限界利益率

・生産性分析

労働生産性=付加価値額/従業員数(円) を基本として、労働分配率、付加価値率、従業員一人当たり売上高、労働装備率に展開して分析する
労働分配率=人件費/付加価値額(%)
付加価値率=付加価値額/売上高(%)
従業員一人当たり売上高=売上高/従業員数(円)
労働装備率=有形固定資産/従業員数(円)

・キャッシュフロー計算書の作成

営業活動・投資活動・財務活動のうち、特に「営業活動によるキャッシュ・フロー」を間接法で作成する問題が多いです。ただ今後は直接法の出題が増えるかもしれません。

分析記述では、キャッシュフローの金額と当期純利益の額を比較し、数値が乖離している場合はどこにその原因があるのか(売上債権や棚卸資産の大幅増加、仕入債務の増加・減少など)を指摘する。

・資金繰表・資金運用表・長期資金収支予定表・正常運転資金所要額・資金移動表・決算資金所要額

いずれかの問題が問9~10で1問出ます。

運転資金
※在高方式、回転期間方式 両方とも計算できるようにすること。
経常運転資金(正味営業運転資金)=売上債権(売掛金+受取手形)+棚卸資産-買入債務(買掛金+支払手形)
売掛金=平均月商×平均売掛サイト
受取手形残高=平均月商×売上原価率×手形回収率×受取手形サイト
棚卸資産:商品残高=平均月商×売上原価率×商品在庫期間
買掛金残高=平均月商×売上原価率×平均買掛サイト
支払手形残高=平均月商×売上原価率×手形支払率×手形支払サイト

正常運転資金所要額=平均月商×(売上債権回転期間+棚卸資産回転期間-買入債務回転期間)
決算資金所要額=配当+法人税等支払(中間納付額は控除する)+役員賞与

2級記述式解答法~要点を過不足なく書くのがベスト

財務2級問題解説集の採点所感からの推測ですが、余計なことをダラダラ書くよりも、要点となる部分をビシッと簡潔に書いた方がいいのかなと思いました。
もちろん何も書かなければ点数のつけようがないので、わからない問題のときも何らかの文章やキーワードを書いたほうがいいのでしょうが、ある程度わかっている問題ならば、アレコレと余計なことを書くのは蛇足になってしまうかも?と感じました。

そういえば年金アドバイザー2級(2011年)でも行をフルに埋めるまで書き込んだ割には得点が伸びなかったところを見ると、とにかく何か書けば1点もらえる、ってほどには甘くなさそうです(苦笑)
むしろ蛇足を書くと何か減点ポイントにひっかかるんじゃね?と思ったくらい。

また、仕訳問題は勘定科目と金額の全部が合ってて初めて得点になるので、勘定科目は漢字で正確に書けるように練習しましょう。
「破産更生債権」の「更生」→×「厚生」「更正」、「債権」→×「債券」
「満期保有目的債券」の「債券」→×「債権」
など、間違えやすい勘定科目には注意してください。

2級と3級の難易度差はどのくらい?

3級と2級の難易度差は何かというと、回答形式が択一式か記述式かの違いであって、日商簿記2級⇒1級のように、出題範囲が3~4倍に増えるわけではありません。

計算問題の答えを5択の中からそれっぽい値を選べる・消去法で正解にだどりつけるのが3級、ピンポイントで計算問題に正解しなければならない&一つ間違えると芋づる式に大量失点の危険性があるのが2級、です。

日商簿記1・2・3級のように、級が上がるごとに難しい論点が追加されるというわけではなく、財務3級であっても日商簿記1級で出題される論点(有価証券・減損会計・リース会計・資産除去債務・退職給付会計・税効果会計・連結・外貨換算・キャッシュフロー計算書)+財務分析が出題されるので、「3級=所詮日商簿記2~3級レベルでしょ?」と思いこむのは危険です。

簿記系検定との違い・比較

・(上の2級と3級の難易度差でもちょっと触れていますが)3級とはいえ試験で出題される論点は日商簿記1級の商業簿記・会計学で出題される論点が少なくない。
・工業簿記・原価計算的な問題はあまりでない(損益分岐点分析と製造原価報告書くらいです)
・財務分析問題も40点分ある

・計算問題が簡単
財務2級の貸借対照表・損益計算書・財務分析問題では、問1の回答をふまえて問2・3を答える問題が少なくありません。よって最初の答えを間違えると芋づる式に0点になることがあるので、計算ミスには十分注意しましょう。
ただ、2級はオール記述式とはいえ、日商簿記1級や全経簿記上級試験と比べると単純すぎて、「ホントにこんなに単純でいいの?」と思うことすらありますw
単に問題文の資料から数値を転記するだけでいいものもあるし、引っ掛けポイントが毎回似たり寄ったりだし…。

・難易度~単純比較は難しい
財務3級は日商簿記2級よりも難しいのか?…というと決してそういうわけではないんですよね。
財務3級を持っていても日商簿記3級にすら落ちる人もいるし、日商簿記2級を持っていても財務3級に落ちる人もいます。
簿記の知識を持っていると有利だけど、財務2・3級は財務2・3級の出題傾向に沿った勉強が必要です。

総じていえることは、「覚えることは多いけど、受験対策シリーズと過去問をきちんとやれば合格点はとれる」ということです。
日商簿記1級や全経簿記上級、建設業経理士1級の勉強にも通じるところがあると思うので、これから受験される方は頑張ってください。


コメント

  1. ぷりん より:

    miwaさん、こんにちは。
    ここ数日、記事の充実がすごいですね!

    銀行業務検定の「財務」は、財務諸表を読めるようになるという点で、
    勉強しておけば、何かと役立ちます。
    仕事にだけではなく、株式投資においても(笑)

    社労士を取得した後に、銀検の「年アド」を取得する流れがあるように、
    簿記検定に合格した後に、(銀行員でなくとも、)「財務」を受ける人が
    増えると良いですね。

    似たような検定で大阪商工会議所主催の「ビジネス会計検定」もありますので、そちらもオススメです!

    • miwa@管理人 より:

      >ぷりんさん
      7月の試験ラッシュが終わった後ネタがないので、以前から書き溜めておいた記事を放出しておりますw

      銀行業務検定の問題は良問が多いと思います。年金アドバイザーもそうですが、変なヒッカケが少なくて解きやすいというか…。
      ビジネス会計検定も興味はあるんですが、いつも他の検定試験と被っていてなかなか受けられないんですよね~。
      また日商簿記1級にチャレンジする機会があれば、その時にでもチャレンジしてみたいですね。

  2. ジュビロ磐田サポーター より:

    情報有難うございます。
    昨日、ビジネス会計検定の2級を受験し、66%と合格に一歩及ばずでした。
    昨年、3級を受験した際は満点合格したので、今回もそれを目指していたのですが…。計算演習の時間が不足し、無残な結果に終わってしましました。

    銀行業務検定の財務3級とかなりの程度試験範囲が重複すると聞きましたので、次回は銀行業務検定の問題集なども使い、問題(特に計算)の数をこなして再受験したいです。

    次は来年の3月ですが、丁度銀行業務検定の1週間後です。
    時期的にも丁度良いので、W受験をしたいと思います。

    • miwa@管理人 より:

      > ジュビロ磐田サポーターさん

      ビジネス会計検定2級お疲れさまです。そういえばビジネス会計検定も9月にありましたね!
      66%とは惜しかったですね。
      私は受験したことがありませんが、例題を見ると確かに銀行業務検定財務3級と共通するところは多そうです。
      財務分析は以外と得点源にしやすいですし、ダブル合格を目指してがんばってください!